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20話 変身系の基本

ーーーーーーーーーー1時間程前

「ん?この荷物は?」

「あぁ神蛇の荷物だってよ」

「あぁ美代のね。あの人本当買い物好きよね」

「呼んだ?」

竜次と涼の後ろから突然サングラスを掛けている女性が話しかけてきた。

「あぁ神蛇。また一気買いしたのか?」

「まぁね。でも使ってるのは私の給料だから良いでしょう?」

「買い物の為だけにIPGに入ってるようなものね…」

「そりゃあ勿論。人助けをすればする程お金が貰えるんだもん。私にとってこれ以上の仕事は無いわ」

「ふぅん」

竜次が箱に手を伸ばして開けようとする。

「それで毎回毎回何を買ってるんだ?」

すると美代がパシーン!と竜次の手を叩いた。

「女性が買ったものを勝手に見たらダメよ。全く女遊びはよくする癖に、そういうデリカシーは相変わらず無いのね。まぁ1つだけ教えてあげる。下着よ」

「女遊びはよくするって…お前な…」

「えぇ?あなた女好きで有名でしょ?」

「むっ」

舌をペロッと出して唇を舐めながら竜次に向かって美代が呟く。その様子をなぜか不機嫌そうに涼は見つめて、それに気付いた美代は笑いながら自分の部屋に入っていった。荷物は重い物をクラス9thあたりのメンバーに持たせて部屋に入れた。

「相変わらず人使いが荒いやつだな…。ん?どうした?涼」

「なんでも無いわよ。それよりお腹すいたから、食堂でパンでも食べてくる」

涼は廊下を足音を大きく立てながら歩いて行った。

「なんで不機嫌になってんだ?あいつ……。よくわかんねぇな。ん?」

スマホが鳴ったので画面を見たら、クラス10thのメンバーの訓練時間が迫っていた。

「もうそろそろ行くとするか」


ーーーーーーーーーー現在


「ふん!!」

焉武が炎化させた拳を地面に叩きつけた。しかし焉武の頬には汗が流れていた。

「ふぅ…体力を消費させるだけの技か…。でもどうやったら調整ができるんだ…?」

「悩んでるみたいだな」

急に後ろから竜次が話しかけてきたので、ビクゥゥと体が震えた。

「さっき女子の方を教えに行くって……」

「いや。お前も女子だろ?」

「あぁそういえばそうだった……」

「で?何を悩んでるんだ?」

「いや…無駄な力を入れずに炎化させようとしてるんですが、どうやっても力を込めないと炎化しないなぁと…」

「まぁ最初は皆そうだよ。コツを教えてやる。まぁコツと言っても龍と炎はだいぶん違うと思うけどな」

竜次が袖を捲って腕を見せた。すると皮膚が少しずつ変形していき、さっき見た強固な鱗になって行った。

「こういう風にイメージすれば簡単に変身できる。涼も変身する時はイメージさせてるだけって言ってたし」

「イメージか…。つまり自分の腕が燃えているのをただ想像すれば良いだけという事ですか?」

「そういう事だ。まぁそれでも変身時は体力を削られるが、無駄に力を入れるよりかはマシだろう?」

「確かにそうですね…。やってみます」

そう言うと自分の手を前に出した。その瞬間手から炎が出た。

「こ…こんな簡単に…」

「涼も言っていた『最初は力を込めているから変身しているんだと思ったけど、実際は頭でイメージしていたから変身しているんだと気付いた』と。俺も全く同じだ。ただ頭でイメージするだけで龍になれる」

「なるほど…」

自分の燃えている腕を見ながら、竜次の説明に納得した。自分も今まで力を込めていたから炎が出ているのだと思っていた。しかし実際は念じるだけで炎化できたのだ。

「まぁ1歩成長したっていう所だな。まだまだ強くなれるんだ。これからも頑張れよ」

「はい!!」

するとチャイムが鳴り響いた。訓練の終了だ。

「さぁ。今回はこれで終わりだな。お前ら。ちゃんと自分の力の訓練を怠るなよ!あと例えどんなに自分の能力が強いからって油断するのも駄目だぞ!能力には必ず弱点がある。そこを突かれたら、どんな奴でも不利になる。だから。ちゃんと頭の方も鍛えるように。じゃあなー」

