飲み会
「と、いうことで!レオとセンの大会進出を祝って、乾杯!」
「「「乾杯!」」」
ざわざわとしている居酒屋の一角、そこに呼ばれた俺たちは、社長と社員もいるテーブルでグラスを持っていた。
「今日は二人はおごりだからな!気にせずたくさん食ってたくさん飲めよ!」
「ありがとうございます、社長!」
「ああ、ありがとう」
今まで会社から選手権に申し込んだことはあるものの、全国大会まで行ったことは無いらしい。
そのせいかいつもより社長のテンションが高い。
「センさんはお酒飲めるんですかぁ?」
「確かに!あたしも知らないかも」
「まあ、普通くらいじゃないか」
一杯目のビールを飲みながら答える。
センの体で酒を飲んだことは無いので正直分からないが、桃でもそれなりに飲めなくは無かったから大丈夫だろう。
「しっかし、センさんはほんとに強いっすね!オレ、県大会の中継で初めて戦ってるとこ見ましたけど、圧勝だったじゃないすか?」
「ああ、まったくだ。強い新人を引いたとは思っていたが……」
「セン、最初から結構強かったよね?なんか訓練したとか?」
「いや、何回か練習がてらダンジョンに潜ってただけだ」
自分でも驚くことに、鎌は使えば使うほど体に馴染むようになるし、敵を倒せば倒すほど次にどう動けばいいのかが感覚的に分かってくるのだ。
ダンジョンが俺に鎌を持たせたなら、そういう素質が俺にはあったんだろう。
「天賦の才ってヤツか?末恐ろしいな、ホントに」
「ついにレオもランク並ばれたしね」
「このままSランクまで行っちまうんじゃねえか?」
そんなことを話しながらグラスを傾ける。
「あ、セン、次何飲むー?」
ひょいと横からミナがメニューを持って聞いてくる。
「……これ」
「これー?分かった!注文するねー」
「何頼んだんだ?」
「日本酒」
「日本酒か、いいな。好きなのか?」
「まあ」
しばらくして運ばれてくるグラス。
宴会は進み、酒に酔った数人が現れる。
レオとミナは顔が赤くなってはいるが、いつもと変わらない。ルナはソフトドリンクを飲んでニコニコしている。ノアは斜向かいの席で泣き始めた。泣き上戸だったのか。
桃の時よりもセンの方が酔いは少ない気がする。体のサイズの問題だろうか。
「セン、結構強いんじゃない?顔色全然変わんないじゃん!」
「本当だな。素面って言われても違和感ないぞ」
「いや、酔ってはいるが」
「嘘つけよ、その顔でぇ?」
それからしばらくして良い時間になり、今日はお開きということになった。
席を立つ、その瞬間。
酔いが急激にまわり、一瞬視界がぐらりと傾く。
「っと……」
「え、センがふらついてる!?」
「いや、大丈夫だ」
「……おい、セン。何杯飲んだんだ?」
「おぼえてない」
「結構頼んでたよ……?あたし、センが平気そうな顔だからどんどん頼んじゃった……」
「だいじょうぶ、歩ける」
「……蛇行してるぞ」
「うーん、酔いは回復できませんからねぇ」
心配そうに周りが見守る中、最寄りの駅までたどり着く。
さすがに少し飲みすぎたか……
「セン、ちゃんと家までたどりつけよ?」
「ごめんね、あたし、もっと確認したらよかった……」
「いや、問題ない。そのうち治る」
若干ふらふらと蛇行しながら駅の構内を歩く。
その後はあまり覚えていないが、朝、気付けば家の布団で寝ていた。
まあこんな日もたまにはいいだろう、そう思った。




