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全国大会 二日目

昼前の時間。相変わらず観客席は熱い歓声であふれかえっていた。


「おい、次センの番だろ?もうそろそろ行って来いよ」

「ん、ああ」


ペットボトルのお茶を飲み、荷物を社長たちへ預け立ち上がる。


「あ、ねえセン。ひとついいかい?」


珍しくノアが声を掛ける。


「次のバトルロワイヤルなんだけれど……」


ふむ、なるほど。面白そうだ。やってみてもいいかもしれない。


「うん、採用」

「君なら多分、こっちのやり方の方が合っていると思うけど。無理はしないでよ。」

「ああ、わかってる」



選手控室へ行く途中。視線や話し声が聞こえる。耳が良いってのも考え物だ。

なんとなく居心地の悪さを感じながらその時を待つ。


「では選手の皆さん、入場になります!」


ピリつく空気。緊張した面持ちの選手たち。

俺も鎌を抱えなおし舞台へ進む。

光が差して一瞬目がくらむ。歓声が四方八方から聞こえる。

不動心が無かったら完全に固まっていただろうな。

なんてことを考えながら中央近くまで進む。

試合が、始まる。


sideアークマテリアル


「ねえノア、さっきセンと何話してたの?」

「え、ああ。僕が考える作戦を少しね。彼はこういう戦いの形式に慣れていないと思ったから」

「ふうん。あ、始まるよ!わー、センってば真っ黒で超目立つ!」


まあ負けることは多分無いだろう、と全員の心の中に同じ考えが浮かぶ。

じっとセンを見守る中試合は動く。

そして視界に映っていたはずのセンが消える。


「あ、あれ?私、センさんを見失ってしまいましたぁ」

「俺もだ。攻撃を躱す瞬間までは見ていたんだが……」

「分析通りだ」


あれだけ目立つ黒いローブに大鎌。見つけたと思ってもまたすぐに見失う。

誰にも攻撃されず、異様な動きで人々の視線から外れ続ける。


「ねー、セン見つかんないんだけど!まさかやられたとか……?」

「いや、少なくともさっきまでいたぞ」


そんな話を続けているうちにだんだん人は少なくなっていく。


『さあ、残るは5人!この中から2人は残念ながら敗退となりますが……さあ決勝へのチケットを手に入れるのは誰だー!?』


ついにその時がくる。舞台には見える範囲で立っている選手が三人。しかし終了のブザーは鳴らない。


『あ、あれ?試合、終了になりませんね?なにか不備でもあったんでしょうか?』


皆が会場に設置されている画面を困惑しながら見る。

そこには、


『残存生命反応 4』


『え、残存生命反応……4?し、失礼しました。どうやらまだ一名残っているようです!』


なんだ、エラーでもあったのか?と会場が不気味なざわめきに包まれた。

選手たちも怪訝な目であたりを見渡す。

1人の選手の背後の影が揺れた。次の瞬間。


「がッ……!?」


首を抑え崩れ落ちる選手。その背後に黒いローブの人物が立っている。

鎌を振りぬいた姿勢からゆっくりと手をおろす。


ブーーーッ


試合終了のブザーが流れる。


『……、あっ、し、試合、終了です!』


シン、と一瞬静まり返る会場。

遅れて爆発音と見まがうばかりの歓声。

しかし観客の中には眉をひそめじっと去っていくセンの後姿を見ている者がいた。


「あいつ……あの時の……?」

「どうしたの、勇者くんの知り合い?」

「いや……」


戦闘方法に言いたいことは山ほどある。

だが、ここで勝ったとして次は一対一のタイマンだ。この戦い方ではそのうち行き詰まる。

どうせ残れやしないさ。……それを僕が証明する。

そう自分自身に言い聞かせる。


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