第二話『悪魔誕生 その②』
当日。ジョーとニナはGS用大型トレーラーに組み上げたジャゴを乗せて例の工業都市へ向かう。それはトレーラーとは名ばかりの、全長十数メートルもあるGSを収容できる移動式ガレージのようなものだ。運転席は広い視野を確保するために、少し前方に突き出た硝子張りのキャノピーになっている。
乾いてひび割れた褐色の大地を、トレーラーの巨大な車輪が蹂躙して疾走する。この車両は廃材回収業者の物を流用したものであり、傍目には極ありふれたハゲタカの一つとしか認識されない。ハゲタカのようなタイプの業者なら戦場付近をうろついていたり、戦場に踏み込んでまで廃品を回収する事も全く不思議ではない。決して好意的に見られる職種ではないが、彼らが居る事によってどれほど戦いが繰り返されても『戦争のゴミ』は回収され、街は復興に向かいやすくなり、社会は簡単に戦争の傷を忘れて新陳代謝する。
ここまでいくつかの検問も、廃品の山に埋もれた片腕のジャゴを見せる事で二人は突破してきたのだ。
「わあ、やってるね。あれ。」
ハンドルを切りながらニナが呟くと、助手席から窓の外を見ていたジョーも同調する。
「ああ。流石にジジイの息がかかってるだけあって、一応自警団にも友軍がいるんだな。」
「でも、あれじゃ長くは持たないね。」
「さあな。」
ジョーの気のない返事で会話が途切れる。しばらくの沈黙と、車内を激しく揺らす荒れ道の喧騒が鼓膜を叩く。
ジョーは遠目から確認出来る、射撃の光りと音、そして街の様子を見ていた。射線を見れば相手の位置と目標が分かる。しかしそれだけではない。観察すれば弾の種類から、それを扱えるGSの種類までもが見て取れる。中口径の連射砲と、二百ミリ規格の大口径。プラズマ兵器の射線も見て取れた。
「友軍は五から七機、ってところか。敵機はだいぶ散らばってるな。」
「散らばってる?じゃあ相手はどのドックが本命か知らないんだ。だから街中のドックを虱潰しに探す必要がある・・・」
「そんなところだろうな。ジジイのマップでプレゼントが第七ドックにあると知ってる俺たちに多少の分がある・・・ジジイが乗り捨てろと書いていたのはそういう事か。」
二人は冷静に戦況を分析する。
当初の予想通り、地上戦艦は全部で五隻来ていた。ラブリュス級巡洋艦。二百メートル級の大型艦だが、それ故に工業都市の懐には入り込めない。街は大小さまざまな建物が立ち並び、地上にも高所にも鉄道やモノレールが神経組織のように複雑に走っている。それがコンクリートジャングルの体を成している。街の奥地へ入り込めるのはより身軽なGSだけだが、土地勘のない同盟軍は安易に奥地へ進出するのは難しい。進出しなければ街中のドックは調べられない、しかし踏み込み過ぎればゲリラ戦術の餌食にされかねない。その微妙な駆け引きが性能不利と数的不利のレジスタンスが同盟軍相手に拮抗出来るカラクリだった。
―――――――
―――――
―――
戦艦の艦載砲が少しずつ遮蔽物になる建物を薙ぎ払い、遮蔽物が減った分だけ同盟軍のGSは戦いやすくなる。この事実が、レジスタンスの拮抗が期間限定のものだと冷たい現実を突きつける。最終的に、この土地には何も残らない。街も、人も、ドックも、兵器も。その結末に至らしめる為に、詰め将棋を指すように、同盟軍は着々と作戦を進めていた。
同盟軍の正式量産機、ナイト・シリーズ。それはどこかの国、どこかの世界で中世騎士と呼ばれていた者に酷似した見た目をしている。
頭部カメラユニットは円筒形の兜に守られ、スリットを通して外界を映している。無骨な金属光沢を照り返す、蛇腹の構造。肩部可動構造は肩アーマーと一体型になっており、大きくて威圧的なシルエットを成している。
その外観は、より人型に。両腕には追加アタッチメントを保持する為のハードポイント、両足の脹ら脛部分には移動速度を劇的に向上させるスラスターが内蔵され、背部には長距離跳躍を可能にする大型ブースターが設置されていた。
胸部前面はコクピットハッチを兼ねた装甲が鎧のように機体を守り、ジャゴでは弱点として露出していた動力部もこちらは内部に収納されている。あらゆる面で前時代の戦士を凌駕する新時代の騎士、蹂躙と制圧の矛こそが、即ちナイトなのである。
「ライオット少尉、前に出過ぎだ。」
通信機越しに上官の声が聞こえる。その声とともに『NO VIDEO』の小窓がインターフェースに表示されるが、若い少尉は瞬時に髭面でしかめっ面のモリソン中佐の姿に頭の中で置き換える。その顔があまりにも恐ろしかったので、ライオット少尉は本能的にアクセルペダルから足を外した。
「すいません、中佐。」
すぐに自分も音声をオンにして返事をする。
ライオット少尉のナイト・ウォーリアーの肩に手を置きながら、ナイト・アーチャーを駆る、同じく少尉のヴァイスマンが軽口を言う。
「張り切り過ぎると死ぬからな・・・肩の力抜いて行けや!」
階級は同じだが、ヴァイスマン少尉はこのモリソン部隊に半年早く配属された、ちょっとした先輩だ。
「ヴァイス・・・お前はもっと規律というものを思い出せ。任務中に酒を飲む奴があるか。」
