表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/53

体調不良 side酒井

「センはまだ来てないのか」

「あれ、社長。おはようございます」

「セン?まだじゃないですかねー、珍しいっすね」


ある日、センが遅刻した。普段何を考えているのかわからないやつだが、時間に遅れたことは一度もない。

そんな奴が連絡もよこさずこれだけ時間が経っても来ないとは。何かあったのか?


ガチャ


「おはよう。寝坊した」

「センさん!遅かったですね」


やっと来たと思ったら寝坊とは……


「おい、もうちょっと言うことがあるだろう。事前に連絡の一つくらいしなさい」

「わかった」

「まったく……」


寝癖もそのままにぼーっとした様子で出勤ボタンを押す。


「……行ってくる」

「ああ。気をつけて」


体調でも悪いのか?どちらにしろ続くようならばもっと注意しなければ。


夕方。レオ達のパーティが帰ってきた。

うん、特に異常なさそうだ。しかし相変わらずミナは元気だなあ。またノアを困らせている。


ガチャ


「帰った」


センも帰ってきた。しかしいつもならもう少し潜っている時間のはずだが。


「早かったな。何かあったのか」

「いや……なんとなく調子が悪くて」

「あれぇ?その腕……センさん、怪我してませんか?」


ルナがそう言ってセンに近づく。センはたまに怪我を放置する癖があるのでルナにいつも警戒されている。


「ああ、少し。腕を切った」


よく見ると左腕には包帯が雑に巻かれており、そこに血がにじんでいた。

……結構大きめの傷だが、これが少し、か。まあ命を落とすほどではないかもしれないが。


「あらあら。じゃあ椅子に座ってください。治療しますねぇ」

「あ、あたしセンの分査定に回しとくよ!」

「助かる」


ルナの手によってセンの怪我はきれいに治っていく。この調子だと傷跡も残らないだろう。

ソロだと回復手段が限られているから正直あまり一人でダンジョンへは行かせたくないんだがなあ。


「査定も終わったぞ」

「ああ。助かった」


そのまま席を立ち出て行くセン。


「しっかし、寝坊に怪我とは……本当に体調やばかったとかじゃないだろうな」

「どうでしょう……回復魔法では体力の回復はできませんからねぇ。むしろ逆効果ですから」


その時、扉の外からドサッと重いものが落ちる音が響く。


「……セン?」


皆で扉を開くと、そこにはセンが壁にもたれかかるようにして地面に倒れていた。


「っ、セン!」


レオが駆け寄る。ゆっくりと目を開けるセン。


「う、」

「おい、大丈夫か。うわ、熱があるじゃないか!?」


額に手を置き確認するレオ。


「怪我は治っているはず……まさか」


ルナが顔を青くする。


「なんだ、何か思い当たることが?」

「センさんは朝から体調が悪かったのでは?怪我をしたのもそのせいで判断が遅れたとか……その場合、倒れてしまったのは私のせいかもしれません」

「でもルナはきちんと治療していただけだろう?」

「いえ、回復魔法はその人の持つエネルギーを、怪我をした部分で発揮させることで治療するんです。つまり元から体調の悪い人に治療魔法を掛けたら少ないエネルギーをさらに使ってしまって逆効果になるんです」


回復魔法といえど万能ではないか。とにかく救急車だな。


その後、病院へ搬送され受けた診断は、過労と風邪だった。

思い返せばセンはよく長時間ダンジョンへ潜っているし、聞いた話では休日も行くことがあるそうだ。


「お前、働きすぎだ。体がついて行ってない」

「大丈夫だと思った」

「実際大丈夫ではなかったじゃないか」

「……」


今回は幸いにも点滴すればすぐ帰れるそうだが、こいつはこれからももっと無茶をしそうだ。

不満そうな様子のセンを眺めながら思う。死神なんて呼ばれているが、センはただの一人の人間だ。むしろ魂分化のせいでより奔放に動くぶんたちが悪い。

これからもしっかり見てやらないと。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