18話 兄妹(キャラ説明 千田千賀)
「千田…だと…!?」
「うっ…うん…そうだよ?」
その時焉武は千賀の胸倉を掴んだ。そして両腕から炎を出した。
「千田研って知ってるか…?」
「け…研!?私の…に…兄さん…だよ…?うっ!!はっ…離して…苦しい…」
「お前の兄…だと…?まぁ良い…あのな…お前の兄は取り返しのつかないことをしたんだよ!!」
「やめて!!千賀ちゃんは何もしてないよ!!」
焉武は右目を真っ赤に燃やした。右半身だけが次々と炎に包まれていく。
「許さない…絶対に!!」
その時だった。背後から水をかけられた。体の炎が一瞬にして消火された。
「!?」
「能力には必ず弱点がある。そして大体炎の弱点は水って相場が決まってるんだよ」
年齢は焉武や千賀と同じぐらいの男子がバケツを持っていた。
「全く相手側の話も聞かずに早速能力を使っての攻撃とは…ちょっとは頭冷やして冷静になれよ」
「……」
「と…とにかく兄さんがどうかしたの…?あなた…もしかして兄さんの犠牲者の1人?」
「あぁそうだよ…」
「そ…そう…じゃあ恨まれるのも仕方が無いか…」
千賀は火の粉が飛んで、煙が出ている部分を払いながら言った。
「私の兄はenemy認定されている人物。だから兄の犠牲者は何人も居るのは知ってるけど…まさか…」
焉武は千賀を睨みつけた。恨みのこもった焉武の赤い目を見て、千賀はゾクッと背筋が凍る思いをした。
「どんな事されたか詳しく教えてくれないかしら…?兄さんが今何をしているのか…知りたいの…」
暫く静寂な時間が流れる。するとあの男子がバケツを床に置いて、自分の席に座った。
「分かった…。教えてやる…」
ーーーーーーーーー
「そんな…事を…?」
「あぁ」
「変身系自然型能力者を確実に生み出す為の研究…か…。そこで君は能力者になった…その代わり性別が変わっただけでなく、親も亡くなった…か…」
「そんな事があったら確かに千田研と繋がりがある人物、特に千賀ちゃんの様な血の繋がりがある人物を見たら怒り狂っちゃうのも分かる気がする…」
クラス全体がざわざわとしだす。千田千賀が千田研の妹である事は、周りの皆は知っている。しかし皆は研とは全く関わりが無い。enemy認定されてはいるが、実際何をしているのか謎のenemyでもある。騒ついている理由の1つは、その研の狙いがミュータントを創り出すという突拍子もないこと。さらにミュータントはミュータントでも『変身系自然型』という1、2を争うレベルの強さを誇るミュータントを創り出そうという物。そしてもう1つある。それは…
「ちょっと待ってくれ」
1人の男子がこちらに話しかけてきた。
「なんだよ…」
「という事は…君は元男ということ…?」
「まぁそうなるな。元…ってのはなんだか変な話だけど…。ニューハーフみたいに自分の意思で性別変えた訳じゃないし、中身はまだ男だしな…」
「嘘…じゃあ私男子より胸小さいことに…」
周りの女子もざわざわとし始める。
「私よりも細くて…足長くて…羨ましいわ…」
しかし千賀は何かを考えている様子だった。
「あなたはオッドアイだから誘拐されて、実験の被検体にされた。そして運良く実験は成功。兄さんの推測通り能力は『変身系自然型』だったって事ね…」
「そうだ。そしてミュータントにさせるには、怒りも必要とかいう理由で、俺の両親を殺しやがった。母さんは苦しんで死んで、父さんは怪物にされて死んだんだ!!あのクソマッドサイエンティストはクリーチャーとか言ってやがったけど…」
「やっぱり…私達の仮定通りだった訳だ…でも…やっぱりこんな事許されないよ…」
「なに?私達…だと?」
千賀は頷いて焉武の目を見た。
「昔はね。よく兄さんと研究の話とかしてたの。両親が研究者だったから…」
ーーーーーーーーー約10年前
「兄さん。またずーっと書類ばかり読んでる。何をそんなに真剣になってるの?」
「千賀。お前は『変身系自然型』のミュータントをどう思う!!」
「はぁ?どう思うって聞かれても…分かるわけ無いじゃん。私まだ7歳だよ?」
「今の常識としてミュータントが持つ能力で単純に考えて1番強いとされているのは、『変身系神獣型』と呼ばれる能力だ。何故なら神の力を使えるから。しかし本当にそうだと思うか?」
「何が言いたいの?」
「そのうちお前にも分かる。私が何を考えているのか…」
「あっそ…あーあ。散らかっちゃってる。タブレットとかノートPCとかあるんだから、データ化させてそれ使えば良いじゃん。パパとママに怒られるよ?」
研究に没頭し過ぎて、研究の資料などを机だけでなく床にまで散りばめられているのはいつものことだ。その度に親に叱られている。しかし当の本人はそのスタイルを全く変えようとはしない。
「もし…ミュータントを創れると…したら…」
「ん?」
千賀が資料を幾つか拾って行くと、ある違和を感じた。
「ねぇねぇ。この人達って何か関係性あるの?」
「どうかしたか?そいつらは全員ミュータントの『変身系自然型』だ」
「これ」