隊長のモリソン中佐はヴァイスマン少尉の話し方から推測しただけだが、どうやら図星だったようでヴァイスマンは急いで通信から抜ける。呆れたようなモリソン中佐の溜息が響き、通信に参加していた隊員たちの笑い声がこぼれた。
「良いかお前ら。装甲は信用しすぎるな。相手を旧式と見くびるな。俺は今罠の中に居ると思え。規律は守れ、だが作戦には縛られるな。良いな?」
隊長の命令に息を合わせて返事をすると、隊員たちは一気に作戦行動を開始する。
ナイト・ウォーリアーは大型のシールドを備えた、同盟軍の正式量産型GSだ。シールドに隠れながら先陣を切って接近し、マシンガンを撃ちながら突撃する。そして近接戦闘では敵を装甲ごと叩き壊すスパイクメイスで戦う、中近距離戦闘を得意とする機体。前進する事に躊躇がない、ライオット少尉のような若くて思い切りの良いパイロットにうってつけのGSである。
そして彼の先輩、ヴァイスマン少尉が駆るナイト・アーチャーは装甲突破に重点を置いた大型の射撃兵装、ネメシスボウで一撃必殺を狙う機体である。ネメシスボウとショートバレルマシンガンという近接戦闘を想定していない潔い設計で、味方のウォーリアーに守られながら一瞬のチャンスをモノにする。
「骨董品が・・・いい加減にしろよなっ!」
建物の陰から飛び出たライオット機が、シールドを構えて真正面に向かって走る。若い少尉が向かう先には一機のジャゴが控えていた。
骨董品と呼ばれた旧式機は、ライオット機の突進にも臆せず迎え撃つ構えだ。コクピットを左右から挟む大きな胸部ハッチが開き、牙を剥くのは二百ミリ徹甲弾の大口径機関砲。怪物の大顎のように開いたハッチから覗く旋回式の多砲身が、重厚な駆動音と雷鳴のような破裂音を上げて火を噴いた。発射された徹甲弾はシールドに容赦なく激突し、衝撃は無慈悲にコクピットを揺らす。この時のライオット少尉には、操縦桿を握る自分自身とシールドを構えるナイトが同じ衝撃を共有しているという実感があった。人機一体の感覚に心が震える。彼を満たす背徳的な、兵士としての充実感が心地良い。
ジャゴの二百ミリ徹甲弾機関砲は確かに驚異的な武装だ。三十年以上前、まだ地上戦艦が戦場の主役だった時代、この大口径の連射砲を有する機動兵器は間違いなく戦場の悪魔だった。あの時、人型兵器は戦争の歴史を塗り替えたのだ。しかし、あれから世界は大きく変わった。技術は進歩し、戦術は洗練された。二百ミリ徹甲弾はもはや防ぎ得ない最強の矛ではなく、技術と戦術で防ぎうる数ある兵器の一つに成り下がった。特にこのナイトシールドは、ジャゴタイプの胸部ガトリング砲を無効化する目的で設計され、多大な資本が研究開発に費やされ、その末に誕生した防衛の絶壁だ。
衝撃はある、しかしダメージはない。操縦桿越しに殴りつけるような衝撃の雨を感じながら、ライオット少尉は一歩、また一歩とレジスタンスのジャゴとの距離を詰めていく。その背後に控えるヴァイスマン少尉のナイト・アーチャーがネメシスボウに矢を番えてジャゴのコクピットに狙いを定める。それは弩を参考に作られた兵装で、矢筒と一体になった大型の射撃兵装だ。ドリルのような螺旋形状の矢をバレルのジャイロ構造で射出する事によって、高速回転するドリルの矢が激突した場所を掘削し、盾や一部の遮蔽物を貫通して敵を射抜く。当然、ジャゴのコクピットハッチ程度は容易に貫通して中のパイロットをミンチにする威力がある。
「わりぃな、アハト・ゼムの亡霊ども。さっさと成仏してくれや!」
サイトをジャゴに合わせると、オートマチックパイロットシステム(APS=Automatic Pilot System)が自動で照準を微調整する。ジャゴと比べて自動化と簡略化が進んだナイトの火器管制システムの本領発揮である。パイロットがモニターに表示された照準で大まかな目標を指示するだけで、システムは敵がジャゴタイプのGSであると即座に判定し、狙いがコクピットであると理解し、その急所を正確にロックオンするようにナイトの腕関節や姿勢をミリ単位で調整してオートロックオンを決行する。
後はただ、パイロットが操縦桿のスイッチを押せば良い。それだけで、敵は死ぬ。
「じゃあな!」
ジャゴパイロットを少々哀れに思いつつ、ヴァイスマン少尉は努めて軽薄に、己に言い聞かせるように言って指に力を込める。
ライオット少尉のナイトに守られヴァイスマン少尉がネメシスボウの矢を放つと、唐突にライオット機の右肩部が爆裂する。黒煙を肩から膨らませ、鋼の巨人がゆらりと傾いた。
その爆風に煽られた矢はあらぬ方向へ飛ばされ、千切れたナイトの腕は勢いよくビルに突っ込んでめり込んだ。
「ライオットォォォォッ!」
叫ぶヴァイスマン少尉。衝撃的な映像を目にして動揺するが、この程度のシチュエーションなら何度も訓練時代に繰り返している。
勢いよく背部ブースターを吹かして前に出る。ウォーリアーよりは小ぶりながら、アーチャーにもシールドは備わっているので、ヴァイスマン少尉はライオット機を飛び越えるようにして弾幕の前に立った。そして盾を力強く構え、一心にジャゴの胸部ガトリング砲の連射に耐える。
