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Cランク

入社から二月ちょっと過ぎた頃。

先日ダンジョンの整備のため1日書類仕事を手伝うことになり、いつものセンではなく桃で出社したら大層驚かれた。

社長は頭を押さえて深くため息をついていた。

ミナなんて騒ぎ上げて「センがこんなにかわいい女の子だなんて信じられない!」とかいってたっけ。

まあ特に隠しているわけではなかったが、ここまで驚かれることになるとは思ってもみなかった。

それともう一つ。ついにCランクに到達した。

C以上はランクを上げるのに面接がいる。ということで先日センで協会へ面接を受けに行ったのだが、規定で魂分化者はもう一つの人格も面接を受け総合的に判断しなければならないらしい。


「篠山桃さん、ですね?中へお入りください」

「はい、失礼します」


確かセンの時は無言で適当に椅子へ座ったんだったか。面接官の心情は図りたくもない。


「篠山桃さん。探索者名センという人物の、元の人格ということでよろしかったかな?」

「はい、合っています」

「そうか……」


私の持ちうる全ての知識と外面の良さを意識してきちんと誠実に答えていく。


「ありがとうございました。失礼いたします」


まさか面接で落とされるなんてことないよね?あったらそれはセンのせいだ、うん。そうだ。

と、結局自分のせいにして待合室で待つこと十数分、名前が呼ばれる。


「Cランクへの昇格、おめでとうございます。こちら、カードになります。」

「あ、ありがとうございます!」


なんとかなった……

無事更新されたカードを受け取る。

Cランク。それは探索者として一人前になったという証。

ここより上のランクには上がりづらいらしい。

うちの会社では探索者ランクに応じて給料に底上げもあるらしいのでうれしい限りだ。


「私は大したスキル持ってないけど、センだと魔物の心の力まで使えるもんなあ」


そう、私も生まれたときから持っているスキルがある。

【響鳴】。それが私、桃に刻まれたスキル。といっても大したことはない。

歌や楽器を演奏した時に、人よりちょっと感動させやすい。その程度の能力。

その能力もあったからか、私は音楽の道を歩み、そして音楽の先生になり、挫折した。

いまや使うことの無くなったスキルだ。


「いやいや、何暗くなってるんだ。午後から出社するんだから早く帰って着替えなきゃ」


魔物を倒しながら時々思う。先生を辞めていなかったら、と。

そしたら今の俺は生まれなかったのだろうか。

同時にこうも思う。そんなこと考えても仕方がない。今こうやって生きている。それだけでいいじゃないかと。

少なくとも今はまあまあ幸せだ。


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