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異世界で目覚めた俺。スキルも魔法も使えなくて絶望する ~神羅 試神の転生召喚~  作者: ねすと
神羅 試神のダンジョン探索 ―― 第七章 ――
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第68話 よろしく

 ワープ地点と考えればわかるかな、とロロロが言った。


「あたしの場合、休憩室をその所謂『ワープ地点』に設定してるから、移動魔法を使った場合、そこに飛ぶことはできるんだけどさ。ここってなにもないじゃない」

 両手を軽く広げるロロロを見て、思わず絶命洞窟内を見渡してしまう。


「だから行くのはいいんだけど戻ってこようとした場合、最初にいた場所――ここがどこだかわからないんだよね。まあ、そもそも絶命洞窟内が場所がわからないよう何重にも魔法がかけられてるから、簡単に場所の特定ができないようになっているってのも大きいかもしれないけどさ」


「……れじゃっく」

「え?」

「いえ……なんでも。それに、なんとなくわかりました。ゲームでもなんでも、ただの道にワープすることはできないってことですよね」

 主要な町や特定のポイントにはワープできるが、なにもない箇所に飛ぶことはできない。それと同じことなのだろう。

 ロロロが小さく首を振る。

「理解が早くて助かるよ」


「ちなみにですが、この故障しているロボットを新たなワープ地点にすることとかってできないんですか?」

「そういう魔法がかけられた場合、探索ロボットが自動で解除するようになってるからダメだね」

 新たに購入、もしくは外部から戻ってきた探索ロボットに人知れず移動魔法がかけられており、部外者が絶命洞窟の場所を知ったり侵入することを防ぐための処置のひとつだ。


 もちろん、ロボットではなく――例えば試神を基準にすることもできなくはないが、その場合――

 

「あたし一人で行って帰ってくるまで、キミを一人にしちゃうんだよね」

 なるほど、と思いかけて。

「……俺、一人で待つことくらいできますけど」


「そうなんだけどさ、エラーの内容がはっきりしないだけに、こいつになにが起きるかわからないのが不安なんだよね」

 こつん、と軽くロボットを足先で小突く。


「どっかショートしてて、時間が経って基板が燃えて発火、なんてこともあるかもしれないわけだし。そうなったとき、キミ一人で大丈夫?」

「それは……自信ないです」

 逃げることならできるだろうが。

 逃げることしかできないだろう。


 ――だったら。


「ロロロさん、解析ツールって、ノートパソコンだけですか?」

「ノートパソコンとケーブルだね。パソコンとこいつを繋ぐやつ」

「それだけなら、このリュックに入りますよね?」

「ん?」


「俺が取ってきますよ」

 ロボットの傍からロロロが離れられないのならば、仕方ない。

 動けるのは自分だけだ。


「ロロロさんはここにいて、こいつを見ていてください」

「……いいの?」


「というか、俺、一回休憩室に戻りたいんですよ」

 ポンと一回、ポケットを叩く。

「実は、この服に着替えた際、携帯を休憩室に置いてきてしまったみたいなんです」




   Φ



「――とりあえず、リュックに移動魔法をかけたから」


 重しであったペットボトルを抜き、軽くなったリュックをロロロが手渡す。肩ひもをかけると、さっき重かった分、違和感を覚えるほど軽い。もう中にはライトぐらいしか入っていないはずだ。

 あと強いていえば、前の所長の持ち物であるあの人形くらいだろうが、重さに直結はしないだろう。


「リュックに入れさえすれば、あとはこっちでなんとかする。流石に、魔法がかかったリュックだけこっちにきて、中に入れたパソコンは移動されずにキミの足元に落ちました……なんてオチにはならないはず」

「もしそうなったら笑えばいいですか?」

「むしろ盛大に笑ってくれたほうがありがたいかもしれない」


 試神がリュックを背負ってもまだロロロが手を離さなのは、魔法をかけ直しているからだろうか。

 ……そこまでされると、余計に不安になってくる。背負わないで、手にもっていたほうがいいかもしれないと思うほどに、試神も内心冷や汗をかいていた。


「余裕があったらリュックと一緒に、キミもあたしのところに移動させるけど……」

「大丈夫ですよ、自分で戻ってきます」


 試神に直接移動魔法をかけるのではなく、リュックのほうに移動魔法をかけたのは、先に行っている通り単純にロロロの腕に自信がなかったからだ。

 今まで絶命洞窟という場所で、かつ魔石を詰めたロボットの近くにいる状態で魔法を使うことなどなかった。

 いつも使っている魔法でも、緊張してしまう。

 自分だけなら制御できる魔法でも、他人までとなるとどうやっても不安が残る。


 失敗する可能性が常につきまとう以上、慎重にならざるを得ない。

 壊れても代用がきくパソコンならいいが。

 失敗して試神が死んでしまったら、それはそれで困ってしまう。


「この道をまっすぐ行けばマシュマロにつくから。そこまで行けば……あとは休憩室の行き方はわかるよね?」

「ええ。マシュマロからなら一回戻ったことがありますし」

「……そうだったね」

 試神が靴ひもを確認し、ヘルメットを被りなおす。


「休憩室について、解析ツールが見つかれば電話します」

 ロロロから保管場所を一応場所を聞いてはいるものの、実物をみたわけじゃない。

 試神が行って、すぐわかるという保証はない。いざ行ってみても、わからない可能性がある。それに、ロロロはケーブルと言っていたが、そんなもの一口に言っても様々な種類があるのだ。別の機器と接続するものをもってきてしまう可能性がある。


 保管場所に別のケーブルはないと聞いているが、もしそうだとしても見つかれば写真を送るなりテレビ電話をかけるなりして、確認をとるつもりだった。

 リュックに移動魔法をかけているということなので間違ってもまた休憩室に送ってもらえばいいだけなのかもしれないが、手間を増やすことはない。


「じゃあ、行ってきます」

「よろしく」




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