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探索者

「たまには外の一般ダンジョンの素材も取ってきてくれ」


そんな社長命令が出た。確かに休みの日以外で外部のダンジョンには潜っていない。


「わかった。行ってくる」

「頼んだ」


外のダンジョンはもちろん会社の人間以外も利用する。人も多くなる。

あまり人がいる所は行きたくないが仕方ない。会社から一番近いダンジョンへ行こう。


「結構広そうだな」


思っていたより広くて人がいることは気にならなそうだ。いつも通り進もう。

ザクザクと敵を倒して魔石と素材を拾う。

充分な量になったところで帰ることにする。


……だれか、助けて!!!


ふと声が聞こえた。感覚器官が鋭くなったからだろうか、どの位置から発せられたのかが分かる。


駆けつけてみると、気を失って倒れている男と今まさに魔物に襲われそうになっている女がいた。

駆け寄った勢いのまま鎌を振るう。


「間に合ったか」

「あ、ありがとう、ございますっ」

「そっちの男は」

「さっき魔物に襲われて……」

「頭でも打ったか。おい、聞こえるか」


幸いにも怪我は浅く、回復薬を掛けると男はすぐに目を覚ました。


「すまない、助かった。君が来てくれなかったら俺たちは死んでいただろう」

「ええ。何かお礼の品を……」

「いや、いい。気にするな」


長居すると無理やりにでも何か渡そうとしてきそうな様子を見て、立ち去ることに決める。

立ち上がり振り返らずに道を進む。


「あの人、行っちゃった。でも本当に、助かったわ……」

「ああ、だがどこかで見たような」

「知り合い?」

「いや。最近何かで見かけたんだ……そうだ、動画」

「え?」

「何とかって会社の探索者。死神だ!黒いローブに大鎌。間違いない。本当にいたんだ」


耳が良くなったせいか姿が見えなくなっても聞こえたその会話。

少し居心地が悪くなりながらその場から離れるように帰り道を進む。


「おお、帰ったか。収穫は」

「まあまあ」

「そうか。ん、何かあったか?」

「例の動画を見たやつに会った」

「ああ、あれか。まあお前も晴れて有名人だな」

「勘弁してくれ」


まさかこれからずっとこうなるのか?俺の知らないやつが俺を知っているとは……

まあでも、気にしても仕方がないか。俺にはどうしようもない。

そう結論付けて会社を後にする。

ただ、いつも通り過ごすだけだ。


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