表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/99

初めての友人/救われた心

16「初めての友人/救われた心」


あの後、エルフの女性は中々泣き止まなくて困ってしまったが、5分ほど待つと涙も収まったようだ


そして今度は俺のことを真っ直ぐに見て謝罪してくる


「突然泣いたりしてごめんなさい・・・

あなたの言う通り、私が自分の生まれを否定していては両親に顔向けできないわよね」



彼女は泣き終えたからか、曇りのないスッキリした様な顔をしている

ようやく彼女の笑顔を見れたことだし、俺のお小言にも意味があったのかな?


「まっ、わかってくれたなら良かったよ

それでこれからもここに買取頼んでいいか?

お前なら変に足元を見る事もないだろうし、信頼

出来そうだから頼みたいんだ」



と、言って俺が再び頼みこむと


「エイダ、私の名前はエイダよ

お前じゃないわ

そうね、私もあなたの事なら信頼出来そうだから

こちらこそよろしくお願いするわ」



ほー、ハーフエルフのエイダか・・・

思えばこの世界に来てから、初めて挨拶らしい

挨拶をされたな


なので俺はエイダに手を差し出して


「ああ、それは助かる

俺の名前は小鳥遊タカナシ 空羅カルラ

こちらこそよろしくなエイダ」



エイダは差し出された手を驚いた顔で見てから、恐る恐るといった様子で握手に応じてくれる

恐々握った手が振りほどかれない事に安心したのか、今度はしっかりと握り返してくれる



すると今度はエイダはもじもじして、何か言いたそうにしだした


「ん?なんだ?

どうかしたのか?エイダ」



俺が直接尋ねると、エイダは意を決した様子で話し出した


「そ、それでね・・・

私、あなたの事もっと知りたいと思うから

その、えっと・・・、 私と、友達になってくれない!」


エイダはそう言うと、緊張した面持ちで俺の様子を伺っている


俺はエイダが思い詰めたような顔で何を言ってくると思ったら・・・


「おいおい、今更何を言ってるんだ?

もう俺とエイダは友達だろ?」



俺は当たり前の事だとそうエイダに言うと、エイダは見惚れるほどの美しい笑顔を見せてくれて、「そうよね!」と元気よく頷いたのだった・・・









ーーーーエイダ視点ーーーー


私は小さい頃から自分の生まれが嫌いだった


父は人間、母はエルフから生まれた私は、小さい頃から半魔だの化け物など言われ、色んな人から嫌われていた


何もしていないのに、無視したり、攻撃したりしてくる大人

いるだけで、側にいるだけで不幸になると、私を煙たがる子供たち


私はそんな存在に否定され続けて、この20年間生きてきていた



だから私はいつしか、他人を警戒するようになった

信じてみても、私のことを知れば嫌いになる

託してみても、私のことを知れば裏切られる



それを知ってから私は全てのものを遠ざける様になっていった


それでいつしか私は、他人のことが怖くなってしまった

だからだろうか?私は逃げるようにしてこの町まで

来てしまったのだ


そして私はこの町に住むことにになって、小さい頃から得意だった薬学の知識を利用し、小さな薬屋を開くことにした



しかし、私の生まれがハーフエルフである事もあってか、相手にされない事が多かった

相手にされない だけならまだ良いが、時にはひどい事を言われる事もあった


私がいる事でこの町が不幸になる、お前は怪しい薬を売る魔女だとも言われた



私はもうそんな事を言われても、もうどうでも良くなっていた

傷つかない訳ではない、だけどもう人間に、他人には期待することを諦めていたのだ



しかし、そんな私だったがヒョンな事から、ギルドの受付嬢メルルと知り合った

彼女もハーフである事から唯一この街で信頼出来る友人となった

そして、彼女のためならと思い、フリーの素材買取を請け負う事にしたのだ



そしてある日のこと彼女からの連絡があり、フリーの子の素材を買い取って欲しいとの連絡があった

どうしようかと考えたが、私は彼女のためと思い、そのフリーの素材の子が来るのを待つ事にした



しかし私の予想と期待を裏切って、その相手はまさかの人間だった



彼女からの連絡であった事から、もしかしたら半魔の子、そしてその子となら仲良く出来るかも知れないと思い少し期待していたが、予想が大きく外れて私はとてもガッカリしてしまった



その事もあってか、彼には悪いなと思いながらも居留守を使う事にした

これで諦めて帰ってくれるだろう

カウンターに人がいないのだから

私が奥でそんな事を考えていたら!



彼のまさかの泥棒宣言だ!そして薬を勝手に弄りだしたので、これには私も堪らず部屋を飛び出した


すると驚いたことに、彼はようやく来たかと言わんばかりの表情で私を待っていたのだ


なんで?という疑問もあったが、とりあえずは彼の話を聞く事にした



話を聞いてみると、やはり彼女からの連絡通りの内容であった


もう仕方がないから、他ならぬ彼女から依頼だったので今回は買取しようと思った

そして、今回だけは買取するという旨を伝えて、これからは別の業者に頼むべきだと、他の方がいいと多くは伝えず彼に警告したのだ


しかし彼はその説明だけでは納得してくれなかった


私はあえて自身と関わりを持つと良くないと

思って、親切心でそう警告したのにもかかわらず

能天気になぜと聞いてくる彼に段々と腹が立った


そして、彼はなぜと聞いているだけで何も悪くないにもかかわらず、私の生まれを明かしてこれまでの言えなかった不満をぶつけてしまった



こんなに怒ったのも久しぶりだった

まだ、こんなエネルギーが自分の中に残って

いたんだと驚いてしまったほどだ


けれど、これを言ってしまったことで、もう完全に人間とは分かり合えなくなる、そんな予感も完全に感じていた



そして、否定されると思っていた私に返ってきた

彼からの言葉は、私の否定などではなく、私への説教だったのだ



彼は私の生まれを否定しなかった

それだけではなく、私がハーフエルフであっても、それだけが私の全てではないと、私を否定する事にはならないと言ってくれた



生まれて初めてのことだった

私の事をハーフエルフとしてではなく、1人の存在として私をみてくれた人は


そしてそんな彼の優しさに満ちた言葉の数々に

自然と涙が溢れて止まらないのだった



そうして、私、エイダの心は初めて救われたのだった・・・

少しシリアスな感じになってしまいました

次話は明るい話になるつもりです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