機動力に重点をおいたアーチャーのシールドは、残念ながらウォーリアーのものほどの耐久力は持ち合わせていない。これは、ジャゴが弾切れを起こすのが先か、アーチャー仕様のシールドが耐久限界を迎えるのが先か、そんな我慢比べが勝負の明暗を分けるかに思えた。
「来るなヴァイスさん・・・やつら・・・!」
通信機越しのくぐもった声が、手遅れの警告をする。倒れたライオット機が見ていた先には、路地から出て来たもう一機のジャゴがいた。新手は大型のバズーカを構え、こちらを狙っている。先程ライオット機の腕を吹き飛ばしたのもこの機体だ。
そして今、新手のジャゴはバズーカの引き金を再び引いて次弾を発射する。狙いは当然、ガトリング砲に必死に耐えるナイト・アーチャーだ。胸部のコクピットこそ狙えない角度ではあるが、ナイトの脇腹は冷却用スリットになっている。肋骨のように連なる鎧の隙間を、昆虫のような無機質なジャゴの頭部カメラが睨めつけていた。
ヴァイスマン機は正面のガトリング掃射を受け切るので必死だ。避ける事も守る事も出来ない。ジャゴのバズーカから発射された凶弾はそのまま直撃コースを邁進する。
男ははじめて、ここで死を意識した。
———『俺は今罠の中に居ると思え。』
モリソン隊長の忠告が、今更になって鼓膜をなぞる。
凶弾は激突し、爆音が周囲を震わせた。重厚な金属が砕け、大量に火薬が炎を纏って暴走する音が鳴り響く。黒煙と爆熱を伴う衝撃波が、辺り一帯を駆け抜けた。
その激震はライオット少尉とヴァイスマン少尉のコクピットをも揺さぶった。しかし、両者無傷。恐る恐るモニターを見ると、そこには頼もしいセンチネル・ソルジャーの背中、隊長のモリソン中佐がバズーカの一撃を防いでいた。
『センチネル』———即ち、同盟軍の決戦兵器。
同盟国最新鋭にして、最強の量産機がセンチネル・シリーズである。ナイトを元にしていながら、より頑丈に。より大出力に。そして、より強力な武装を携えて。
白銀の騎士は黒煙を切り裂き、白亜の盾は不滅とばかりに煌めいた。傷一つ、照り返す事も無く。
「させんぞっ!」
バズーカの再発射までには多少の隙がある。モリソン中佐はそれを瞬時に判断し、新手のジャゴは捨て置いて今もガトリング砲を撃っている方に進路を固めた。センチネルタイプが持つシールドはナイトシールドのさらなる発展型、特殊な積層波状構造を採用し、衝撃を減衰しながら逃がす事が出来る。素材の硬さと湾曲した形状で耐久力を担保しているナイトのものよりも遥かに防御性能が向上しているのだ。
センチネルは難なくガトリング砲による徹甲弾の雨あられを肩代わりすると、ブースターを吹かす。濁流の中を逆走する騎士は、シールドのスリットに携行している大型の十文字槍、ストライククロスを流れるような動きでセットした。すると自然にセンチネルの上半身は盾の裏に完全に隠れ、槍の刃を突き出したまま大型ブースターの圧倒的高出力で突進する様は、さながら無敵の矛。ジャゴを貫こうと激進する。
しかしジャゴのパイロットは頃合いと見ると、ガトリング砲のハッチを閉じてサイドステップでモリソン中佐の突進を回避してしまった。ギリギリまでガトリング掃射でセンチネルを引きつけた為か、モリソン中佐もこればかりは予想外だった。シールド裏に完全に隠れてしまった事が、そのまま仇になって相手の動きを追い切れなかったのだ。
―――ピピピピッ
無機質な警告音がセンチネルのコクピットに木霊する。敵は左舷に避け、今度は接近反応あり。老いを自覚しつつ、大きく体勢を捻って槍を盾のスリットから外しながら振り抜く。バックハンド気味の槍の一閃は、唐竹割りに振り抜かれたジャゴアックスの一撃と交差する。
技巧は互角。しかしGSのエネルギー出力とエモノの質量は中佐のセンチネルの方が上。ジャゴアックスが真下まで振り抜かれる事はなく、逆にストライククロスはアックスを絡め取るようにして彼方へ飛ばす。錐揉み回転をしながら舞い上がった巨大な斧が、背後のビルに激突しながら粉塵に飲み込まれた。
先の一閃は、本来なら十文字槍の左右に伸びた刃がジャゴの胸部を勢いよく引き裂いてコクピットを破壊するコースだった。しかしジャゴのパイロットは判断が早い。背後のビルに突っ込むほどの思い切ったバックステップで、間一髪凶刃をやり過ごす。
「・・・やるな、だがっ!」
再び開く、怪物の大顎。ジャゴは、もはや残り少ないガトリング弾をここで全て使い切る覚悟だ。しかし、モリソン中佐も手練の一人。この局面は見えていた。無理にジャゴを追わず、槍を逆手に持ち替えて放り投げる。
ビルにめり込んだジャゴは、センチネルの槍の投擲に気付いていながらも、その場を動く事は出来ないでいた。ならばせめて相打ちを狙おうと、最後の抵抗として胸部ガトリング砲を開放する。
今一度牙を剥く、二百ミリ徹甲弾連射砲———
———飛翔する、死の十字・・・
果たして、ジャゴにその一投は回避出来ず、胸部ガトリング砲のハッチが開いてから発射が始まるまでの微妙な隙が勝負の決着を着けた。十文字槍の切っ先がコクピットに深々と突き刺さり、今にも発射しようと回転を始めていた旋回式多砲身がゆっくりと回転を停止する。それはまるで、パイロットと共に機体もまた息を引き取るように。