そう言うと竜次は手を振って歩いて行った。他の皆も汗だくで疲れているようだった。

「いやぁ楽しんだけど、やっぱり竜次さんの訓練って毎回疲れるな。個人の訓練の途中でいきなり『じゃあ戦闘訓練だ!』って言って、1、2回戦終えたらまた個人訓練の繰り返しだもんなぁ」

「分かるよ…俺もそう思うわ…。まぁ竜次さんに教えてもらえるってだけでも、俺はテンション上がってやる気が出るけどな…」

「ねぇねぇ!私竜次さんにアドバイスを沢山貰えちゃった!!」

「マジで!?」

周りの皆が疲れてはいるもののテンションが高かった。クラス1stに訓練してもらえるのだ。やはり嬉しいのは当然だ。焉武もそのうちの1人だ。クラス1stに教えてもらえたというよりは、より能力が使えやすくなった事への嬉しさではあるが、テンションが上がっているのは事実である。

「どうしたんだ?焉武」

「ん?いやぁ。竜次さんのおかげで能力が使いやすくなって…とにかく嬉しいんだ。今まで一回炎化する度にゼーハーって疲れたのに、今はこんな感じで炎化しても疲れないんだ」

焉武は燃えている自分の右腕を目を輝かせて見ていた。するとあの女子2人もこちらに来た。

「あー!いたいたー!おーい」

「千賀?そういえば訓練の時お前見なかったぞ。あの後どこ行ったんだよ」

「ちょっと遠くで見てた。私はあくまで研究課希望だから、運動は苦手で苦手で…」

「簡単に言うとサボりだろ?全くいつもの事だ…」

「いつもサボってんのかよ…」

「その代わり座学の方の点数は毎回100点だからね?ねぇ彩?」

「うっうん。そうだね」

「彩も訓練してたのか?」

「うん。一応…。武器を扱う練習みたいなのをしたの…。私ってあまり自分の能力を使いたくないから…」

「なんで?」

「それは…まぁ昔色々あってね」

「ふぅん…」

「そんな事より皆で食堂でも行かねぇか?昼飯時だし」

「そうだね!レッツゴー!!」

「お前は運動してないくせに…太るぞ?」

「げ…元男子のくせして無駄にスタイルが良い焉武に言われるとなんか嫌だな…。このぉ!」

千賀が肘で焉武の腰を突いてくる。

「え?脂肪は全部胸に行くってか?変身系の女性は皆そうなのか!!」

「はぁ?知らねぇよ!全く!」

「元男子が元から女子の私より胸大きいの腹立つし、足長いのも腹立つし、顔も整ってるの本当に嫌なんだけど!!」

「俺に言うな!!そんな事!!俺だって好きになってる訳じゃねぇんだから!!」

その時だったゾクッと身体の内側から何かを感じた。まるで身体の中から何かが出てくるような気がした。

「どうした?焉武。気持ち悪いのか?」

「いや…そういうわけじゃ…」

「腰強く叩き過ぎたかな?」

「そんな事ないと思うんだが…」

特に吐き気とかする訳でもなく、その違和感も一瞬で消えたので気にする事なく4人は食堂へ向かった。


ーーーーーーーーーー


「「「「…………」」」」

目の前にパンを何個も皿の上に乗せてバクバク食べている涼が居た。

「全く!ガブっ!アイツあんな人にデレデレして!ガブガブ!!なんだ?年上好きか?お姉さん好きか?全く!!」

涼の周りには近付くなオーラが目に見えるレベルで出されていた。4人だけじゃなく他のメンバーも「またかぁ」という目で見ていた。

「だいぶんイラついてるみたいだね…千賀ちゃん…」

「うっ…うん。そう…みたいだね…。とにかく買ったら教室で食べようか…。ねぇ2人とも…」

「あっ…あぁそうだな」

「涼さんって本当にパンが好きなんだな…」

「あぁ。涼さんは日本のIPGメンバーの中で1番のパン好きって言われてるからな…実際イラついてる時は、あんな感じでパンを永遠と食べてる…」

「そ…そうなのか…」

4人は恐る恐る食堂で簡単に安く買える焼そばパンを買って、自分たちの教室へと戻って行った。

「涼のやつ…まだ食ってんのかよ…」

竜次もその時食堂に来ていて、永遠とパンを食べている涼を見て呆れていた。

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