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100話 その2

『メアさん? なにか力が出た感覚がありましたか?』

『ますたーの?』

『んと、メアさんのです』

『わたし、がんばった?』

『はい、そうだと思います』


 そう答えてみると、メアさんは透明で綺麗な光を放って人の姿になります。そして嬉しそうに微笑みながら、私にムギュっと抱き付いてきました。


「ますたー、大好き」

「ふふっ、いい子ですね。私も大好きです。とってもすごかったです」


 そう言ってメアさんのことを撫でてみると、夜空さんも人の姿になってすぐに私に抱き付いてきます。


「……私も。マスターのこと大好き……」

「私もです。夜空さんのこと大好きです」


 そう言いながら可愛い夜空さんのことも撫でてみるのですけど、とっても嬉しそうに微笑んでくれるのです。

 そんなお二人に癒されていると、オルさんとルアさんも出てきて私にムギュっとしてくれました。いい子すぎるのでたくさん撫でてみるのですけど、一人では全員を同時に撫でることは難しくて……そう思ったところで、いつの間にかアヴィさんがすぐ横に来てくれていました。


「――なんですかこれ! 可愛すぎます!!」

「そうですね。とってもいい子たちなんです」

「えへへ! こうしてあげます!!」


 そう言い、アヴィさんは一人ずつ優しく抱き締めていきます。

 ……ふふっ、可愛すぎますね。こうしてるともちもちです。

 そんなことを思ってぼーっとしていたのですけど、しばらく経ってロッドさんが来た辺りで、私も大事なことを思い出すのです。

 ……えと、そうでした。……さっきのメアさんの力は、とってもすごかったです。……力の発動すらなにも分からなかったので、あらゆる理を無視した、理解を超えた力なのだと思います。なんとなくレンさんやアヴィさんでも対処できなさそうな感じでしたし、師匠ですらどうなるのか分かりません。……そんな力な気がします。

 ……でも、どうしてそんな力が使えたのか分からないのです。初めて力を使えたことはとってもすごいのですけど、方法はまったく掴めないままでした。


「アヴィさん? メアさんの力を使えたんです。どうしてだと思いますか?」

「……ぐむむ。……どうしてでしょうね! ただ、一度発動できたということからも、大体の条件は予想がつきました!」

「そうなんですか? 教えてください」

「まったく主様は……! でもいいですよ! 我は偉いので話します! 始めに、メア様の名前に注目すると、『想刻剣ナイトメア・ロータス』ですよね! 『想いを刻む剣』であるのなら、ラピスのことなのでそれに関係した力である可能性が最初に考えられます! そしてその想いの強さに応じる形で力を発揮すると、凡そ今回のことで予想がつきました! その理由はいくつかありますが、まずいつも通りに守り人に挑む主様が、今回初めて力を使えたというところに着目する必要があります! 今までとの相違点は一人きりで戦うことになったという部分なので、主様はその中でいつも以上に思考し、その習性からも他の誰かのことを考えたというところまで導かれます! そしてその上で、メア様の力について考察を広げ、ラピスのことを考えたんですね! 敵が消えるまでの時間を考慮してもそれ以上の時間は掛かっていないので、その辺りで思考を終えて戦闘を再開したということも分かります! ……総じて、主様はラピスに対しても強く優しい想いを持っているので、その想いの強さに反応して力が発動した可能性が高いです!」

「……すごいです。それならメアさんの力は、私の想いの強さで使えたり使えなかったりするんですね?」

「そうかもしれません! 通常ならそれを知ってしまうと中々意識してしまい発動が難しくなりそうですが、主様はポンコツで優しい子なので大丈夫そうです!」


 なんだか変な感じの理由ですけど、アヴィさんに大丈夫と言ってもらえたので安心です。


「でも、アヴィさん? 私は守り人に対してそんなに強い想いは持ってませんよ?」

「それは直前のラピスへの想いに反応して力が発動し、かなり運良くその直後の敵へ攻撃を仕掛けるという思考を、その目的として捉えらえられたのだと思います!」

「……そうですか」


 ……まあ、そうですよね。……お話を聞くだけでもなんとなくすごく運が良かった気がするのですけど、これからもっとしっかりと使えるようにしましょう。……もしかしたら、美味しいパンやパスタのことを考えれば大丈夫かもしれません。


「――主様? 今食べ物のことを考えてましたよね? そんなのではダメだと思いますよ! 主様なら事前に準備した言葉や想いではなく、その咄嗟の雰囲気でなんとなく発動できるはずです! 練習の時は中々難しい気もしますが、少しでも程度を掴めるように頑張りましょうね!」

「……はい、食べ物以外にします」

「あ、布団とかお風呂もダメです!」

「……分かりました」


 なぜかそんなことを言われてしまったので、私は少し悲しくなりながら一度頷いておきます。……でも、可愛い子たちが私のことを見上げてくるので、それどころではありません。


「ふふっ、いつも頑張ってくれてありがとうございます。これからもまだ大変な戦いは続きますけど、一緒に頑張りましょうね」

「はい、私はマスターの魔剣です。一緒に頑張ります。夜空さんとルアさんとメアさんも一緒です」

「……すごい」

「我も一緒です」

「わたしも、頑張ってみる」

「そうですね。とっても偉いです」


 夜空さんだけお姉ちゃんなオルさんの言葉に気を取られてしまっているのですけど、そんなところもとっても可愛いので、私はたくさんたくさん皆のことをムギュっとしてあげるのでした。大切で可愛いアヴィさんのこともです。

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