同じ頃、若き兵士たちも奮戦していた。ライオット少尉は悔しさのあまり拳を握って操縦席を一度叩くと、それで頭を切り替える。
「ヴァイスさん!」
無事な方の腕でウォーリアー仕様のシールドを拾い、ヴァイスマン機の方へ放り投げる。
絶妙なタイミングだった。それはジャゴのバズーカが内部で次弾を薬室に受け渡し、射撃準備が整った瞬間の出来事だったからだ。
「おうよ!」
二人の息はぴったりだった。ヴァイスマン少尉はライオット少尉の意図を瞬時に理解し、アーチャー仕様のシールドを放棄してウォーリアーの大型シールドを構える。
ハードポイントに固定する暇もなく、爆発の衝撃が二機のコクピットを駆け抜けた。ヴァイスマン機は僅かに仰け反り、瞬時に姿勢を戻して次弾に備える。
緊張と、期待の刹那———
しかし、次弾は来ない。
代わりに響いたのは跳躍したGSが着地する重厚な音だった。
「しまった!」
ヴァイスマン少尉は、奇しくもモリソン中佐と同じ轍を踏む。大型のシールドに視界が遮られた一瞬、ジャゴはサイドに、しかもヴァイスマン少尉たちに接近する形で移動していたのだ。今度ばかりはヴァイスマン少尉も、相手を旧式機と侮っていたわけではない。ただ単純に、純粋に、パイロット技術と駆け引きの実力差を見せつけられる形となったのだ。
そのあまりにも鮮やかな機体操作を前に、ヴァイスマン少尉は悪態を付く事しか出来ない。
「俺は・・・足手まといにはならねぇっ!」
叫ぶライオット少尉。
そうだ、足手まといになるなど、死んでも御免だ。例え一人一人は出し抜けたとしても、ヴァイスマン少尉にはライオット少尉が、ライオット少尉にはヴァイスマン少尉がいる。背中を預けられる仲間がいるからこその、若き爆発力がそこにあった。
ナイトの副兵装であるマシンガンを無事な方の腕で構え、ヴァイスマン機の肩口からジャゴに向けて連射する。
ライオット機の射撃を受けて、ジャゴは更に接近しながら反対側にステップを踏んで回避。ヴァイスマン機を身代わりとして使い、マシンガンの連射を強制終了する。しかしその動きはヴァイスマン少尉も確認していた。
「行かせねぇよ!」
ヴァイスマン機はジャゴの行く手を阻むように、ビルに深々と大型シールドを突き立てる。そして、ナイト・アーチャーの副武装であるショートバレルマシンガンを手に取る。この距離ならいくら凄腕のパイロットでも、マシンガンの弾を避けられるわけがないという判断だ。同時に、これほどの至近距離ではバズーカによる射撃は出来まいと。
その判断は正しかった。しかし、シールドの反対側から姿をあらわしたジャゴは回避行動も、ましてやバズーカによる射撃をするつもりもなかった。敵はバズーカの砲塔を棍棒のように両手で握り、勢いよくヴァイスマン機の肩口から後頭部にかけて振り下ろした。
その衝撃は装甲からフレームへ、フレームからコクピットへ、そしてコクピットをも貫いてナイトの足元へと伝播する。メインモニターの映像が乱れ、背後を移すサブモニターは完全にブラックアウトした。機械仕掛けの騎士は衝撃に耐えきれず、膝から崩れてコンクリートに沈む。浮遊感とともに襲いかかった衝撃に貫かれ、一時的なショック状態のヴァイスマン少尉は、次なるジャゴの一手に対応出来ない。
この一撃で砲身がひしゃげたバズーカを放棄すると、武器をジャゴアックスに持ち替えてコクピットを破壊しようと振りかぶる。
「させるかァァァッ!」
飛び出したのはライオット機だった。マシンガンを捨て、ナイト・ウォーリアー本来の武器であるメイスを振りかぶる。
白兵戦は、最も機体性能の差が如実に現れる局面だ。踏み込みの深さ、関節可動の速さ、駆動部の出力差、そして手に持つ武装の殺傷力。ライオット少尉は、旧式機が最も苦手なシチュエーション———性能差勝負の土俵に敵を引きずり出そうと飛び込んだ。
それは不味いと、ジャゴはヴァイスマン機への攻撃をキャンセルする。そしてライオット機の突撃をやり過ごそうとバックステップを試みた。脚部スプリングが弾けると、蹴り抜かれたコンクリートの地面が破裂する。
「逃がすか!まずは腕ッ!」
しかしライオット機はこの好機を逃さない。迷いなくペダルを最大限まで踏み込み、背部ブースターがジャゴとの距離を一気に詰める。ジャゴが下がった分だけ、あるいはそれ以上の飛距離をブースターが詰めてしまうのだ。
ライオット機は勢いに乗り、振り抜かれたメイスは狙い通りジャゴの肩に激突する。そして装甲を潰しながら引き剥がし、肩関節を完全に破壊した。剥き出しのモーターは原型を留めないほど形を歪ませ、神経組織のように走るケーブルが一部断線して火花を散らす。ただの一撃、それだけでジャゴは利き腕を失っていた。こうなってはもはや生存の確率は無いに等しいので、ジャゴのパイロットは不敵に笑って覚悟を決める。
力なく垂れ下がった腕がブラブラと振り子のように揺れる。ジャゴは僅かに後退り、一か八か、至近距離でガトリング掃射を浴びせようとハッチを解放した。
苦し紛れだからこそ、最強の一撃を———!
