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異世界で目覚めた俺。スキルも魔法も使えなくて絶望する ~神羅 試神の転生召喚~  作者: ねすと
神羅 試神のダンジョン探索 ―― 第八章 ――

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第103話 あれをダンジョンと疑わないほうが無理があるけどな

「完全、不死、最強……」


 墓蒔が言ったそれが真実が、単に口から出まかせであるかは別にしても。

 それに近しい『力』を持っているのは事実だった。


『不死』。

 それであれば、何度血液を磁化させても死なないのは当然だ。


 鉄分を反発させるばかりが使い方ではない。


 鉄の砲弾を打ち続けていたとき、同時に血液のほうもいろいろ弄っていたのだ。

 血液の濃度を変え、密度を変え、血栓を作り、血の巡りを逆流させ、加速させていた。

 常人であるなら間違いなくショック死している状態を幾度となく作り出しても全く無意味だったのは、そのせいかと納得できる。

 

 それに、鉄の塊を当てても怯みもしないのも、『不死』か『最強』のどちらかが働いているからなのだろう。

 墓蒔の体に攻撃が触れた途端砕けていったところを見ると『最強』のほうだろうか。


 しかし、先ほど触手を飲み込んだとき、自分で腹を破っていたところを見ると、まるきり攻撃がきかないというわけではないらしい。


 自身に完全、不死、最強を付与。

 曖昧すぎてよくわからない。

 わからないが。


(めんどくさいことには、変わりないのです)


『ダンジョン特化型』というものがあるのも驚きだが、それ以上にそんな固有魔法が存在しているにも驚きだ。


「うはは、ガマンに耐えてこそのご褒美ってやつだ」

 軽く笑って、押さえつけていた鉄をバラバラ分解する。

 ついでに、磁化されていた血液ももとに戻した。


 表情には出さなかったが、死なないにせよ血液が滅茶苦茶に弄繰り回される状態は、墓蒔にとっても辛かったのだ。


 死なないアピールで平気なふりをしていたが、正直気持ち悪くて吐きそうだった。


「魔法だって、この通り」

 固有魔法発動前はほとんど使えなかった魔法だが。

 今は、制限なしで使い放題だ。


『完全』なのだから。

 魔力を貯める行為すら不要で、魔法が使える。


「許容以上の魔力があるとぶっ壊れる不完全な臓器である必臓も今の俺なら克服してるしな。うはは、魔王室にも絶命洞窟にも出入り自由だ、羨ましいか?」


「まったく」

 心殺が首を振る。強がりでもなんでもなく、本心でそう言った。

 羨ましいというより、興味がないというほうが正しいかもしれない。

 ―――いや、そもそも。

「ダンジョン特化型だったら、発動すらできずに死んで終わりなのです」


「なんで?」


「決まっているでしょう。<ラストワン>が発動できないからなのです」


「うん。だから、なんで?」


「………………はい?」


「なんで姉ちゃんは、絶命洞窟がダンジョンじゃないって言い切れるんだ?」


 心殺が押し黙る。

 答えられなかった。

 

 その問いに答えられるだけの情報を、心殺は持っていない。


「俺様からしてみれば、あれをダンジョンと疑わないほうが無理があるけどな」


 絶命洞窟はダンジョンである。

 そんなこと、心殺は考えたこともなかった。

 

 なかったが。

 納得できない部分も、ないわけでは、ない。


「うはは。まさかとは思うが、『絶命洞窟と友情崩壊ダンジョンって同じ洞窟の形をしてるから、もしかしたら絶命洞窟のほうもダンジョンなのかも』、とか思ってるわけじゃねえよな」


「当たり前なのです」

 馬鹿にするなと言いたい。

 そんな形が似てるから同じなのかもと思うほど、心殺はまだパニックになっていない。


 友情崩壊ダンジョンがたまたま洞窟の形状をしているだけで、ほかのダンジョンは様々な形をしていることは、心殺も知識として持っている。


 実際に体験していないという点に限っていえば。

 二人とも、絶命洞窟がどんな内部をしているのか聞いたことしかない、という点は同じなのだが。


「絶命洞窟がほかのダンジョンように、日ごとにリセットされるということは聞いたことないのです」


 もしリセットされるのであれば、内部で働いているロボットや、魔石を燃やしているマシュマロも消えてしまっているはずである。

 次の日も残っている。

 だから―――。


「リセットされないからダンジョンじゃない。なんて、安直に考えすぎだろ」


「…………」


「そもそもダンジョンっつーもんがよくわかってねーわけだし、別にいいんじゃね? リ(・)セ(・)ッ(・)ト(・)さ(・)れ(・)な(・)い(・)ダ(・)ン(・)ジ(・)ョ(・)ン(・)があっても」


「リセットしない……ダンジョン」


「ダンジョンはリセットするもんだ、なんて結局、真・安心安全安寧ギルド……真ギが言ってるだけだしな。……ん? いや、違うか。ある特定の時間でリセットされるもんを、真ギが『これはダンジョンです』って勝手に言って管理してるだけなのかもな」


 ダンジョンを管理しているギルドがあることは心殺も知っている。

 けれど、なにを基準に判断しているかまでは、調べていない。

 もしかしたら明確な基準があり、その中に『リセット』が含まれていないのかもしれない。


 そして。

 ダンジョンと判断するには当たり前の話し、調べなくてはいけない。中に入らなくとも、近寄らなければいけない。


 当然、近寄っただけで死んでしまう絶命洞窟は、調べられていないはずである。


「そもそも、わからねえことだらけのダンジョンを無理やり一括りにしてる時点で、例外が生まれるのは当然だろ? 真ギが見逃してるダンジョンがあったっておかしくねえ」


 わからないことの代表として。

 一日ごとにダンジョンが形を変え、内部を一新―――リセットすることがあげられる。


 一つだけの特別なことではなく、ダンジョン―――と呼ばれるものが全て行っているものなので、なにかしらの理由があってのことだとは思うが。

 その理由が、わからないでいる。


「…………いや」

 逆に言えば。

 ……絶命洞窟には、リセットする理由が、ない?


「俺様的には、ダンジョンが日ごとにリセットする理由は内部にあるものを喰うからと思うんだけどな。ダンジョンは生き物で、生きるためには喰わなきゃいけない。だから一日一回の捕食活動として、中にあるものを喰う。喰った残りのカスは異物として再編成して、それは餌―――人間をおびき寄せるための餌に使われる」


 こいつもダンジョンの排泄物ってことだな、と墓蒔が形身代わりを顔の前に持ってきて笑う。


「……とすると、絶命洞窟はリセットも、異物も生まないダンジョン、ということですか?」


「いや、異物はあんじゃね?」


「……はい?」


「魔石」


「…………」


「絶命洞窟は魔石を生むダンジョン。そう考えりゃいいだけだろ?」


 心殺も話しに聞いただけだが。

 絶命洞窟がどうやって魔石を生んでいるか、わからないという。

 

 あるとき突然、そこに存在している。

 ロロロはそう言っていた。

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