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決勝前夜

夜。

宿泊施設で。

すっかり暗くなった窓の外を見て桃はベッドに深く腰掛ける。

なんとか決勝まで行けた。

全国大会。

その言葉を聞くのは、小学生の頃に出たピアノコンクール以来だった。

けれどピアノと違って戦闘の練習なんてしていない。


「私って強いのかな」


誰が答えるでもない。それに実際に戦っているのはセンの方だし。

ぼふん、と体をベッドに預ける。

ふと、思いついたようにスマホを手に取る。

今日の試合の反応。何となく開く配信のコメント欄。



「死神キターーーー!」

「倒し方えげつない」

「どっから出てきたんだ」

「なんか卑怯じゃね?」

「まじで怖いんだけど。首飛ばしすぎ」

「正直戦い方嫌い」



「……まあ、そうだよね」


効率的に倒すためには急所を狙う。そういう所も含めて私とセンは同じ人物なのだ。

コメントの言葉が少し刺さる。

けれどスクロールする指は止まらない。



「めちゃくちゃ強い」

「戦略だろ?」

「俺は好き」



好意的な意見も出てくる。

少し気分が楽になる。

スマホを閉じ、枕元に置く。


「ふう……」


ガバッと体を起こし、頬を叩く。


「やるしかないんだから。全力でやるだけ、うん」


気合を入れ、明日の準備をする。

緊張はもちろんするけれど、センはそんな心配いらない。

どんな大舞台だって大丈夫。なんとかなる。

自分に言い聞かせ、ベッドへ潜る。

いよいよだ。


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