光蜂。
「な! 新手の魔物か!?」
「オレオレ」
「新手のオレオレ詐欺か!?」
「いやハルキだから」
コテージに戻るとバルドさんに新手の魔物扱いをされ遺憾である。
「お兄ちゃん光ってるー」
「ぴかぴかー」
「光蜂に集られてるんですね」
「イエース!」
湖畔からコテージ帰ってきてもまだ俺にお邪魔虫は群がっていたが、子供達は楽しそうに俺の周りを走っている。
「これウインドの魔法で散らしてもまた集まって来るんですよね。なんかいい方法ないですかね?」
「あぁ私虫よけの香持ってますから、いま取ってきますね」
「ありがとうございますメアリーさん」
香が焚かれると俺から光蜂が離れていく。子供達は残念そうにしている。
「ふははは。俺が本気を出せばお前たちは死んでいたぞ。命拾いしたな!」
「なに虫相手に威張ってるのよハルキ。ちなみに本気出したらどうなってたの?」
「ウインド使って俺の特大ファイアにシュート!!」
「えげつないないな」
「血も涙もないですね」
「人でなしですね」
俺の光蜂対応に次々と非難が浴びせられる。おかしい。俺は悪くないはずだが?
「おーハルキ。ピカピカはお終いか?」
「おうおっちゃん。これで光害に悩まされずに寝られるってもんよ」
「確かにあれじゃ寝れたもんじゃ無いもんな。それじゃそろそろ夜も遅いしお開きにするか」
「そうだな。うちの子も眠そうだしな」
さっきまではしゃいでいた子供達もお眠の時間だ。
「はーい皆さんそろそろお開きですよー」
「「「「「「えー!?」」」」」」
「早くしないと怖いスタッフさん達が来ますよー。はい5分で撤収!」
「「「「「「はーい!!」」」」」」
一部ごねるが俺の説得に皆素直に従った。別に脅しでも無く、あまり遅くまで騒いでいると守り神扮したスタッフさんが、「騒ぐ奴は居ねがぁー」と鬼の様な面を被って包丁装備で注意に来るのだ。
「うふふ。寝ちゃったわね。寝顔が可愛いわ」
「ほんとだな。おい、あんまほっぺたつんつんするなよ。起きたら可哀そうだろ?」
「そういうハルキだって」
「いやこのぷにぷに感が」
「良いわよねこのぷにぷに」
「すまんがうちの子が可愛いのは分かるが遊ぶのはやめてくれないか?」
「「すいませんギルド長」」
片づけを終えコテージに戻るとギルド長のお子さんは既にリビングで寝てしまっていた。
「それにしても良く寝てるな。まだ風呂にも入ってないのに、余程今日楽しかったんだな。ありがとうハルキ君」
「本当にありがとうございますハルキさん」
「いやいや別に大したことしてませんからほんと。あ、浄化しときますね」
「すまないな」
「ありがとうございます」
「いやいや、ほんと大したことないんで」
「ハルキ照れない照れない」
「うるへぇー」
改めてギルド長夫妻にお礼を言われ照れるが、リザに茶化される。
「それじゃ俺らもさっさと風呂入って寝るか」
「そうだな。ではいくぞ!」
「おう!」
「「ジャンケンポン! ポン! ポン! ポン! ポン! ポン! ポン!―」」
子供を寝室に寝かし戻ってきたギルド長とおっちゃんが突然じゃんけんを始めた。その戦いは無駄に白熱している。そして数十回のあいこの末、ギルド長が制した。
「うぉっしゃーー!」
「何してるんです?」
「どちらが一番風呂を制するかの勝負だ。私が勝ったがな」
「くそう、負けた…」
おっちゃんは膝をガクッと床に四つん這いになって崩れている。
「そんな落ち込むことですか? というかジャンケンしてる間にリザ達皆で入りに行きましたよ?」
「馬鹿な!」
「ふっ。空しい戦いだったな…」
「アーソウデスネ」
俺は投げやりに気のない返事を返す。
「なんか騒がしいな」
「あれはうちのリザだな」
「お2人に揶揄われてるんじゃないですか?」
女三人寄れば姦しい。とまでは言わないがなにやら風呂場が騒がしい。主にリザがだが時折奇声が聞こえるが、暫らくすると静かになった。
そして漸くといった感じの時が過ぎリザ達は風呂から上がってきた。
「ふぁー。大きくって浸かりがいのある良いお風呂だったわ。家より断然大きい!」
「いや家と大人数用のコテージの風呂を比べられても困るが?」
「ハルキ! 将来家建てるときはこの位大きなお風呂にしなさい!」
「それと樹の香りが素敵だったわ。ハルキさんこれもお願いね」
「あいあい」
「あなた、家も改築しません?」
「前向きに検討させていただく」
リザとローナさんの提案を安請け合いし、ギルド長は奥さんの提案を前向きに検討するらしいが、きっとするだけだろう。
「では次は私の番だな。どれ堪能してこよう」
「ぐっ、あの時パーを出していれば…」
「ふっ。勝負にたら、ればは無いのだよ。ではお先に」
ギルド長が颯爽と風呂に向っていくが、格好つけすぎではなかろうか?
「次は俺だからなハルキ!」
「はいはいわかってますよ。というか俺は皆さんの髪乾かしたらサクッと寝ますけど」
「な!?」
俺は今しがた湯上りのリザ達いつもの如く乾かし中。
「はぁこれ良いですね。一家に1つ欲しいですね」
「そうでしょうそうでしょう」
「あなたが得意顔してどうするのリザ」
「ローナさんもいつもハルキさんにして貰ってるんですか?」
「街に居る時だけですよ。毎日はリザだけです」
「えへへー」
「羨ましいですねぇ」
ギルド長の奥さんの髪を乾かしているとそんなことを言われる。流石に時空魔法じゃ影分身は使えない。
「はい、皆さん終わりましたよ」
「ハルキありがとう」
「ハルキさんありがとうね」
「ハルキさん、ありがとうございました」
「いえいえ」
お礼を言われるが、俺の中ではリザの髪をいじれる至福の時なの手間では無い。
「はぁ明日からまたこれがお預けになるのね」
「それは寂しいですね」
「リザはとにかく頑張りなさいね」
「まぁ頑張る」
「ん? 何をだ?」
「乙女の秘密」
「そうよ。秘密よね」
「そうですよね。秘密ですよハルキさん」
「?」
リザがローナさんに頑張れと言われている。何やら乙女の秘密らしいがローナさん達2人も優しく微笑むだけで教えてはくれなさそうだ。そしてお休みと挨拶をし寝室へと向かっていった。
「さて俺も寝るか」
「なら俺も寝るか」
「あれ? お風呂は?」
「独り寂しく待つより明日朝ぶろに入る! ふ、デヴィッドめ。風呂から上がって精々吃驚するが良いわ!」
こうしてギルド長を風呂に1人放置し全員が寝ることとなった。




