side査定班
私は株式会社アークマテリアルで素材査定を担当している。
私の仕事はダンジョン素材を査定し、買い取りをすること。
日々会社の探索者たちがダンジョンへ行き、取ってきた様々な魔石や素材を鑑定するのだ。
そうそう、最近新しく新入社員が入った。彼はセンと言って主にソロでダンジョンへ向かう。
ソロでなんて危ないと思っていたのだが、彼は毎回大した怪我もなく無事に帰ってくる。しかも一人とは思えない量の素材を集めてくるのだ。
「あ、センさん。査定終わりました。今日も多いですね」
「ああ」
いつも素っ気ない返事しかしないし、背が高くて真っ黒のローブを身に付けているからか少し圧がある。
「カードお返しします。ついでにそのカードなんですが……」
「なんだ」
「どうやらポイントがたまり切っているようなので探索者協会に行ってランクを上げてはどうでしょう?」
「そうか、わかった。ありがとう」
カードを受け取る手には小さな切り傷が見える。またルナさんが怪我を放っておくなと怒るな。
相変わらずだが返事はちゃんとするので案外真面目な人なのかもしれない。
というかこの短期間でランクを2つも上げるなんて聞いたことがない。
まあ毎日これほどの素材の山を持ち帰っているならばおかしくはないか……
「あ、またセンくんのランク上がったの?いくらまだ低いランクとはいえ早すぎるわよね」
「そうですね……社長はどこでこんな逸材をスカウトしてきたんでしょう」
「ほんとよねぇ。あら、おかえりなさい」
「お疲れ様です、お帰りなさい」
先輩と話しているとレオさんのパーティが帰ってきた。
「おう、お疲れ様、帰ったぜ。はい、これ」
「ええ、承ります」
「ん?その後ろの素材の山は……まさかセンか?」
「そうなんです。ついでにランクも上がってました」
「は?あいつこないだ上がったばっかだろ?」
「えー、セン、またランク上げたの?」
「さすがですねぇ」
「僕らの立場が危ぶまれるね……恐ろしい後輩だ」
まったくだ。これは会社のエースになる日も近いかもしれない。
まあ持ち込む素材が多い分には会社的にはありがたい。
「なんにせよ、無茶だけはしないでほしい所だな」
「彼、たまに怪我を黙っていることがあるのでそれはいただけないですねぇ」
そう、多くはないがたまに小さな怪我をして帰ってくることがある。ルナさんはよく気が付き無理やり治療を受けさせているが。
「そうですね、それは私も心配です。……はい、終わりましたよ」
「お、ありがとう」
無事パーティの査定も終える。
ひと月前は探索者不足で困っていたが、今は心強い仲間が一人増えた。こちらとしても査定のし甲斐があるというものだ。
真っ黒で静かな彼はまた明日も多くの素材を持ってくるのだろう。
会社が安定すれば私のボーナスも……いやいやいや、別にそれ目的ってわけではないが。お金は欲しいけど。
とにかく、彼は会社を救ってくれたんだ。ありがたいことだ。




