ギルド
翌日、ダンジョンの報告のために市役所へ向かう。魔石と素材の入ったコンビニ袋と刃先を布でぐるぐる巻きにした大鎌を持ってダンジョン科の待合室で座る。
ちなみに女性に戻って鎌を持ってみたところ、とてもじゃないが重くて持ち歩くことができなかったので今は男だ。
「23番の方―」
「はい」
ダンジョンの場所や中の様子を説明し、収穫物の検品を終えると受付に言われる。
「探索者登録をしますか?そちらの武器は登録をしないと所持が認められないんですよ」
「あー、じゃあお願いします」
魔石と素材は売り大鎌は受け取る。どうせ仕事が無かったし、今まで考えたことは無かったが探索者になってみても良いかもしれない。
「探索者名はどうしますか?手数料は掛かりますが後から変更することも可能です」
「いや、いったん無しでいいです」
急に名前と言われてもすぐには思いつかないし、これは後回しだな。
諸々の手続きを終え市役所を出る。新しく得た探索者カードを眺めてため息を吐く。
まさか自分が探索者になるとは思いもしなかったな。
「あ、あの!」
「ん」
後ろから突然声を掛けられる。知らない人だ。年齢は30~40歳の男性。目の下に隈がある。
「君、新規ダンジョンを一人で攻略したんだろ?市役所で言ってるのを聞いたんだけど。少しお話いいですか!?」
「え、いや、まあ、はい」
妙に必死な男、酒井と名乗るその人は、ダンジョン素材を扱う中小企業の社長だった。
4月で入社した探索者がすぐにやめてしまい、人手不足を何とかしようとあちこちを駆け回っているそうだ。
「まあ端的にいうと、スカウトだね。君、俺の会社で探索者として働かないか?」
この世界にはダンジョン素材を管理、流通、加工するために企業が運営するギルドがある。酒井もそういった企業の社長の一人だった。
「ちょうど職を探していた所だし、話くらいならかまわない」
「本当か!?助かる!じゃあ具体的に話をしよう。どこかカフェでも行こうか」
酒井は本気で安堵したような顔をした。
そうして俺は流されるように、その会社への就職を決めた。
「では一度、うちの所有するダンジョンで実力を見せてくれないか?ああいや、今すぐじゃなくてもいい。予定はいつ空いている?」
後日会う約束をして別れる。
次に会うまでに、せっかく手に入れたのだからこの鎌の使い方くらいは覚えておくか。
そんなことを考えながら帰路につく。




