パーティ
約束の日、もらった名刺に書いてある住所へ向かう。
【株式会社 アークマテリアル】
その看板に飾られたごく一般的な会社の中へと足を踏み入れる。
「やあ、篠山くん。待っていたよ!」
「あ、どうも」
そう言って酒井社長が出迎えてくれる。
そのまま奥へ通され会議室に入ると、装備に身を包んだ4人が座っていた。
「じゃあ自己紹介としようか。彼らはうちで働く素材回収班のパーティだ。今日の君のダンジョン探索に同行してくれる」
「ああ、今日はよろしくな。レオだ。このパーティでリーダーをさせてもらっている。剣士だ」
「あたしはミナ!シーフの役割だね。素早さなら負けないわ!」
「僕はノア。ええと、魔法使い、やってます。よろしく……」
「私はルナと言います。皆さんの回復担当ですね。怪我をした時は遠慮なく言ってくださいね」
それぞれが自己紹介をしてくる。皆同年代くらいの若者だ。あいにくこの体の自分は長々と話す気にもならない。悩むほどではないので短く答える。
「篠山という。探索者名はまだ考えてない」
「おー、じゃあ今日は篠山くんって呼ぶね!ね、社長。あとはダンジョンにいって彼の戦い方を見るだけよね?」
「ああ。今日は俺も同行しようか。直接スカウトしたんだし、彼の戦い方には興味がある」
そう言ってちらりと脇に置いている大鎌を見る。
そのまま席を立ってついていくとすぐ、会社が所有しているというダンジョンへ着く。
「じゃあ篠山くん、俺たちはいつでもサポートに入れるよう後ろで待機するから、いつも通り敵を倒してくれ。」
「分かった」
中へ入るとひんやりとして少し湿った空気が流れてくる。大鎌を構えなおして先頭を歩く。
初めて大鎌を振った時はどうなるかと思っていたが、振るうにつれ手に馴染んでいくし、次にどう動かせば良いのかが感覚的に分かるようになってきた。
加えて鎌という形状上、やはり首を狙い一撃で仕留めることが一番効率が良いと分かった。
それにこの体は思ったように動くし力もある。本当に便利だ。
「あ、何か近づいてくるね」
「右だな」
「え、分かるの!?」
1人で何度か練習のためにダンジョンへ行っていたおかげか、妙に気配に鋭くなった。
言った通り右の道には魔物がいた。
いつも通り処理をする。
突進してきた魔物を危なげなく避ける。
死角を突き、鎌を横薙ぎに振るう。
次の瞬間には首が落ちていた。
魔物は何が起きたか分からないまま唸り声を漏らす。
「え、」
「今ので終わったのか?」
「速い。無駄のない動きだ」
「え!なにしたの今!やば!」
転がるビー玉……魔石を拾い社長へ問いかける。
「これはどうしたら?」
「え、あ、ああ。持ち帰って査定班へ渡してくれれば仕事完了だ」
「そうか」
鎌を担ぎなおし、さらに進む。その後も何度か戦闘があり収穫としては十分になった。
「なあ……いつもこんな戦い方なのか?」
「まあ」
「正直ちょっと怖い」
「ねー!鎌振った時当たりそうだったよ!」
「一人で潜っていたからパーティの動きはよく分からない」
実際何度かぶつかりかけたり危ない場面はあった。
「うーん、武器もそうだが篠山くんの動きはあまりパーティ向けじゃあないかもな」
「怪我もしていませんし、ソロでも十分潜れそうですよね」
「今まで通りソロで構わないが」
そんなことを話しながらダンジョンを出る。
今回の探索は成功と言って良いだろう。
そして社長室へ呼ばれる。
「実技試験は十分だった。改めて君を歓迎したい。これからこの会社で働いてくれないか?」
「俺でよければ」
こうして俺は、探索者として働くことになった。




