↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

197/1164

19話 その3

 そうして四限目の授業まで受け、私は机に突っ伏しました。そんな私にアヴィさんは話しかけてきます。……因みに、一限目の授業が終わったあとに、カーティス・ラングフォードさんの穴埋めがあるか聞いてみたところ、公平性を保つために穴埋めはないとのことでした。それこそ一回戦を戦わずに突破できる方が現れるので不公平な気がしますが、もう既に決まっていることらしいので、諦めるしかないようです。


「主様! 今日も教室で食べますか? どうしますか?」

「……えと、どうしましょう」

「主様が決めてください! 我はどこでも大丈夫です!」


 ……セシリアさんがメシア教国の方を抑えているのなら、別にどこで食べても大丈夫な気がします。今日はお昼ごはんを用意してもらっているのでやめておきますけど、もうそろそろ、アヴィさんが言っていた学院内にあるカフェにも行ってみたいですね。ただまあ、今日は適当に……。

 私がそうこう考えていると、クラウディアさんが近付いてきました。


「ユノ、貴女の熱が下がったみたいで安心したわ。……ただ、私もお見舞いに行ってみたのだけれど、オルタヴィアが中に入れてくれなかったの。……本当にどういうつもりなのかしら?」


 ……はあ、またですか。クラウディアさんにまでそんなことをしていたんですね。……って、私にどうかと聞かれても分かりません。


「……あの、クラウディアさん。お見舞いに来てくれてありがとうございます。……アヴィさんのことは全部アヴィさんの独断なので、私はよく分かりません……」

「もちろんそんなことは分かっているわ。でも、貴女からもよく言ってちょうだい? どうせ私が言っても響かないのでしょうし」

「……そうですか。私が言っても同じですけどね」


 私がそう言うと、クラウディアさんはため息をつきます。私もそれには困ってしまいますが、アヴィさんだけはニコニコと私を見てきていました。少しの沈黙のあと、用事を思い出したようでクラウディアさんが口を開きます。


「それとユノ、貴女には悪いけど、今週の日曜日は私も出席しないといけない式典があるの。だから、オルタヴィアのことは護衛として朝から連れていくわね」

「そうですか、良かったです」

「主様!? 良かったってなにがですか!? 我がいなくて嬉しいんですか!?」


 急に割り込んできて興奮し始めるアヴィさんには、一度落ち着くように声を掛けます。


「アヴィさん、うるさいです。静かにしてください。……護衛のお仕事は頑張ってくださいね。応援しています」

「主様! 応援ってなんですか! どうせ我がいなくなったら嬉しいんですね!? ひどいです!!」

「違います。ただ……」


 私はそこまで言うと、説明するのをやめました。なんだか面倒な気がしてきたからです。どの道私が説得しなくてもアヴィさんはクラウディアさんに付いて行くと思うので、無駄手間ですからね。

 そういうわけで、私が口を閉じるとお二人はキョトンとして私を見つめてきました。再び妙な沈黙があり、微妙な空気が流れていたのですが、それは突然終わりを告げます。


「――マスター、お腹が空きました」


 オルさんは私の隣に現れると、レンさんの席にちょこんと座って私のことを見てきます。多分、お昼ごはんを待っているのだと思います。……ただまあ、魔剣なので必要はないはずですけどね。

 私がオルさんに「……もう少し待ってくださいね」と話し掛けながら頭を撫でていると、クラウディアさんが慌てて聞いてきました。


「――こ、この子は!? ……ゆ、ユノの妹なのかしら!? そもそもどこから現れて……」


 あまりに唐突なことだったからか、かなり動揺しているようです。まずは私も説明することにしました。


「オルさんは私の妹ではなく、魔剣です。とっても賢い子なんですよ」

「……ま、魔剣なのね……。そ、そう……」


 クラウディアさんはそう言った後に小声でなにかを呟くと、落ち着きを取り戻して真剣に私の方を向いてきます。


「魔剣がどうして人の姿なのかしら?」

「……なんとなく試してみたら、擬人化できたんです」

「なんとなく? ……まあそんなことはどうでもいいわ。……その、オルのこと触ってもいいかしら?」

「……? 構いません」

「――な、なら触るわね……」


 クラウディアさんはやや緊張しながらオルさんのほっぺを触り始めます。最初こそ指先だけだったのですけど、途中から抱き締めてたくさん撫でたり揉んだりし始めてしまいました。オルさんは「……やめて、ください」と頑張って抵抗していたのですが、クラウディアさんは「オルは可愛いわね。とっても柔らかくて最高だわ。だから、あともう少しだけ……」と全然やめることなくオルさんをいじめるのでした。それを放置するのはあまりにも可愛そうなので、私も頑張って止めることにします。


「……あの、クラウディアさん? もうオルさんを解放してあげてください……。そんなにムギュっとしてたら潰れちゃいます。ダメです」

「なにかしら? ユノはいつでもこの天使を堪能できるのでしょ? だから少しは静かにしていなさいな。自分一人で楽しもうだなんてずるいわよ」


 ……クラウディアさんはなにを言っているんでしょうか。ただ、ここまで言ってダメなら私ではどうにもできないので、頑張って耐えてください。ごめんなさい、オルさん……。

 私はそう思いながら、一度オルさんの頭を撫でると、アヴィさんに声を掛けます。


「アヴィさん、お昼ごはんを食べましょう。今日はもう教室でいいです」

「分かりました! 収納魔法ストア!」


 アヴィさんが魔法を唱えると、私たちの前にお弁当が現れます。そうして食べ始めようとした時、教室の入口から元気な声が聞こえてきました。


「――ユノいる? お昼ごはん一緒に食べに来たよ!」


 私が声の方を見ると、教室内を見回すセシリアさんの姿がありました。そして、セシリアさんは私と目が合うと直ぐに近付いてきます。


「ユノ大丈夫だった? 熱だって聞いたよ?」

「今は熱も引いて元気です。心配してくれてありがとうございます。……ただ、セシリアさんにまでそんな情報が届いていたんですか?」

「……? うん、そう。……あ、違うかも。私がお昼に会いに来た時、ユノが熱で休んでるって聞いたの」

「……そうだったんですね。もしかして、お見舞いに来てくれたりしました?」


 私がそんなことを言ってみると、セシリアさんは少ししゅんとして答えます。


「……うん、行ったんだけど、入ったらダメって言われて……。あ、そこの子に」


 セシリアさんはそう言いながら、アヴィさんのことを見ました。私はアヴィさんにかなり呆れながらも、セシリアさんに言います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。