「そうは行かないぜぇ・・・!」
奮戦する後輩の前とあって、いつまでも先輩が伸びていては格好がつかない。
立ち上がったヴァイスマン機が抱き込むようにしてジャゴのもう片方の腕を絡め取り、そのままスイングして背後のビルに叩きつける。するとジャゴはその駆動系にエラーが発生したのか、ガトリングハッチは半開きの状態で解放運動を停止した。
万事休す。
最後の足掻きさえ、旧式には許されないのか。
———しかし、多砲塔の旋回は止まらない。
射撃の予備動作の回転と、重厚な駆動音は変わらず鳴り響いている。ハッチの隙間から、二百ミリの、怪物の鋭い眼光が二人の騎士を睨めつける。
ジャゴのパイロットは暴発も恐れず胸部ガトリング砲を打つ覚悟だ。危機が去ってない事に気づいて後退するヴァイスマン機。しかし入れ替わりに、ライオット機はむしろ前進する。虎穴にこそ、ライオット少尉は飛び込んでいくのだ。勝利と栄光を手にするために。
「取ったッ―――!」
果たして、ライオット機のメイスの一撃はジャゴのコクピットに振り下ろされる。分厚い鋼のハッチが潰れてひしゃげ、内部のモニターを破裂させながらパイロットの身体をすり潰す。パイロットはもはや、地面に投げつけたトマトのよう。その両側のガトリング砲身さえ歪ませながら、ジャゴはゆっくり倒れて背後のビルに凭れかかる。そして意味のない鉄くずと化したGSは膝から崩れ落ち、僅かに首が項垂れた。
程なくして、二人の少尉のモニターに通信ウィンドウが表示された。
「ライオット少尉、ヴァイスマン少尉、無事か!」
路地から姿をあらわした隊長のセンチネルに手を振りながら、二人は「無事です。」と答えた。
「うむ。被害状況を報告せい。」
モリソン中佐の問いに、先に答えたのはライオット少尉だった。
「はい。右腕をロスト・・・すいません、油断してました。」
「そうだな。だが敵も十分手練だった。良い勉強になったと思っておけ。」
次いで、ヴァイスマン少尉も報告する。
「APSのスキャンだと、駆動系に大した損傷は無し。まだやれます。・・・ただ、サブモニターが真っ黒ですね。こりゃ後ろのカメラがイカれちゃってますわ。」
「ふーむ・・・視界が限られるのはまずいな。」
「ライオットのやつよりぁマシっすよ。」
「そうだな。まあ、一先ずはなんとか敵機二機撃墜だ。敵の戦力を考えればこれでもかなりの打撃にはなっただろう。我が隊はこのまま母艦への撤退進路を取りつつ、交戦中の友軍を発見次第そちらに協力する。良いな?」
モリソン中佐の新たな方針を聞き届けると、二人の少尉らは「はい。」と返事をする。しかしその声色は、作戦行動を開始するときのような余裕と自信に満ち溢れたものではなかった。勝利を収めたはずなのに、高揚感も達成感もまるで感じられない。
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ビルの合間をジャゴが飛ぶ。飛行能力は備わっていないのに。それはあたかも、パルクールでもするように。通常のジャゴにこんな芸当は出来ない。胸部ガトリング砲をオミットした事による無理な軽量化と、脚部スプリングを二重構造にする大胆な改修で設計上想定されていない動きを可能にする。異常発達したような脚部に、片腕という未完成。その有り様は、片翼で飛ぶ鳥のようだった。
「ニナ、これから作戦行動を開始する。」
通信デバイスから響いた声は、やはりいつも通りの、抑揚のない気だるげな声だった。
「了解。確認するけど、途中まで接近したら乗り捨てて第七ドックへ向かうんだよね。」
「ああ。ドック前で降りたら、敵に本命はここだと教えるようなもんだからな。大丈夫、うまくやる。」
また適当な事を・・・と少女は呆れる。しかしその適当さが、すなわち彼の型破りさだという事も知っている。
前日のドックでもそうだった。ジャゴの改修案を聞いた時は流石にひっぱたいてやろうかと思った。最大最強の武装であるガトリングを捨てて、代わりに跳躍力を強化。どうせ乗り捨てるので、軽くするために駆動部の衝撃吸収加工は最小限で良い・・・なんて。
それを強化案と称する事自体、狂っている———
しかし、それを扱うパイロットはもっと狂っている———
———そして、そんな改修案を一夜で形にしてしまうエンジニアもまた、きっと狂っている。
「知ってる。頑張ってね。」
通信はそこで途切れ、両者は己の行くべき方角へ迷わず進む。ジョーは第七ドックへ、ニナはあらかじめ決めておいた合流ポイントへ。
