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19話 訓練(IPGの単語説明集No.13)

ーーーーーーーーーー数日後 2035年 6月25日


「華山さん」

「あっ癒美さん」

「これが診察結果よ」

「『身長162cm、体重52.4kg、血液型MB型』。すみません…。このMB型というのは…」

「ミュータント血液の事よ。一般の血液型のA、B、O、AB型と区別をつける為に、mutantの頭文字のMを取ってMA、MB、MO、MAB型と名付けられているの」

「区別?」

「あら本当に何も知らなかったのね。ミュータントの血液は一般の血液と違って、別の血液型と混ぜても凝固しないの。その代わりその血液のミュータント遺伝子が投与した人物の遺伝子に影響を与えて、そのミュータントの能力が使えるようになるの。でも当然ミュータント血液が与える影響には個人差があって、1度投与したら死ぬまでその能力が使える。という人もいれば、投与して1分しか使えなかったという人もいるわ。そして場合によっては、そのミュータント血液の元の能力が変化する時もある。例えばあなたのその能力『身体を炎に変える能力』でしょう?場合によっては全く逆の『身体を水に変える能力』になる事だってある。まぁそれはかなり珍しいケースだけどね。まぁとにかく一般の血液とミュータント血液は別物だから、区別を付けないといけないの。法律的にも決められてるわ」

癒美が1から説明してくれた。必死に理解しようとしている演武を見て癒美が笑顔で

「まぁ別にあなたは気にしなくて良いわよ。とにかく他とは違うから分けられてると考えるだけで良いわ」

そう言うと癒美は廊下を歩いて行った。

「ミュータント血液か…」

そう呟きながら教室へ向かった。


ーーーーーーーーーークラス10th A組


教室に入るとなんか雰囲気が変わっていた。皆がやる気に満ちていた。

「ん?今日何かあるのか?」

「あっ。焉武。今日神山竜次さんの訓練だろ?」

「あぁ…そういえば一昨日そんな話先生がしてたな。それで皆がやる気出てるって訳か」

「そりゃあねぇ。神山さんはクラス1stでも2番目に入る強さだからね。そんな人の訓練なんて滅多にないのよ!!最高の体験!私はあまり戦う専門じゃなくて、どちらかというと研究とかの方向に行くつもりだけど、それでも神山さんのあの能力は良いわ。カッコ良すぎるもん!!」

千賀が興奮気味に語る。まるで姿は千田研の様だ。まだどうしても嫌悪感は拭い切れないが、とにかく焉武は千賀と友達になっている。他にも千賀の友人の彩と、男子の護とも友人になった。

「神山さんは優しいから私も好き」

「ん?神山竜次さんが2番目に強いとして、1番強いって言われてるのは誰なんだ?」

「グラキエス・ファーさんだ。あの人が1番強いって言われてる」

「え!?グラキエスさんが!?」

「あぁ」

護は頷く。

「でもグラキエスさんって操作系だよな?話しか聞いた事ないが、神山さんは変身系神獣型らしいじゃないか。神山さんよりも強いって事か?」

「詳しく言えば創造&操作系よ。1回2人の戦闘訓練を見たことがあるんだけど、グラキエスさんは自身が作り出した氷で、今まで誰もダメージを与える事の出来なかった神山さんを吹っ飛ばして勝利したんだから」

「そんなに凄かったのか…グラキエスさんって…。結構意外だな…」

普段の優しさからは全く想像出来ない。クラス1stというのは知っていたが、そこまで強いのは予想外だった。

「俺も1回グラキエスさんが戦ってるの見てみたいなぁ…」

「そろそろ時間だね。行こう」

4人合わせA組の皆はグラウンドに向かった。


ーーーーーーーーーー


「よーし。お前ら集まったなー。今日は俺が訓練つけてやるからな」

竜次が大声で言った。その瞬間A組全員が後ろへ下がる。焉武だけが残った形となった。

「ちょっと!?待て!!お前ら!!」

「頑張れー。私は戦うタイプじゃないからー」

「私も外野で見るしか出来ないから…。この大きなハサミもガードしかあまり使わないし」

「俺もこの前個人的に訓練してもらったから。今日は見る専で」

3人は普通に笑顔で逃げた。

「「「頑張れー華山ーー」」」

「もしかしたら華山の服が破れたりするかな?」

「竜次さんのことだ。期待しよう」

男子達は何か良からぬことを考えている。女子達もどうなるか楽しみという感じで、ニヤニヤして見ている。

「お前は新人だから他の奴らより手加減は多めにしてやるよ」

「よ…よろしくお願いします…」(くそ…こうなったらやるしか…)「!?」

身体を炎化させた瞬間に上半身と下半身が別れた。竜次を見ると足を上げていた。

「どうした?」

(何だ…今の蹴りは…切れ味がヤバすぎる…)

しかし自分は見た。竜次は焉武が炎化した直後に足を動かした。つまり竜次は焉武が安全な状態になったタイミングで殺人級の攻撃をしたのだ。

(おいおい…マジかよ…。確かにあのちょうどのタイミングで攻撃した事からも、手加減というかかなり考えてはくれてるが、この攻撃は流石に危な過ぎるだろ!!)