千賀が指差したのは、その人達の目だ。左目だったり、右目だったりとバラバラではあるが皆片目の色が違うオッドアイだ。白目だけが少し色が違うという人もいる。赤なら充血しているだけと考えられるが、その資料の人達の中には、白目をよく見ると緑だったり、紫が混じっている人すら居た。
「おぉ!!なるほどそうか!!」
「ん?」
「そうだったんだ!!『変身系自然型』のミュータントの共通点は皆オッドアイなのか!!」
「何をそんなに驚いてるの?」
研は興奮した目で千賀に説明する。
「ミュータントの能力には幾つか種類があるのは知ってるよな?」
「うっ…うん。私と兄さんは『細胞分裂を使い体の一部を創ったり、また負傷した部位を治す能力』の『防御系』でしょ?あと…兄さんが言ってる『変身系』と……」
「『操作系』『創造系』『無差別系』『状態異常系』の6つだ!!しかし実に見分けるのは難しい。見分けるにはまず相手の能力を見なければ、判断が出来ないんだ。それは『変身系』の他の型も同じなんだ!!」
研は急いで紙とペンを用意して、サッサッと簡単な絵を描いた。
「『変身系』には『動物型』『古代型』『神獣型』『自然型』と4つの型が存在する。しかしやはりこれも相手が使わなければ、見極める方法が今まで無かった。それは最強と言われている『神獣型』も同じ。だが!!」
「だが?」
「さっきお前が指摘してくれたやつだよ!!『自然型』だけは皆オッドアイなんだ!!微妙な色味が違うって感じではあるが、皆両目の色がバラバラ!!これは大発見だぞ!!千賀!!」
「私兄さんの役に立てたの?」
「あぁ!!!大活躍だ!!これで私の研究も更に進む!!」
「ねぇねぇ」
「他にも何か?」
「この人は特に目の色が変わってるよ?」
「どれどれ?」
千賀が見ている写真を見た。その人物は男性だった。
「右目が分かりやすい鮮明な青だな…」
「兄さん?」
「氷…か…」
怪しい笑みを溢す。
「これは研究のしがいがあるぞ…」
それを見逃さなかった千賀はすぐに
「やめてよ?」
「何が?」
心配そうな目をして注意をする。
「兄さんはいつも自分の研究のためなら手段を選ばないから。この人をとっ捕まえて、人体実験しようだなんて絶対考えちゃダメだからね!!犯罪だから!!」
ーーーーーーーーー現在
「その後母さんが死んで、兄さんは政府のお偉いさんに認めてもらったから研究をしていたんだけど、ある日してはいけない人体実験をして犯罪者になり、それを何度も繰り返したから、最終的にenemy判定されたの。ちょっと話が逸れたか。とにかく『変身系自然型』のミュータントがオッドアイだというのは、私と兄さんが考えて導き出した答えだったの」
「そうだったのか……」
その時その近くの空気が物凄く暑くなってきた。
「あの…クソ野郎…」
シューッと湯気が出てきた。焉武の体が赤くなって行く。火は出ない代わりに体温が熱くなっているのだ。
「私がこの組織に入った理由はそんな兄さんのせいで不幸になった人達を救いたいからなの…。あなたみたいな…。もう1つ理由もあるけどね」
「……」
焉武は顔を上げて深呼吸をして、一旦心を落ち着かせた。
「ごめんな…。俺両親を殺された映像を見てから…どうしても千田研となると冷静さを忘れる…」
「私が千田研の妹だって知ったら怒るのも無理はない」
「これで…一応解決って事かな…?」
「あぁ。そう…だ…何してんだお前…そんな危ない物持って」
ブルブルと震えながらデッカイハサミを盾の様に持っていた。
「あんまり気にしないで。彼女は少しワケありでね?一応ミュータントなんだけど、能力を使いたく無いって理由で、あの大きなハサミを武器として使ってるの。因みにあれを作ったのはこの私」
えっへんと自慢げに教えた。
「あと君…」
「ん?」
焉武に水をすぐにかけた男子に話しかけた。
「名前は…?」
「俺は鉄下 護。能力は『身体を剛鉄の様に硬くする能力』の防御系だ。
千田 千賀 女性
年齢 17歳・誕生日 10月1日・血液型MO型
身長 158cm・体重 55Kg
能力 細胞分裂を使い体の一部を創ったり、また負傷した部位を治す能力(防御系)
能力説明
全身がどんな細胞にも適応できるようになっており、瞬時に全身の箇所から腕や足などを創る事ができる。また応用でどんな重傷を負っても、細胞分裂し元に戻す事が可能である。血一滴の中の細胞からも色々な部位が作れるので、かなり便利な能力である。
ステータス評価(1〜10まで。偶に例外あり)
体力 4・精神力 7・破壊力 7・スピード 6
知能 9・能力の射程 血さえ届くのであればどこでも・反射神経 6
説明
マッドサイエンティストであり、華山焉武から全てを奪った男の千田研の実の妹である。既に兄妹の縁は切ったも当然で、犠牲者や遺族の人達が悲しんでいるのを見て、IPGに入り兄と敵対する事を決意する。実はその前に既にIPGに興味があった。それはとある研究の為である。両親が研究者だった為兄妹揃って、研究が大好きである。上記でも描いてある様に千田研とは倫理的価値観から、距離を取る様になり現在は敵対関係である。