ジョーのジャゴは大きく跳躍すると、ビルの壁面に飛びつく。それだけで建物は音を立てて倒壊し、ガラスとコンクリート片をちらしながら目まぐるしく形を変える。しかしジョーは研ぎ澄ませた感覚だけで、ミリ単位の姿勢制御を遂行していた。最良のタイミングを直感で見出し、崩れ行く足場を蹴飛ばし、次のビルへ再び飛びつく。この異次元の身軽さこそ、ジョーが機体に求めたものだった。武装は腰部にマウントしたアックス一つのみ。その潔さがまた彼好みだ。
今のジョーにとっては、工業地帯の入り組んだ地形も遮蔽物となる高い建物もまるで障害にはならない。目標ポイントまでほぼ一直線に進撃する。
「接近反応?中佐、APSが高速接近反応を検知してます・・・これは?」
ライオット少尉がいち早くマップ上の警告表示に気が付くと、ヴァイスマン少尉とモリソン中佐もマップを確認する。そこには、簡略化されたマップ上で建物を表す無数の長方形を斜めに横切るマーカーが凄まじい速さでこちらに接近していた。
「飛行タイプか?」
「だとすればレジスタンスのジャルゴか。いや、それにしては高度が低すぎる・・・」
ヴァイスマン少尉の指摘に同調するも、違和感を拭い切れないモリソン中佐。接近反応は刻一刻と近づき、脅威がすぐそこまで来ている事を示す警告音が鳴り響く。
所属不明、
ゼロ距離表示、
方向は直上。
三機は防御姿勢を取り、上空をジャゴが飛んで行く。
「センチネル、一。ナイト、二。想定通りだな。これなら問題なく各個撃破に持ち込める。」
冷たく言いながらジョーはビルの壁面に飛びつき、そのまま三機から死角になる路地へと降りる。
「あれもジャゴ!て事はレジスタンスか!」
シールドを構えて戦闘態勢に入るライオット少尉。しかしモリソン中佐のセンチネルが片手で静止する。
「ダメだ。ありゃ何か、とんでもなくおかしい。手負いの機体じゃ食われるぞ。」
「でも隊長!」
食い下がるライオット少尉。それをモリソン中佐が一括する。
「少尉!命令に従え!ヴァイス、お前もだ。機体を過信するな。母艦に戻ってこの事を皆に伝えるんだ。」
言いながら、モリソン中佐はセンチネルのブースターを吹かす。
「いいな!」
部下たちの返答はあえて聞かず、中佐のセンチネルもビルの向こうへ消えていく。残された二人は戸惑いながらも、中佐の命令を全うしようとする。しかし同時に、今度ばかりはあの中佐にももしもの事が起こるのではないかと。そうなった時、命令に従ったがゆえに助けられなかったのだとしたら、それは一生後悔するのではないかと。そんな焦燥に駆られて、その場を動けなくなる。
モリソン中佐が路地を曲がると、そこには先程のジャゴが立っていた。見たところ片腕、手負いなら既に他の部隊との戦闘で消耗している可能性が高い。ガラ空きの背中にはバッテリーと水素タンクを積んだバックパックがある。コクピットに次ぐ、ジャゴのもう一つの弱点だ。冷却効率のためにほとんど剥き出しになったエンジンを潰されれば、ジャゴはやはり沈黙する他ない。
叩くなら今、
やるなら一瞬、
勝負は一撃。
中佐の、老兵としての直感がけたたましいまでのアラートを鳴らす。
「うおおおおおおおッ!!!」
武者震いを雄叫びで掻き消し、モリソン中佐は勢いよくストライククロスを真正面に突き出した。
しかし、ジョーはその動きに合わせて再び跳躍する。背後へのムーンサルト。強化された跳躍力だけでなく、巧みな姿勢制御技術、卓越した空間把握能力、腕の振りまでもを利用した操縦技術と、パイロットの怪物的な身体スペックあってこその離れ業だ。
・・・何せ『ジョー・ザ・スクラッパー』は、ただの人間ではないのだから。
着地が僅かに先か。
ジョーはアックスのビアード部分を鎌のように使ってセンチネル・ソルジャーの首を取ると、勢いをそのままに背後へ引きずり倒す。
———それはあたかも、センチネルという鉄塊を地面にぶちまけるように。
『ぁああ・・・うわあああ・・・!』
通信機越しに、中佐の悲鳴とコクピット内部がめちゃめちゃに破壊された音が再生される。高い音はモニターのガラスが割れる音だろうか。低い方は中佐が中で何度も全身を強打する音だろうか。
ジャゴとセンチネルがほぼ同時に姿を現した。ビルの陰から飛び出たその光景は、凄惨そのものだ。その有り様に圧倒され、二人は何も出来ないまま立ち尽くしていた。それほどまでにその光景は恐ろしく、信じがたく、現実味をビタイチも感じられなかったからだ。
