第疑話
『生死問わず』。
創造根底館の職員を見つけたときどうすれば良いか訊いたとき、クライアントの返答はそれだった。そのあと「生け捕りにしてくれたら報酬を上乗せする」ということも言っていたが、そのことは仲間たちには伏せておいた。
とりあえず言っておいただけ。
そんなことはわかっている。
わかっていなかったら、その依頼者はその程度だったということだ。
創造根底館に行くということは、それだけのことだ。
だから。
仲間たちには。
見つけ次第殺せ、という指示を出した。
手加減をして勝てる相手ではない。
急所を外しながら戦える相手ではない。
見つけ次第殺せ。
名乗る前に殺せ。
気付く前に殺せ。
死んだとわかる前に殺せ。
死体が残らないように殺せ。
とにかく殺せ。
殺して殺して殺し尽くせ。
そう指示を出した。
それ以外の指示は、特に守らなくてもいい。
そう指示を出した。
それさえ守れば、おそらく命を失うことはない。
五体満足で帰れなくても、命を持ったまま帰ることはできる。
生きたまま、創造根底館を去ることができる。
最悪の話し、勝てないとわかったら逃げてしまってもいいとさえ思っていた。
生きていたら、なんとかなる。
仕事を投げ捨てた以上、もうこの仕事を続けることはできないかもしれないし、クライアントに命を狙われる可能性だってあるが。
それだって、死ぬよりはマシだろう。
今回一緒に仕事をする、13人の仲間。
この仕事で初めて顔を合わせた奴もいる。
これまでずっと一緒に仕事をしてきた奴もいる。
リーダーになって、これまでたくさんの仲間とともに戦ってきたが、今回のメンバーは、まさに精鋭揃いだった。
どんな相手にも負けないような奴らがそろった。
負けるビジョンが浮かばない魔法使いが集まった。
それでも、全員が全員、最高のメンバーとわかっていても、誰一人油断をしないメンバーだった。
これを超える魔法使いなど想像できない。
たとえ創造根底館の職員であっても。
なのに、なんでだ?




