県大会②
「うし、次は俺か」
そして続けざまにレオが呼ばれる。
レオの戦い方は堅実だ。攻撃をほとんど通さず、確実にこちらの隙を突く。
何度か模擬戦をしたことがあるが、やりづらい。それに尽きる。
攻撃は通らないし、しっかり相手を見て癖を読んでくるので正直あまり相手にはしたくない。
「おー、さすがレオ。相変わらずの鉄壁っぷりだねー」
「ああ。それに実際目の前に立つとあいつは威圧感もあって、下手な相手じゃ立っていられなくなるんだよね」
相手の防御が崩れる。そこへ正確に吸い込まれる剣。
危なげなく勝ったレオは相手の選手と握手をしてその場を立ち去る。
派手な勝利ではないが、お手本のような攻撃の防ぎ方だった。
「ただいま、勝ったぞ」
「やるぅ!さすが!」
「おかえり、見てたよ」
そして呼ばれる。俺の番だ。
後ろを向くといい笑顔でサムズアップしてくる。
「勝って来いよ!」
舞台へ向かう。客席を見渡すと、さすがに県大会レベルだと言うべきか、テレビカメラが来ている。それに一般客も思っていた以上に多いな。
まあ数年に一度の大会だしそんなものか。
「では、健闘を祈ります。試合、開始!」
ついに始まる。目の前の相手、槍使いは警戒をしてか動かない。
カウンター狙いか?まあいい、やってみればわかることだ。
地面を蹴り背後へ回り込む。首元を狙って……っ!
ガキン、と音が鳴って攻撃が槍で防がれる。
「……そう来ると思ったよ。君の動きは研究させてもらった」
「……ほう」
なるほど、確かに地区大会の時も同じ動きで勝ってきた。公式で上がっている試合中継を見れば研究も可能だろう。
ならば……
一度距離を取る。そしてより低い姿勢で詰め寄る。
「足元でも狙うつもりか?そうはいか……なにっ!?」
相手はセンを見失う。後ろを振り返るもどこにもおらず、忽然と姿を消したように見えた。
瞬間、首が飛ぶ。
「勝者、セン!」
遅れて拍手が響く。最前列でルナが手を振っているのが見える。
すぐさま会場の装置により怪我は無かったものにされるが、首が飛んだことにより混乱している相手が医療班に連れていかれる。
ふう、と一息つき、その場を後にした。
「いやー、初撃を防がれたときはどうなるかと思ったけど」
「お前、また動きが人間離れしてきてるんじゃないか?」
「まさか最後、あんな姿勢から上へ跳ぶなんて」
相手の槍使いがセンの姿を見失った瞬間、センは真上にいた。
そして隙を突き空中で首を掻っ切った。
「ああ、相手が俺の研究をしたと言っていたからな」
研究しようが想定していない動きにはついてこれないだろうと思った。
相手がレオのように完璧に防ぎきっていたならより試合は長引いたのだろうが。
その後も、俺は全ての試合で勝利した。
レオは一戦だけ相打ちだったが無事突破し、ミナはあと一歩のところで惜しくも敗退となった。
ノアは……残念ながら運悪くその後も近接戦を挑まれ、敗退した。
しかし、俺の対策をする者が現れるとは。これは全国大会でも気を引き締めた方がよさそうだ。