ジョーのジャゴは寸分たがわずセンチネルの肩部と胸部の間の、増加装甲の接合部にアックスを振り下ろす。このプレートアーマーと呼ばれる増加装甲は、センチネルの堅牢さを担保すると同時に、損傷しても簡単に張り替えられるという高い整備性を実現している。しかしその分、接合部だけは衝撃に弱い造りになっている。
———ジョーはそれを、よく知っている。
獰猛な肉食獣が亀の甲羅を剥がして、中の柔らかな肉に牙を突き立てる。そんなグロテスクな映像を幻視する。
ジョーのジャゴがセンチネルの頭部を踏みつけると、微かに映っていたメインモニターの映像が完全にジャゴの足裏で塗りつぶされ、カメラが破壊されると同時に『NO SIGNAL』の文字が冷たく表示される。ジャゴは足でセンチネルの頭部を抑えながら、増加装甲を引き剥がしてコクピットをあらわにする。そして無感情に、流れ作業のようにアックスを振り下ろした。ぐしゃりと潰れるコクピットハッチ。アックスの刃が深々とセンチネルの体内に沈み込んだ。
エモノを急所から引き抜くと、カメラユニットの冷たい視線がライオット少尉とヴァイスマン少尉に向けられる。瞬間、二人の意識が戦場に引き戻された。
「野郎・・・やってやる・・・やってやるッ!」
ネメシスボウを構えるヴァイスマン機。避けもせず、守りもせず、ジョーのジャゴは一直線にナイトに向かって走り出す。
「来るなッ!来るなァッ!」
叫ぶとともに矢を放つヴァイスマン少尉。だが、ジョーはその矢を最小限のアックスの振りではたき落とす。恐怖と驚愕が二人の兵士を同時に貫く。銃撃より速い矢を撃ち落とす斧捌きなど、目の前の現実が非現実的過ぎて、ヴァイスマン少尉はこれをどう受け止めれば良いのか分からないのだ。
恐怖からか、ヴァイスマン少尉は何発も何発もネメシスボウを発射する。そして、その全てが全く同じように打ち払われた。
ジョーにとって、ヴァイスマン少尉の攻撃はあまりにも見え透いている。狙うならコクピット、次点でカメラか足。その定石通りにヴァイスマン少尉はネメシスボウを構え、APSは寸分たがわず定石通りのポイントを狙っていた。
———そんな攻撃は、目をつぶっていても打ち払える。
矢をはたき落としながら急接近するジョーのジャゴ。ヴァイスマン機は近接攻撃に備えてネメシスボウを盾にする。咄嗟の判断だった。あまりの急展開に、ライオット少尉は状況に追いつけない。
「!?―――」
衝撃と、疑問。その二つがほぼ同時にヴァイスマン少尉に襲いかかる。
ジャゴはそのアックスを振り下ろさず、サイドモニターは通り過ぎようとするジャゴの、巨大な横顔を映し出していた。思考に空白が生まれる。
疑問、
不気味、
安堵、
しかし、理解不能。
ヴァイスマン少尉の思考をホワイトアウトさせた理解不能が、なんの前触れもなくブラックアウトに切り替わる。ひしゃげたコクピットハッチに深々と突き刺さったジャゴアックスが、事の顛末を物語る。
それは、ヴァイスマン少尉がまだ知らない、生涯知る機会さえ無かった殺し合いのルール。相手の『隙』には、構えの隙と動きの隙の他に『意識の隙』が存在する。全神経を集中しているときであればあるほど、アクシデントはその意識の隙を誘発する。『理解不能』を無理に理解しようとした時、目の前の敵は透明になる。足音は無音になる。時が止まる。そして、鼓動も止まる。
沈黙したナイトが、その全重量をアックスに預ける。そしてジョーのジャゴは無慈悲に跳躍する、アックスを力任せに振り抜きながら。突き刺さった刃は、コクピットモジュールをナイトの胸部から引きずり出して大きく振るわれた。ヴァイスマン機は胸に大きな穴を開けたまま、何度かバウンドして地面に横たわる。
「ぁああ・・・ああぁああぁああぁあああッ!!!」
ヘルメットを脱ぎ捨て、ライオット少尉は髪を掻きむしる。叫ぶ。狂を発する。
ヴァイスマン少尉は気のいい兄貴分だった。軽薄で問題行動が多くて困った人ではあったが、いつも近くで支えてくれた家族のような人だった。ヴァイスマン少尉に乗せられて兵士宿舎の食料庫に忍び込んだ事もあった。その時、初めてモリソン中佐と出会ってこっ酷く叱られて、グラウンドを百周走り切るまで食事抜きなんて罰を下された。
どうして今、そんな事を思い出すのだろうか。整理のつかない頭で操縦桿を握り、目の前の憎たらしい骨董品にメイスを振り抜いた。わけもわからないまま、泣きながら、ライオット少尉は死にもの狂いで突撃する。
ジョーのジャゴは、最低限の動きでライオット機のメイスを打ち払う。狙いも無ければ、テクニックも無い。ただ大きく振り抜かれただけの鈍器の一撃など、ジョーからすれば攻撃のうちにも入らないのだ。
