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拷問

あれからどれほどの時間が過ぎたのだろうか。

窓も時計もない部屋のため、今が何時かもわからない。

最低限の食事は出されるものの、それ以外の時間は拷問を受けることになった。

その都度回復魔法を掛けられるので怪我はしていないが……

これは恐らく痛めつけることで、精神的に潰そうとしているのだろう。

……【不動心】様様だ。

もしそれが無ければここまで冷静に物事を考えられなかったかもしれない。

そして、俺で良かった。

桃だと耐えられなかっただろう。


「ごきげんはいかがでしょうか、神の子よ。」

「……いつまで続ける気だ」

「ふぅむ、まだ答える元気があるのですね。思ったよりも丈夫だこと。それでこそ神の子としてふさわしい!」

「こんなことをしても無駄だ」

「フフフフフ……まあ良いでしょう。あがくだけあがけばよろしい」


相変わらず気味の悪い野郎だ。

仮面の二人組が入れ替わりで入ってくる。

手には細長い金属の棒。

おもむろに詠唱をして棒を熱する。

赤く染まっていく金属の棒を見ているだけで嫌な汗が滲む。

そしてそのまま熱を帯び赤く輝く金属の棒を近づけてくる。


「ぐ――――あああ!」


肉が焼ける。額から汗が噴き出す。

力んで逃げようとしても手足の拘束がそれを許さない。

焼けるのと同時に回復魔法が掛けられる。

傷は消える。

だが痛みだけは消えない。

治ったはずの場所が、また焼かれる。

手足の動かない今の状況では禍津蜘蛛を出しても意味がない。

自分だけでは今はどうしようもない。

レオ達は気が付いているだろうか。警察がここにたどり着く可能性はあるのか。

……俺は、どこまで耐えられるか。



はっと目を覚ます。

どうやら意識を飛ばしていたみたいだ。

怪我は治されているが、なんとなくジンジンと痛みだけが残っている気がする。


ガチャリ


また仮面の野郎が入ってくる。

後ろの二人は何かを持っていた。


「ええ、ええ、ええ。まったく素晴らしい精神力です!ここまで耐え抜いてなお、こちらを睨みつける力が残っているなど!」

「……何が言いたい」

「このまま続けていても良いのですが……あなた様の場合あまり効率よくなさそうですのでねぇ。少し別の手段を使わせてもらいますよ」

「別の手段……?」


二人組が近づく。手には注射器。見たことのないロゴマークがついている。

一人が俺の腕を固定し、もう一人はなみなみと何らかの薬剤の入った注射器を腕に刺し入れる。


「ええ、ええ。もうすぐ、素敵な夢を見ることができるでしょう。楽しみにしていてください」

「……何を」


ぐるりと視界が回る。

そこで意識は途切れた。

仮面野郎の笑い声だけを最後に聞きながら、意識は闇へ沈んだ。


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