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決勝 四戦目①

会場の整備のため、一旦休憩を挟むことになった。

俺も一度観客席へ戻るか。


まばらに席を立ちすれ違う人々の間をすり抜けたどり着く。

席には相変わらずミナとレオが出場選手について語り合っていた。

社長は……いないな。トイレにでも行っているのだろうか。


「あ、おかえり、セン」

「おかえりなさい」

「ああ。ただいま」


先ほどの戦いは久しぶりに疲れた気がする。

椅子にもたれて息を吐く。


「お疲れ。一時はどうなるかと思ったよ」

「今日はあと一戦あるんでしたっけ?」

「そうだな」


会場に設置されているモニターにはトーナメント表が映し出されている。

あの勇者とかいうやつも順調に勝ち進んでいるようだ。


「あのさ、次のセンの相手なんだけど……なんだか妙なんだ」

「妙?」

「うん。トーナメント戦ではそいつの相手が急に降参したり、全く避ける素振りを見せずに攻撃を受けたり……とにかく変なんだ」

「なにか魔法を使っているのかもしれませんねぇ」


改めてモニターへ目を向ける。

次の相手……セイジ。初めて見る名だ。


「具体的な対策を教えられなくて申し訳ない……とにかく気をつけろよ。」

「頑張ってください。応援していますねぇ」

「ああ」


時間になる。

何度目かの舞台。緊張はしていない。

歓声を聞き流し相手を見る。持っているのは……細身の剣、レイピアと……本、か?


『さあ次にまいりましょう、死神のセンvs微睡みのセイジ!いったいどんな戦いが待ち受けているんだ!?』


ブーーーッ


始まった。まずはいつも通り距離を詰め……グッ!?


sideアークマテリアル


「始まった!」

「相手は、魔法剣士ってところか?」

「そうですねぇ、あの本、魔法のための触媒に見えます」

「……」


いつも通りセンが相手のもとへ駆け寄る。が。


「っ、セン?」

「動きが止まった?」


舞台には膝をついたセンの姿があった。

モニターへ写されるセンの顔は、何かをこらえるような険しい表情をしている。


「……まただ。また、この流れだ」

「どうしたんでしょう……」


セイジはまだ何か詠唱をしている。


「まずい、このままでは……」


何が起こっているのか分からない。

観客席はこの不気味な現象にざわめいている。


sideセン


痛い。それに怪我はしていないはずなのに……手足の感覚が薄い。

痛みはだめだ。理性が緩む。

禍津蜘蛛を必死に抑える。

……そうか、幻惑魔法といったところだろう。なるほどな。

鎌を杖代わりに立ち上がる。

相手はさらに詠唱を続けている。


(これ以上好きに魔法を使われるわけにはいかない)


痛みよりも、禍津蜘蛛が抑えられなくなることの方がまずい。

鎌を構えなおし、セイジへ近づく。

しかしそれよりも先にセイジの魔法が完成した。


(ああ。そうか。微睡みとは、よく言ったもんだ……これは、いけない)


瞬間。センの眼前には教室が広がった。


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