「ほら次は俺に攻撃して来いよ。暫く経ったんだ。この前よりも多少は強くなってるはずだろう?」

「くっ…」

とにかくあの時みたく焉武は右腕を激しく燃え上がらせて、竜次の身体に遠慮なく炎の拳を浴びせた。その時竜次の皮膚から突然鱗のような物が出てきた。

「なっ!!何!?」

(来た。神山さんの能力…)

「どうした?あの時と全く変わらないじゃないか…」

炎の中から竜次の姿が現れてきた。その竜次の姿は異様で、皮膚が鱗に覆われていた。

「俺の能力は『竜に変身する能力』だ。竜の鱗にお前程度の炎は通じない」

「頑張れーー焉武ーー。神山さんの竜の鱗を砕いたのは、グラキエスさんしか居ないんだから、もしここで神山さんの鱗を1枚でも砕いたり出来たら、一瞬で有名人だよーー!!」

(竜の鱗だって!?つまり…あの鱗を砕かないと…火傷どころか…引っ掻き傷すらも付かないって訳か…)

「さぁどうする?因みにこの姿もかなり力を抑えてる状態だぞ?変身したらもっと凄いんだからな?」

自慢をし始めた。それだけ余裕だという証拠だろう。

(グラキエスさんは鱗を砕いたという事か…でも…グラキエスさんの能力は『氷を創造し操作する能力』。つまり固形の氷だから、砕いてそのまま攻撃出来たと考えるべき…。俺は炎…流動体だ…。砕くというよりかは…溶かすとかそっち方面でやった方がいいのか…?)

「さぁまだまだ時間はある。来なよ。お嬢ちゃん?」

「ふー…ふー…」

焉武は今の攻撃で既に体力を大幅に削ってしまった。

「やっぱりミュータントになったばかりというのもあるが、ただでさえ体力の消費が激しい変身系なのに、更に体力を無駄に消費するだけのシンプルな技を出そうとする。初心者だから仕方ないとはいえ、それだとenemyと戦っても一瞬で負けるぞ?」

竜次は少しずつ身体を変形させていく。

「良いか?俺は神獣型だが変身系ではある。これは全ての変身系に言える事だが、常に全速力で走るよりある程度余力を残しつつ、力を使う。そうだなぁ。マラソンと同じ要領だ。初っ端から全力を出すな」

そして手の指は鋭く、体は鱗に包まれ、足は大きくなり尻尾が生えて、頭は口が大きく前に出てきて、目も爬虫類の様な目になった。

「お前が練習すべきなのはまずそこからだな。ある程度本気を出しつつも、全力は出さない。そこら辺の調節が変身系には必要なんだよ」

「気を付けろよ!!焉武!!あれは神山さんの戦闘スタイルだ!!」

「戦闘スタイル!?」

「そうだ。大体俺はこの姿でenemyらと戦うんだ」

「くっ!!」

「警戒しなくても大丈夫だ。さっき言ったろ?手加減をするって」

1歩踏み出すだけで、地面に大きな竜の足跡が残る。そして威圧感も半端ではない。手足が動かなくなっている。

「良いか?これが本番で、俺がenemyだったとしたらお前は死んでいる」

「身体が…動かせない…」

「『竜の威圧』だ。とは言っても神獣の中には他にも威圧系を使う奴もいるがな。この威圧に侵された者は無意識に脅えるようになり、一定時間身体が言う事を聞かなくなるんだ。そしてその間に」

竜次は左手を普通の人間の手に変えて、焉武の額にデコピンをした。

「よし。じゃあ最初の戦闘訓練は終わりだな。次は個人での特訓だ!!」

「「「はい!!」」」

(なんて力だ…これが神獣型の力か…)

改めてクラス1stの力を見せつけられた焉武だった。

No.13

ミュータント血液


ミュータントの血液型は特殊で、通常のA.B.O.AB型という名前にMを付ける。特徴としては通常のM型じゃない血液型とM型の血液を混ぜても凝固しないし、なんなら違う型の血液と混ぜても凝固しない。特徴としてはミュータント血液を摂取すると、そのミュータントの能力を扱う事が可能である。しかし個人差があり、使える時間が短い時もあれば、長い時もあるし、能力が変わる事もある。

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