98話 その10
そうしてアヴィさんと戯れながら過ごしていると、何度か寝てしまったあとに可愛い子たちが起きてきます。
『……ますたー、……あさです』
『……おきて……みた』
そんな声が聞こえてくると、私の視界を見てなにかに気付いたみたいで、お二人は姿を現してくれるのです。ただ、とってもふわふわな布団の上に出てきてしまったので、あまりの柔らかさに真剣な感じでぽふぽふしてしまいます。
「ふわふわです」
「……すごい。……どうして?」
「ふふっ、とってもすごい布団だからです」
そう言ってみると、オルさんも夜空さんも布団を頑張って掴んでムギュっとしてしまいました。
「気持ちいいです。持って帰ります」
「……ずっとこうする」
「えと、それならアヴィさんに同じ布団を作ってもらいましょう。それをお部屋に持っていきます」
「えへへー! 我に任せてください! 作ってあげます!」
アヴィさんはそう言うと、一瞬で布団を作ってオルさんと夜空さんに掛けてくれるのです。それによってお二人ももふもふで動けなくなってしまうのですけど、そこから頑張って顔を出すと、私のことを少し見つめてから布団と一緒に収納魔法の中に戻っていきました。
「主様、可愛すぎますね!!」
「はい、とっても可愛いです」
「布団から抜け出す時のあの頑張った感じは最高でした!!」
「そうですか。もちもちしてます」
「――!? ほのぼの主様すぎますよ!?」
そう言って私の髪をもぐもぐしてくるアヴィさんを見つめていると、まだうとうとしているルアさんとメアさんを連れて、オルさんと夜空さんが戻ってきました。
「見てください。ふかふかです」
オルさんにそう言われると、お二人はぼーっと布団を掴むのですけど、あまりのもふもふ加減にそのまま首を傾げてしまいます。
私もそんな子たちを見て体を起こすと、お二人を起こしてくれたオルさんと夜空さんのことを撫でてから、しっかり説明しておくのです。
「ルアさん、メアさん。この布団はとってもすごい布団です。なのでいい感じなんです」
「……すごいです。……ふわふわです」
「……このふかふかはますたーの?」
「そうです。私のふかふかです。でも、同じものをオルさんと夜空さんにお部屋に持って行ってもらいました。これからはいつでも抱き締められますよ」
「……良かったです」
「わたし、たくさんギュッとする」
そう言うお二人は、とっても嬉しそうに微笑んでくれました。そんなルアさんとメアさんのこともたくさんムギュっとした私は、大きな室内を見回す四人にお話してみます。
「あのですね? このお部屋は私の部屋なんです。……実は、私は魔族の国の王様だったんです」
「そうですよ! 主様は魔族のお姫様であり、王様でした!」
「……すごいです。マスターは優しいのでお姫様です」
「……そう?」
「はい、そうです。お姫様です」
そう頷いてみると、四人は少し顔を見合せてから、「お姫様です」「……私も」「我も……お姫様になります」「おるもよぞらもるあもすごい」と言って喜び始めます。メアさんはなんとなく分かっていなさそうな感じなので、「メアさんもお姫様です」と言って撫でてあげました。
そして優しいアヴィさんにそれぞれドレスのデザインを見せてもらった四人は、しっかり物質生成の力で同じものを作ると、ベッドから降りてお部屋の中の散策を始めました。ぱたぱたと駆け回るメアさんの後をオルさんと夜空さんとルアさんが付いていっています。
「見てください、主様! メア様のドレスだけぐにゃっとしてます!」
「そうですか? 普通です」
「――!? 全体的にぐにゃっとズレてますよ!?」
「そんなことありません」
「……ぐむむ。……これでも可愛いのですが、我が直してきます!」
「……? そうですか」
そう言い、私は四人の元に行くアヴィさんを見送っておきました。ただ、実際にアヴィさんがドレスの形を修正してくれると、最初のメアさんのドレスよりもだいぶいい感じになりました。……すごいです。
「えへへ! 主様もどうですか!? 我が着させてあげますよ!」
「んと、大丈夫です。私は少しだけお姫様な感じでした」
「――!? なんですかそれ! 主様はしっかりとお姫様でしたよ!」
そんなことを言ってアヴィさんが私の胸に顔を埋めてくるので、私も優しく撫でてあげつつ、楽しく遊ぶオルさんたちをまったり見守るのでした。
〇
それから結局夜になるまで、お城でまったりと過ごしてしまいました。三千年前のことを思い出すみたいで、なにをするにしてもアヴィさんが喜んでくれるので、私も嬉しかったのです。
「こんなに泡だらけになって、あわあわ主様ですね!」
「アヴィさんもあわあわアヴィさんにしてあげます」
「やったぁ! そうしてください!」
そう言うアヴィさんを泡だらけにしてあげたあとは、しっかり洗い流してお風呂に入るのです。
「……ふふっ、アヴィさん? とってもいい子ですね」
「はい! 我はいい子すぎます!! 主様のことが大好きです!!」
とっても大きなお風呂でお互いに体を抱き合っていると、次第に少しずつ眠くなってきました。
「……ん、……キスはもうやめます……」
「……そんなぁ、我はもっとしていたいです!!」
「……そうなんですね。……んと、……もうねます」
「――!? ここで寝るんですか!?」
「……はい、……アヴィさんにつれていって……もらいます」
そう言うと、私はそのまま目を閉じてアヴィさんに体重を預けました。既にオルさんたち四人もすやすやと近くで寝ているので、布団までアヴィさんに連れていってもらいます。
「……おやすみ……なさい……」
「まったく、なにもかも最高です!! 全て我に任せてくださいね!! でも、ご褒美として主様の体をたくさん使わせてもらいますから!!」
そんな声が聞こえてくると、「……おやすみなさい、主様」と耳元で囁かれます。そしてそのすぐ後から耳や首を舐められ始めるのですけど、私は眠かったので気にしないことにしました。……ただ、アヴィさんが体を擦り合わせるように動き始めるとなんだかくすぐったかったので、私は少しムッとしてみるのです。
「……むぐぐ。……仕方のない子ですね! 主様が寝るまで待ってあげますよ!」
アヴィさんもそう言うとすぐに大人しくなってくれたので、私は安心してぽかぽかに浸かりながら眠りにつくのでした。