流れる動きでナイトの頭部に肘打ちを入れる。突撃の勢いを逆利用した一撃だったが、頭部カメラは完全に破壊されてコクピットの中は真っ暗になる。ライオット機はそのまま背後へ倒れ始めた。力なく、マネキンのように。そしてジョーはナイトが倒れるより先に、コクピットにアックスを振り下ろす。
それで、終わり。アックスの巨大な刃が無慈悲にライオット少尉の身体を潰し、ナイトはなんの抵抗もなく背中から大の字に倒れる。戦闘が終了したと見ると、ジョーはアックスを再び腰部にマウントする。
「あの槍、使えるな。」
ぼそっと呟くと、横たわったセンチネルが握るストライククロスをやや強引に奪い取る。そしてその巨大な十文字槍を肩に担ぐと、マップで位置確認をしながら歩を進めるのだった。
つづく
おまけ:
本編であまり深堀りする予定が無いキャラはプロフィール形式で紹介していきます↓
・モリソン中佐
名前:ペトロ・モリソン(Petro Morrison)
登場時年齢:45
役割:GSパイロット
特技/能力:日曜大工、薪割り
好きなもの:家族、木材、田舎
嫌いなもの:不義理、中途半端
略歴:
・旧スコラ領の未開拓領域付近にある山間の村に木こり一家の次男として生を受ける。
・20代の時、機神戦争への徴兵令で国防軍に入隊。
・戦後も軍に籍を置き続け、優秀なパイロットとして、また訓練兵に恐れられる鬼教官として、軍でもちょっとした有名人になる。
・39歳で13歳も若い妻と少し遅めの結婚、41歳で父になる。それまで年中無休で従軍していた事で有名だったが、半年に1回は長めの休暇を取って家族の元へ帰るようになった。初めて長期休暇を取った時は彼の教え子たちを中心に引退が噂される騒ぎになったほど。
・本人の愚直で真面目な性格と真顔でも怒ったような顔が災いして若者に距離を置かれてしまうのが昨今の悩み。本人はどの部下も息子のように思っており、実戦で誰にも死んで欲しくないと願う一心で人一倍指導に熱が入る。
・教え子のヴァイスマン少尉やライオット少尉を伴った任務中にジョーに遭遇して戦死。
・ヴァイスマン少尉
名前:ユング・ヴァイスマン(Jüng Weißmann)
登場時年齢:25
役割:GSパイロット
特技/能力:写真撮影、油絵
好きなもの:酒、女、絵になる景色
嫌いなもの:責任
略歴:
・旧イグラ領の下町出身。
・母子家庭出身。4人兄弟の長男だが、他の兄弟とは歳が離れていて血もつながっていない。
・子供の頃、決して裕福ではない家で、ほとんど家に帰らない母親の代わりに幼い兄弟の世話をしながら暮らしていた。貧乏な彼らに許された娯楽は限られており、この時に沢山絵を描いて腕を磨いた。そのうち街角で売れば日銭程度にはなることを知って、母親が家に入れていた金が尽きるとよく兄弟皆で絵を売って飢えしのいでいた。
・13歳の頃、地主の家にほぼ住み込みで働いていて週に一日しか帰ってこない母親が、事実上その地主の妾だったと知る。それがショックで宛てもなく家出し、金払いの良さと衣食住が保証されるのが決め手で志願兵として軍へ。
・20歳を超えると気持ちの整理も付き、家族とも連絡を取って和解する。そして家族に仕送りするために、これまで以上に危険な任務にも積極的に参加するようになる。
・恩師のモリソン中佐や弟分のライオット少尉を伴った任務中にジョーに遭遇して戦死。
・ライオット少尉
名前:ライオット・ベルレイク(Ryot Bellake)
登場時年齢:22
役割:GSパイロット
特技/能力:一升瓶一気飲み
好きなもの:乗馬、球技全般
嫌いなもの:根暗なやつ
略歴:
・旧イグラ領のごく一般的な中流家庭出身。
・漠然とした兵士への憧れがあり、成人するまでの時間は積極的にスポーツや土木作業に取り組んで体作りする。その甲斐あってか、充実した青春時代を経て念願の軍に入隊する。
・大柄で力自慢の彼だったが、すぐに自分は軍人の基準で見ればよくいる程度の若造だと理解する事になる。特に戦争世代の上官には訓練時代にかなりのトラウマを植え付けられる。
・抱いていた理想に反してほとんどの分野で平均的な兵士だったが、GS操縦の分野だけは少しだけ才能があった。その技能を伸ばすために敢えて鬼教官と名高いモリソン中佐に個人的に書簡を送って頼み込み、半年ほど中佐とヴァイスマン少尉に厳しい特訓を受ける。
・恩師のモリソン中佐や兄貴分のヴァイスマン少尉を伴った任務中にジョーに遭遇して戦死。




