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『ラノベでスッキリわかる!異世界ギルドの働き方が変わる5つの魔法 ~受付嬢アリサのギルド奮闘記~』  作者: ぽてと


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15/25

【完璧主義の罠】「完了」は「完璧」に勝る 5/5

討伐隊が勇ましく出陣していくのを見送り、ギルドの執務室に戻ったアリサは、いつものように自分のデスクで真新しいバインダーを開いた。


「おはよう、アリサ。ルークのあの清々しい顔……見事な魔法だったわね」

 背後から、淹れたてのハーブティーの香りと共にシレーヌが声をかけてきた。


「シレーヌ先輩、おはようございます! はい、ルークさん、最後は本当に必要な情報だけをスッキリまとめてくれました。もう『徹夜で報告書を書く病』からは抜け出せそうです」


「ええ。完璧主義の人は『手を抜くこと』に強い罪悪感を持っているわ。でも、『捨てること』は『本当に重要なものに集中すること』だと教えてあげれば、彼らほど頼りになる存在はいないのよ」


シレーヌは優雅にカップを傾けながら微笑んだ。


「仕事の目的を履き違えず、相手が本当に求めている【2割】を最速で届ける。筆頭受付嬢として、また一つ強力なマネジメントの型(武器)を手に入れたわね」

「はいっ!」


アリサは銀色の羽ペンを握り、インクをたっぷりとつけて、今日学んだ教訓を『お仕事魔導書メモ』にしっかりと書き込んだ。


【私のためのお仕事魔導書メモ


新シリーズ第3の魔法:完璧主義の脱却(完了は完璧に勝る)


100点を目指して期限に遅れるより、60点で最速で提出する方が価値がある!


パレートの法則(80:20の法則)

仕事の成果の80%は、たった20%の「重要な芯」から生まれる。まずはその20%を見極め、そこだけを全力で終わらせる。残りの80%の細部に時間をかけすぎない!


MVP(最小限の完成品)で確認する

相手の「100点の正解」は自分には分からない。自分一人で作り込まず、まずは60点の骨組み(MVP)を見せてフィードバックをもらうこと!


「……よし、これで完璧!」

 アリサが満足げにバインダーを閉じようとした、まさにその時だった。


「ふざけるな! お前みたいな役立たずのチキン野郎、今日限りでクビだ!!」


ギルドのカウンター側から、怒鳴り声が響き渡った。

 アリサが驚いて顔を上げると、大剣を背負ったガラの悪いリーダー風の男が、小柄な少年を床に突き飛ばしているところだった。


「ご、ごめんなさい……! でも、あの森の奥からはすごく嫌な気配がして……進んだら全滅するって思って……」

「うるせぇ! お前はただのビビリだろ! 魔物の足音を聞いただけで尻尾を巻いて逃げ出しやがって。斥候スカウトのくせに前も歩けねぇなら、冒険者なんか辞めちまえ!!」


突き飛ばされた少年は、涙目でブルブルと震えながら俯いている。

 周囲の冒険者たちも「あいつ、いっつも怯えてるよな」「あれじゃパーティーのお荷物だぜ」と冷ややかな視線を送っていた。


「……また、厄介なことになっているわね」

 シレーヌが静かに呟く。


「先輩。あの子は……?」

「最近登録したばかりの新人斥候よ。確かに異常なほどの怖がりでね。どのパーティーに入っても『臆病すぎる』とすぐに追い出されてしまうの。……彼自身も、自分の性格を『冒険者としての致命的な弱点』だと呪っているようね」


床に座り込んだまま、「僕なんて、やっぱりダメなんだ……」と呟く少年。

 その姿に、アリサはバインダーを小脇に抱え、真っ直ぐに歩み寄った。


(臆病なのは、本当に『弱点』なのかな?)


物事は、見る角度によって全く違う顔を見せる。

 「長所」と「短所」は、コインの裏表だ。


「……大丈夫ですか?」

 アリサは少年の前にしゃがみ込み、そっと手を差し伸べた。

 人の心とチームを救う第4の魔法。視点を変え、弱点を最強の武器に裏返す『リフレーミング』の授業が、今始まろうとしていた。


新シリーズ第3弾「完璧主義の罠(パレートの法則)」編、最後までお読みいただきありがとうございました!


「資料のフォントや色使いにこだわっていたら夜中になってしまった」「メールの文面を何度も書き直して、送信ボタンを押すのに1時間かかった」……仕事をしていると、誰しもこんな経験があるのではないでしょうか。


真面目な人ほど「100点じゃないと怒られる」と思い込んでしまいがちですが、実は上司や顧客が一番怒るのは「質が低いこと」よりも「いつまでも出てこないこと(情報がないこと)」だったりします。

「とりあえず60点ですが、方向性合ってますか?」と早めに見せてしまうMVPの考え方は、相手にとっても自分にとってもストレスを激減させる最強の魔法です。明日からぜひ、勇気を出して「60点で提出」してみてくださいね!


さて、次回は第4シリーズ!

「自分は臆病で取り柄がない」と泣く斥候の少年が登場します。

しかし、言葉の額縁フレームを掛け替える心理術『リフレーミング』を使えば、「臆病」は「危機察知能力が異常に高い」という最強の武器に生まれ変わります。

自分の短所に悩んでいる方、部下や後輩の欠点ばかり目についてしまう方にぜひ読んでいただきたいエピソードです。お楽しみに!


明日からも、肩の力を抜いて60点で駆け抜けましょう!

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