自称女神の言い訳/本音
71「自称女神の言い訳/本音」
その後俺は自称女神を少しだけイジメて
いたのだが、ソロソロ可哀想なのでお仕置き
を終えることにした
俺はちょっとぶっきらぼうに自称女神
に手を差し出す
「おらよ、サッサと話してくれ
何でこんな訳のわからないことを
させようとしたのか?
ついでに世界樹の異変とやらについても
話してくれ」
すると自称女神は涙に濡れた目でこちらを見上げ
「ふん!」と俺の手を引っ張るように引いて
立ち上がる
「あ、あなたが私に攻撃するから
話せなかったんでしょう!?
そんな簡単に話してあげっ!
あっ!ごめなさい!嘘です
やめて!もうデコピンしないで!
話しますから!もう構えるのもやめてよ!」
小賢しいことに話さないなどと自称女神が
言いそうになったので、俺は奴の額に向けて
指を構えると、ハッとした顔で額を手で隠し
「話すから!」と訂正してくる
やられたくなかったら最初から話せば
いいものを・・・
そうして俺たちは自称女神の話を
長々と聞くことになるのだった・・・
「・・・ということよ
という訳で私はあなたの事を考えて
世界樹に登れと言ったのよ?
決してあなたが頑張って登っていくのを
横からニヤニヤして眺めていようなんて
考えていないわ!」
自称女神は中々聞き捨てならないこと
を言っているが、まあここは寛大な心で
許してやろう
自称女神の話した内容は大体こんな感じだ
①世界樹の異変というのは別に異変ではなく
装置が稼働していない事によって成長が抑えられているようだ
(そんなこと出来るなら最初からしろ)
②俺に世界樹を登らせようとしたのは、単純に
俺の成長のためのようだ
(面倒な事に、世界樹の要所要所に魔物を設置して
いたようだ)
③単純に構って欲しかったからだそうだ
(構ってやろうか?ちょっとおでこが
痛くなるかも知れないが?)
流石に最後の理由には呆れたが
一応は俺のためという理由らしい
そして今からでも上がらないか?と言ってくる
「ちょっと色々あったけれど
今からでも登ってみない?
ほら!世界樹の上からの景色はすごい
キレイだから!
それだけでも登る価値はあるでしょう!?」
としつこく俺に食い下がってくる
なので俺は奴の額にデコピンをキメて
「うるせー、お前のしょうもない暇つぶしに
誰が付き合うか
てか、そんな暇なら世界樹の世話でもしとけば
いいだろ?
また変な豚とかイタズラされないように」
と至って当然のことを自称女神に告げる
すると自称女神は少し寂しそうな顔をして
「それは・・・、そうだけど
世界樹も私がいなくても勝手に養分吸って
育つし
私は世界樹から出られないけど、世界樹に
干渉する権限は持ってないから・・・
何にもする事がないのよ!」
そう言い、俺の肩にポカッと八つ当たり
してくる
八つ当たりには腹が立つが、何も出来ない
とはどういう事だ?と俺が聞くと
「そのままの意味よ
私はこの世界樹から出ることが出来ない
けれど、私からこの世界樹の干渉
成長を促したり抑えたり、世界樹に
侵入する者を排除したりする事は出来ない
のよ・・・
だ、だから私が唯一干渉を許されている
勇者のあなたに構ってもらおうと思ったのよ!」
と吐き捨てるようにそう答える
色々思ったが・・・
「何でお前は俺にだけ干渉出来るんだ?
仮に俺が勇者だったとして、なぜお前が
勇者に干渉することだけは出来る?」
そんな素朴な疑問を抱いたのだ
普通権利云々で行動できないというので
あれば、特定の人物だけそれも勇者にだけ
干渉出来るというのはどういう事だろうか?
俺の質問に女神はどこか諦めたような
それでいて何か悟ったような顔で語り出すのだった
「そうね、多分だけど私は、あなたの成長
を促すためのプログラムのようなものみたい
私がこの場所で生まれた時から、あなたのこと
を知っていたわ
それにあなたがここを訪れるということも
だから、あなたがここを去ればもう必要と
しなくなったとみなされて
私は消えるでしょうね」
それが私の使命だからと女神は言う
なるほど、俺が必要としなければ消える・・か
ということは・・・
「じゃあもう行くか用は済んだことだし」
俺はみんなに声をかける
するとエイダとマリーダが
「カルラ!このままでいいの!?」
「カルラさま!?このままでは女神さまが・・・」
そう言って2人は俺の手を掴む
女神も顔を項垂れるように顔を俯かせている
・・・?何でこんな雰囲気なんだ?
俺は訳が分からずもう一度みんなに呼びかける
「おい、何ボサッとしてるんだ
エイダ、マリーダ、自称女神
さっさと行かないと日が暮れちまうぞ」
俺はそう言って俯いていた自称女神の
手を取る
自称女神はハッと顔を上げ嬉しそうな顔をする
しかし、再び何かを思い出したのか落ち込んだ
声で話す
「でも・・・、私はここから離れられないわ
気持ちは嬉しいけれど、私はあなたとは・・・」
そう言って握った手を離そうとするが
俺は逃がさないとそれまでよりも強く彼女
の手を握る
そして、俺はその手に女神の力を纏い
最大限に願いを叫ぶ
「そんなクソみたいな縛りは!
俺のためには必要じゃねーんだよ!
変な鎖は消えちまえ!」
そう叫んで強く握ったとともに
パァーン!!
女神の頭の上にあった天使の輪が
音を立てて砕け散る
「なっ!?えっ!なんで!?」
彼女はとても驚いた様子で俺を見上げる
そしてあまりの衝撃に呆然とした様子だ
そんな彼女の手を俺は再び掴み
「おら、もう行くぞ
お前を縛る鎖はなくなった
俺はお前を必要とし続ける
だからお前もついてくるよな?
俺たちの旅に?」
俺は前を向いてぶっきらぼうに彼女
に尋ねると
数秒何も言わなかったがやがて彼女は
涙をポロポロ溢しながら「うん、うん!」
とちゃんと笑顔でそう答えたのだった・・・
女神が仲間に!でも輪っかが無くなったから
女神じゃない?
次の話は世界樹のその後です!




