エイダという存在
31「エイダという存在」
「・・・きて!起きて!
もう朝よ起きて!カルラ!」
んぅ? もう・・朝?
「うぅぅん、はぁぁ
ふぅ、おはようエイダ」
先に起きたらしいエイダが俺の事を起こしてくれる
こっちに来てから起こしてもらった事などないので中々新鮮な感覚だ
エイダは俺が起きた事を確認するとリビングの方を向き直り
「もう朝ごはんは出来てるわ
今日は朝から動く事だし
一緒に食べましょう」
と言って、先にリビングの方に歩いていく
うむ
朝から美女の手料理とは至れり尽くせりだ
しかし、昨日は気づかなかったがエイダは
色々気を使ってしまってるみたいだ
ありがたい事ではあるが、一緒に暮らして
いくとなるとそれでは良くないはずだ
俺はエイダの美味しい朝ごはんに感謝を伝えてから、2人の生活のためだと役割分担を申し出るのだった・・・
「そういえば今日は何を買いに行くんだ?」
俺たちは朝食を終えた後、町の商業エリアに歩いてきていた
昨日買い物の話をしていた気がするが、エイダの荷物持ちぐらいにしか考えてなかった為
あんまり話を聞いていなかった
するとエイダはもう!と言い拗ねたような顔をするが、ちゃんと答えてくれる
「やっぱり聞いてなかったのね
今日は旅の準備を兼ねてるから
保存食、水、あとは私たちの装備って
所かしら?」
なるほど結構な量になるみたいだ
これは長くなるなぁと思っていると最初の目的地食料売り場に辿り着いた
しかし俺の予想を裏切り
エイダは迷う事なく様々な保存食を見つけ
あっさり会計する場所に向かったのだ
「随分すぐに決めるんだな
もっと時間が掛かるものだと思ったが」
俺が隣から話しかけると
「あっ!ごめんなさい
いつもの癖で・・・
あんまりここに居たくないものだから」
と申し訳なさそうに言ってくる
ここに居たくない?どういう意味だ?
と聞こうとしたがやめた
なるほど、人の目というかハーフエルフに
対する世間の目という事か
なぜか店に入ってからよく見られると思ったがそういう事か・・・
町では不特定多数の人がいるから気づかないが、このようなお店という狭い空間であると気づかれるという事か
全くふざけたものだ
こんなに可愛い子を、それも女を見下すような目で見るとは
俺はそんな奴らの視線に傷つけられるエイダの事を思い、何も言わずただ手を握りしめ、購入だけ済ませて店を後にするのだった
「ごめんなさいカルラ」
店を出た後、突然エイダが謝罪してくる
そして、少し涙に濡れた瞳で弱々しくこちらの
様子を伺ってくる
クソ!俺が迂闊だった
エイダが人間に傷つけられた事は知ってた
じゃないか!
それなのに俺は彼女の気持ちに気付いてやれなかった
俺は自身の考えのなさに、自分で自分を殴ってやりたい気持ちになった
そして、何も言えない俺に彼女は
「ごめんなさい、やっぱり私・・・
あなたとは・・・」
とても消え入るような声で終わりに繋がる言葉を口にしようとする
ダメだ!ここで彼女を離しては!
俺は彼女の額に自身の額を押し当て全力で願う
「ごめんなエイダ気づいてやれなくて
だけど俺はお前の顔が好きだ、声も好きだ
拗ねたような顔も、怒ったような声も
俺はお前がハーフエルフであっても好きだ
皆からは理解されない存在であっても
皆が否定する存在であっても好きだ」
そして言葉を紡ぐ
「たとえお前がどう思われたとしても
俺とお前自身がエイダという存在を認めていれば
それでいいと考えていた
だけど、それに縛られて悲しむお前を見たくない
俺はお前に笑っていて欲しいんだ
他の誰でもない俺の隣で」
2人の距離を縮めるように抱きしめる
「だから俺はお前に魔法を使う
お前が笑顔でいてくれるために
俺がお前と一緒に居られるために」
ブワァァ!!!!!
かつてない輝きが俺の頭部付近で発光する
そしてその輝きがエイダの前身を優しく包み込む
「こ、これは?」
エイダは驚いた様子で自身の体を眺める
「それは認識変換の魔法のはずだ
他の人間から見ると、エイダは人間として認識
されるようになるものだ」
「そ、そんな魔法この世に存在しないのに!」
エイダはとても驚いた様子である
「でも!エイダをハーフエルフと認識する
事の出来る人も存在するように設定した」
と俺が続けて語る
それにはエイダは驚いて
「なっ、なんで!?
みんなからわからないようにしてくれた方が
誰も私を見下したりしないし
カルラも同じ目でみられないじゃない!
何で全員にしなかったの!?」
エイダは全くわからないといった様子だ
俺が認識変換に当てはまらない人間を作った理由
それは・・・
「最初に言っただろ? 俺はお前が好きだ
だから、お前のことが好きなものには
お前の事をハーフエルフのままで見えるようにした」
俺は俺と俺以外のこいつを好きで居てくれる人達の為に、力に細工を施した
そう、俺とエイダが、2人が笑顔でいるためにだ
エイダはそれでも「何でよ・・?何でそこまでするの?」っと震えた声で尋ねる
そんなもの決まっている
「それじゃあ、みんながお前を人間として認識
したら、誰がハーフエルフのエイダの事を見るんだ?
他の誰でもないエイダ自身を
誰もエイダ自身を見てくれないなんて悲しすぎるだろ?」
だから
「俺はちゃんと見えているエイダの事が
それはこれから先も同じ、ずっとだ」
それを聞いたエイダは、ボロボロと涙をこぼす
「ありがとう!本当にありがとう!
私を見ていてくれて!私を見続けてくれて!」
そして、2人の距離がこれ以上ないぐらいに縮まり
「また俺と共に来てくれるかエイダ?」
「ええ、ずっと私を見ててねカルラ」
そうして俺たちは初めて、友達というラインを超え
抱擁と共にキスを交わすのだった・・・
エイダとカルラ完全に引っ付きました!
こんな話にするつもりじゃなかったのに・・・
深夜テンションかな?笑
次話、買い物編後編予定?




