卵の正体(俺たちはまだ何も見てないよな?)
64「卵の正体(俺たちはまだ何も見てないよな?)」
これは一体どういう状況だろうか?
俺たちは王都から少し離れた森にピクニック
がてら遠出しにきていた
しかしそこは聞くところによるとドラゴンの
産卵場所だったらしく離れようかと考えたの
だが、エイダによるとここは大丈夫だと聞いたので
そこでお昼ご飯を食べ、食後のデザートを
みんなで食べていたのだ
しかしその途中木陰にしていた木の裏の方から
幼女と思われる子供の声が聞こえ
「何を食べているのか?」ときかれたので
アイスクリームだと答え、それについて説明
したわけだが
なんとそれを聞いた、というか匂いを嗅いだ
その子は俺の前に姿を現したのだ
ただの人間の女の子が現れたなら特に何も
思わない(何でこんな場所にいるかは謎だが)
けれど実際に俺の前に現れたのは・・・
「何で・・・、卵に包まれてるんだ?お前?」
そう、その声の主は人間の姿ではなく
卵に包まれた格好で姿を現したのだった
すると俺の質問を聞いた卵ちゃんは
よくぞ聞いてくれました!とばかりに話し出す
「ルーはね、ふぇありー・どらごんなんだ!
だからね、人間に姿を見したらダメだ!って
ママが言ってたの!
だから、卵の中に入って姿見せないの!」
ルーと名乗るフェアリードラゴン
要するに"妖精龍"は、舌足らずながらも
しっかりと理由を説明してくれた
まあ、その説明に問題しかないのだが・・・
俺はどうしようとエイダに助けを求めると
エイダも首を振って困り顔だ
「えっと・・・その子本当に"妖精龍"なの?
まだ人間の女の子って言われた方がしっくり
くるのだけれど」
「だよなぁ、でも卵に入ってるってのが
普通じゃねーし
そもそも、普通の人間ならこんな場所に
一人でいるのはおかしいだろ
だからその"妖精龍"かどうかは置いといて
言葉を話せる何かというのは確かじゃねーか?」
まあ、一人でここまで奇跡的に来れた幼女の
可能性もない訳ではないが
まだ別の生き物と言われた方がしっくりくる
するとそれを聞いたエイダは何かを
思い出したのか「あっ!」っと声を上げる
「どうした?」
「思い出した!私がまだエルフの里に
いた頃に絵本で読んだことがあるの!
確か"妖精龍"フェアリードラゴンは言葉を
話すドラゴンだって
特に小さいドラゴンでも話すことが出来る
から、絵本でも幼い子供の前にだけ
現れて一緒に遊ぶって書いてあったの!」
と、興奮した様子で熱く語る
ふーん、ていうことはこの子(卵ちゃん)
は本当に"妖精龍"で、子供を
見て寄ってきたっていうわけか?
そこまで考えていた俺と同じことを考えたのか
エイダも少し複雑そうな顔をする
でも、この卵ちゃんに限っては
「「俺たちもいるのに姿を見せてしまった
ことだな(ね)」」
もしこの子が物語通りに子供の前に姿を
見せたとしても、それはあまり問題にはならない
しかし、そこに大人もいるとすれば問題だらけだ
多分この話は人間の大人のように欲望など
に無縁な存在である子供には見える(現れる)
妖精的な存在として語られているということ
なのだろう
そしてそれがまるでお伽話の妖精のようだから
その名前が"フェアリードラゴン"と名付けられた
という事だ
そう考えればその名前の由来も目撃報告の
少なさも納得がいくといったところだ
しかしこの子は間違った解釈をしている
みたいで・・・
「この子の親は我が子に
『人間の、それも大人は欲深い存在だから
そういった存在の前には姿を(存在を)
見せてはいけない』と教えたようだけれど・・・」
「この子は『人間の大人は欲深い存在だから
姿(自分の体)を見せてはいけない』と解釈して
俺たちの前に姿を現してしまったって
所なんだろうな・・・」
そうなのだ
この子の親はしっかりとこの子に教育した
つもりだったんだろうが
この子は勘違いしたまま、その言葉を
鵜呑みにしてしまい現在に至るというわけだ
卵ちゃんことルーは、どうしたの?っと
いった様子で俺たちの前でコロコロ転がっている
ま、まあとりあえずここは
「アイスクリームをあげて帰って
貰うことにするか!
俺たちが見てないことにすれば
それでこの問題も解決するんだし
てか、まだ卵の姿しか見てないから
実質まだなにも見てない的な感じで!」
そんな風に俺がエイダに提案すると
エイダも食い気味にうんうんと頷いて
「そ、そうね!それがいいわ!
まだ私たちはなにも見てない!
そう、たまたま卵ちゃんが視界に
映ってただけなのだから」
俺たちはそう納得しあい
それぞれのアイスクリームをルーに
譲る事にした
「ほら、お前が欲しかったアイスクリームだ
溶けないうちに食べるんだぞ」
俺は卵に入ってるルーに
落とさないように慎重にアイスを
渡そうと、少しだけ卵に近づいた
すると卵から鉤爪のついた
人間のものではない手がそっと出てきたのだ
おー、やっぱドラゴンなんだ
俺は内心感動しつつも、その小さな手に
アイスクリームを渡そうとすると!
「うーん、前見づらいから
ちょっとどけちゃお!」
「よいしょ」という掛け声と共に
その鉤爪で上に乗っていた卵の殻を持ち上げ
あろうことか俺たちの前にその上半身を
現してしまったのだ!
中から現れた顔は紛う事なきドラゴン顔
そして下を隠す卵に鉤爪を乗せて
まるでコーヒーカップから外を眺める
ようなポーズで俺たちの方を可愛らしく
見つめているのだった・・・
ちょっとだけ頭の弱いルーちゃんが現れました!
異世界モノといえばドラゴン!
書いてみたかったので登場させてしまいました
とりあえず次話、ルーの親との対面編です!




