母子家庭の後ろめたさ(訂正します、良き母の鑑のような龍でした)
66「母子家庭の後ろめたさ(訂正します、良き母の鑑のような龍でした)」
その後俺たちは、ルー母親ルーママと落ち着いた
話をした
これまでの経緯、ルーがどういう行動をして
いたのかなど事細かに説明した
初めは半信半疑な様子であったが、
ルーに確認しながら話を進めていくと
どれだけ自分の娘が危なかったのかを理解
していき、最後には本当にありがとうございます
と感謝まで伝えてきた
「大変失礼しました・・・
先ほどまでの話し方は敵対する者への
話し方ですので、知らないとはいえご無礼
をお許しください」
先程とは打って変わって
とても丁寧に、そして申し訳なさそうに
その図体に見合わぬ話し方で懸命に謝罪してきた
俺もそれを見て反省が見て取れたので
くどいようだが改めて注意を促しつつ
なぜ我が子を置いてあったのかを尋ねてみた
「・・・、注意としては以上だが
なぜあんたは娘をこんなとこに一人置いて
行ったんだ?
互いの龍、ルーの父親はどうしたんだ?」
すると、それまでの反省からか体を小さく
縮めていたが、それよりももっと小さくなり
ながら震えた声で
「それが・・・、数週間前に狩りに行ったっきり
で帰ってこないのです・・・
それで母親として、この子の分も頑張らないと
って思って
でも、そうしたらこの子には構ってあげられなくて・・・」
と、とても苦しそうにそう告白してきたのだった
帰って来てないってのは・・・
流石の俺もその話に何も言えなくなった
何なら先ほど偉そうに説教していたのも
何だか無責任に思えてくる
すると隣にいたエイダが「あの!」と言って
ルーママに尋ねる
「そのルーのお父さんはどこに向かっていた
とかはわからないのですか?
それと探しにいくなどはされたのかな?
と思いまして」
エイダの問いにルーママは頷き
「はい、もちろん探しに行きました
でも、どこにも居なくて・・・
恐らくですが、エルフの森を抜けた後
その奥にある龍が多く生息する島の方に
行くと言っていたのですが・・・」
と言って悩ましげなため息を吐く
どうやら、そこで何も得ることが無かったのだろう
うーん、そりゃどうしたものかと思っていると
「ルーね!ママと一緒だと嬉しいよ!
パパがいないのは寂しいけど・・・
ママだけでも居てくれれば、ルーは
それだけでも・・・」
ルーはそんな落ち込んだルーママを見て
なるべく明るく、励ますようにそう言った
でも、その目からはポロリと一粒だけ涙が
溢れて
バッ!!!
その瞬間、ルーママがルーを
その小さな体を大事そうに抱き上げた
そして
「ごめんね、ごめんなさいルー
お父さんの分もお母さんが頑張るから
だから泣かないで?」
ルーママも、涙を流しながらルーを
優しく抱きしめる
それを見た俺は・・・
「なぁ、ルーの母さん
ルーを俺たちにちょっとの間預けて
くれないか?
絶対に敵に指一本も触れさせないと
誓うからさ」
俺はある考えから、ルーママにそう提案
したのだった
するとエイダも俺の意図を読み取ったのか
「私からもお願いします!
ルーちゃんをお借りしていいですか?」
と、頭を下げて頼み込んだ
するとルーママは訳がわからないのか
「えっ?えっ?」と言っている
「ど、どういう事ですか?
なぜルーを連れて行かないと?
ルーを売り捌く、ということでは
ありませんよね?
あなたたちの真剣な目からして」
その言葉に俺たちは頷き
「もちろんそうだ
簡単に言うと俺たちはこれから旅をしよう
としている
その旅にルーを連れていきたいと考えているんだ
そしてそれはルーに自分の足で父親を探しに
行ってもらいたいと考えているからだ」
と、ザックリとした説明をする
そしてエイダはそれを補足するように
「そしてそれはですねルーちゃんのためにも
あなたのためにもなると考えています
このままルーちゃんがこの森にいても
お父さんは帰ってこないし、あなたも疲弊し続ける
そのままではルーちゃんとの時間も
取れませんし、何よりあなた自身が危険です
もしこのまま疲弊した時に、人間があなたと
ルーちゃんを襲って来たらどうしますか?
その時には自身はもちろん、ルーちゃんの事
も守ることは出来ますか?」
エイダの鋭い問いにルーママは何も
言えずにいる
そこからは俺が代わって
「そして、そのまま何とかして救えた
としても、あんたは疲弊し続ける
それを間近で何も出来ず見続けるルーなんて
俺は見たくない
だから、俺たちと一緒にお父さん探しの旅
に出て、心身ともに強くなってあんたの元に
返してやりたいと思ってる」
俺は先ほど暴言を言ったばかりなので
少し恥ずかしいが、言わせてもらう
「あんたみたいな立派な『お母さん』が
悲しい想いをしたまま過ごすつていうのは
なんて言うか、このまま見過ごすわけには
いかねーよ
男として、あんたの旦那探す手伝い
俺たちにさせてくれねーか?」
俺はそこで初めて頭を下げ
ルーママの反応を待つ
するとルーママの腕の中にいたルーも
「ママ!ルーからもお願い!
ルーこの人たちについて行って
お父さん見つけたい!
またみんなでご飯を食べたいよ!」
そう言って必死にルーママにアピールする
もしかしたら、俺たちがみんなでピクニック
してるのが羨ましくて声を掛けたのかもしれ
ないな・・・
するとルーママはルーを手元から下ろし
こちらをしっかりと見つめ、深く頭を下げた
ドラゴンが人間に頭を下げるなどありえない
その光景に俺たちは何も言えないでいると
「あなたたちのような人に会えた
ことを深く感謝しながらも、お願いします
娘のことをどうかよろしくお願いします
そして、夫のことでもご助力よろしくお願い
します」
そう涙ながらに頼み込む、良き『母』の姿
がそこにあったのだった
そうして俺たちの旅の仲間に
フェアリードラゴンのルーが加わる
事になったのだった・・・
ドラゴンを仲間にするくだりが難しいですね
でも、無事仲間になってよかったです
次でいよいよ旅に出発かも?




