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ファン

「弟子にしてくださいッ!!!」

「断る」


会社の応接室。

ソファに腰かけ、目の前の少年にきっぱりと言う。


「な、なんでっすか!オレ、オレ……センさんのこと物凄く尊敬してます!」

「……」

「前にダンジョンで突っかかった時はオレがバカでした!す、すみませんでした!」

「……」

「あと、あと、選手権、見ました!めちゃくちゃカッコよかったっす!オレもあんなふうになりたくて……!」

「……」


扉ののぞき窓からレオたちが見ている。……あれは絶対面白がっているな。


「あ、そうだ。オレ、高校辞めてダンジョンに専念するっす!だから、弟子にしてください!!!」

「はあ……まず、座れ」

「え、あ、はい……」


思わず頭を押さえる。

目の前でもじもじと座っている髪色が派手な少年は今朝、俺を訪ねて会社に来た。

どうやら俺に弟子入りをしたいらしい。


「とりあえず聞くが。今日は平日のはずだ。なぜ学校ではなくここにいる」

「っ、そ、それは……あの、休み、ました」

「そうか。親は知っているのか」

「い、いえ……」

「無断欠席か。どこの学校だ」


バツが悪そうにぼそぼそと答える少年。仕方ない。あとで連絡でも入れるか。


「まずそうだな……前にダンジョンで会ったことはもういい。尊敬しているのもわかった」

「っ、は、はい!」


そう、この少年は選手権前にダンジョン内のセーフゾーンで出会った不良学生だった。

なんでこんなに俺への態度が変わったかは知らんが……


「けど俺みたいになろうとするな。やめとけ」

「でもっ」

「それに、高校も辞めるな。ちゃんと勉強して卒業しろ」

「……」


少年の肩が萎む。


「で、社会人としてこの会社に入社できたら考えてやる」

「っ、本当ですか!?」

「ああ。そのためにもしっかり高校で勉強してこい。周りに迷惑掛けずにな」

「は、はい!!!」


大げさに礼をする少年。


「……今日はもう帰って学校へ行け。途中からでもいいから授業を受けろ」

「はい!ありがとうございました!」

「はあ……」


席を立ち、少年を外まで送る。


「オレ、絶対ここに入りますから!だから、忘れないでくださいっす!」

「おー……」


ちらちらと振り返りながら遠ざかっていく。

後ろからレオたちが声を掛ける。


「すごいファンだったな」

「ん、そうだな」

「なーんか、セン、先生みたいだったよ?」

「やめろ」


ファンか……いるもんなんだな。

学校を辞める覚悟とは恐れ入った。

けど元教員として、特に桃には譲れない部分がある。

あの少年がどこまでやるかは分からないが……

正直あんなのはもう来ないでほしいっていうのが本音だ。


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