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97話 その1

 ……ふふっ、喜んでもらえると嬉しいです。

 私たちはそれからさらに八日経っても変わらず、毎日まったりとした穏やかな日々を送っていました。楽しくマキア国の散策を続けているのですけど、人のいるところはほとんど回ったというのになんの手掛かりもないままです。ただそれは良くて、今日はリタさんの誕生日なのです。


「ルアさん、メアさん。この箱を閉じてください」

「分かりました。持ってます」

「……偉い」

「メアさんも頑張ってください」

「わたし、るあと一緒にがんばる」


 そう言うメアさんが、ルアさんが持ってくれた箱をしっかり閉じてくれました。


「オルさん、夜空さん、リボンをお願いします」

「……オル、持ってきた」

「いい子です。夜空さんはこっちを持ってください」

「……そうする」


 夜空さんも真剣な感じで頑張っているので、私は優しく撫でておくのです。そしてお二人が協力してリボンを巻いてくれたことで、リタさんへのプレゼントが完成しました。一応師匠とパンドラさんと一緒に食べられるように、少し大きなケーキにしたのです。なんとなく箱がぐにゃっとしているのですけど、リタさんも喜んでくれるはずです。


「ふふっ、いい感じですね」

「頑張ってみました。マスター、撫でてください」

「我もです。頑張りました」

「ますたー、わたしも……?」

「そうですね。みんなたくさん頑張ってくれました。撫でてあげます」


 そう言い、私はアヴィさんにもお手伝いしてもらいながら四人のことをギュッとしたりしてまったりと撫でてみるのです。とってもいい子たちなので、少し撫でただけで嬉しそうに微笑んでくれました。

 それから少しして寝室に移動したあとは、『アスタリア・フェイト』を膝に乗せながらリタさんにお手紙を書くことにします。

 ……んと、書きたいことはたくさんあります。いい感じにしましょう。

 そう思いつつ、私は紙とペンを出して早速書き始めます。


『可愛いリタさんへ 十六歳のお誕生日おめでとうございます。今日と明日だけですけど、またリタさんと私は同い年になりましたね。偉いです。ホントは一緒にお祝いしたかったんですけど、それは理由があってできそうにありません』


 明後日の私の誕生日に、なにかが起きてしまう可能性があるので、それを考えると……リタさんの傍から離れたくなくなってしまうのです。……それに、師匠も私に不思議な本を渡してきたくらいですし、ただマキア国巡りを楽しんでまったり過ごしただけで帰ってしまったら、怒ってしまいそうです……。


『なので、その代わりにオルさんと夜空さんとルアさんとメアさん、そしてアヴィさんと一緒にケーキを作りました。きっと美味しいはずなので、師匠とパンドラさんと一緒に食べてくださいね。……私が帰れるのはまだ先になると思いますけど、いつでもリタさんのことは大好きです。リタさんは私のとってもとっても大切な妹です。いい子です』


 そう書いたあとは、オルさんたちにも一言ずつ書いてもらってから、たくさんリタさんが可愛いということを書いていくのでした。




 そんな感じで手紙を書き終えた私は、プレゼントの箱と一緒に手紙を師匠の家に転移してみました。リタさんの部屋の前に送ってみたので、きっと気付いてもらえるはずです。


「主様! なんですかその満足した顔は! 我に食べて欲しいんですか!?」

「……? 食べて欲しくないです」

「そんなぁ……。我の主様なのに!」

「そうですけど、食べて欲しくはないです」

「えへへ! ならこうですね!」


 相変わらず元気なアヴィさんにムギュっとされると、私は全然動けなくなってしまったのでそのままアヴィさんのことを見つめることにしました。ただ、そうしているとオルさんたちが集まってきます。


「マスターと一緒に遊びます」

「……一緒に本を読む」

「そうなんですか?」

「……そう」


 夜空さんがそう言ってこくっと頷くので、私も「分かりました」と答えてみるのです。すると、夜空さんはぱたぱたと図書室に入っていきました。それに続いてオルさんとルアさんも図書室に向かうのですけど、メアさんは首を傾げて私のことを見てきます。


「メアさんは一緒に待ってましょうね。オルさんたちが本を選んでくれます」

「……? すごい」

「そうですね。でも、メアさんもです」


 そう言って頑張ってくれたメアさんのことを撫でると、アヴィさんが私に言ってきました。


「主様! 我も一緒に本を選んできますね! 主様はメア様を可愛がっててください!」

「はい、お願いします」


 そんな感じでアヴィさんが図書室に入っていったので、私はメアさんと一緒にベッドの上に座ってみます。


「メアさん、もふもふですね」

「わたしももふもふしたい」

「それなら包んであげます」

「ますたーも一緒?」

「はい、一緒です」


 そう言ってみると、メアさんが嬉しそうに微笑んでくれるので、私は優しく撫でながら布団を魔法で動かしていい感じに包まってみました。メアさんは少し布団を掴んでふかふか加減を確かめてから、たくさんムギュっとして「ますたー」と言ってくれます。……可愛すぎです。


「ふふっ、なんですか?」


 そう聞いてみたのですけど、メアさんはなんだか少しずつうとうとし始めてしまい、私の肩に頭を預けて目を閉じてしまいました。それだけでとってもいい子なのが分かるので、私は寝てしまったあとにゆっくりと体を横にして布団で包んであげました。そして私の髪を掴んですやすやしているメアさんを撫でていると、図書室からオルさんたちが戻ってきます。手にはたくさんの本を抱えていて、かなり頑張っています。


「……マスター、これ読む?」

「これもです」

「そうですね。読んでみます」

「……我も持ってきました」

「偉いですね。アヴィさんにもお手伝いしてもらったんですか?」

「そうです。アヴィにもお手伝いしてもらいました」

「――えへへ! 我が選んであげました!」

「そうなんですね」


 ルアさんもなんだか満足した感じですし、良かったです。そして少し大変な感じで本を持ってきたオルさんと夜空さんも、それを途中でアヴィさんに渡すと、すぐにベッドの上に上がって私の元に近付いてきました。


「マスター、メアさんがすやすやです」

「……そう。……どうして?」

「ふかふかに包んであげたら寝てしまいました」

「……偉い。撫でてあげる……」

「夜空さんのことも撫でてあげます」


 そんな感じでいい子なお二人に微笑んでいると、ルアさんもアヴィさんにギュッとされながら私のことを見つめてきていました。なので、私は「ルアさんも来てください」と言って、アヴィさんの手から抜け出たルアさんのこともたくさん撫でてあげるのです。

 それから読む本を決めてもらったあと、まったりと本を読んでいきました。

 そうして優しい時間が過ぎていき、今日という一日も平和で穏やかなまま、終わりを迎えるのでした。

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