花見。
「綺麗ねハルキ!」
「そうだな」
ここでリザの方が綺麗だぞ。とでも言えれば良いのだが、リザは綺麗というよか可愛いなので流す。
整備された森の街道を抜けると湖が見え、その湖畔には黄色にピンクに白色、他にも色とりどりの色んな花が咲き乱れている。それを目にしたリザが馬車ではしゃぎ始めた。
馬車は湖畔近くにあるコテージに俺達を降ろすと街へと戻っていった。今回はリザの家族にギルド長の家族、ロイ君達にウィルさん達にメアリーさん3人娘と人数が多かったので、馬車数台に分かれてやって来たのだ。今日から1泊2日ピクニックだ。
「ここが今日泊るコテージね。良さげな所ね」
「そうだな。メアリーさんに感謝だな」
「そうですよ! ほら私に感謝のスイーツを進呈してください!」
「調子乗んな」
「そうだぞメアリー。ここの費用全てがハルキ君持ちなのに何言ってるんだ」
「えぇ。ですから一番良い所を2つ押えました」
人数が多かったので隣同士大きいコテージを2つ押さえたらしい。
「組み分けどうするんです?」
「リザのご家族とギルド長のご家族、他という感じでどうでしょう?」
俺の疑問にメアリーさんが素早く答える。
「俺らはそれで良いすよ」
「僕達もだ」
「まぁそれが妥当ね。遊びに来て上司の家族と一緒なのは休まらないわ」
「と言う訳でハルキさんはそっちです。こっちの人数の方が多いので」
「うぃうぃ」
皆特に反対意見は無いらしく決定した。
「うめー! ハルキさん唐揚げ美味いっす」
「メアリーさんの玉子焼きも美味しいですね」
「ロイさんありがとうございます。ロイさんのおにぎりも美味しいです」
「料理できたんですねメアリーさん」
「乙女ですから当然ですよ」
湖畔に移動し皆が持ち寄ったお弁当やおかずをテーブルに広げて、和気あいあいと過ごしてゆく。ちなみに俺は唐揚げしか出してないが。俺達のほかに敷物を敷いてお弁当を食べていたり、キャンパーが楽しそうにしている。
「ご馳走様。シンリー少し散歩しないか」
「良いわよ」
「俺達も行かないかイリーナ」
「ふふふ。仕方が無いわね」
ふむふむなるほど。
「リザ。俺達も散歩行こうぜ」
「まぁ良いけど…」
ウィルさん達に倣って俺もリザを散歩に連れ出すことに成功した。
「ハルキ…何か私に言う事無い?」
2人で湖畔を歩いていると唐突に上目遣いで訪ねてきた。今日のリザはいつのもホットパンツではなくスカート姿だ。
「ん。今日は一段と可愛いぞ」
「よろしい。それにしてもこうして2人で過ごすのも久しぶりな気がするわね」
リザは少し照れた様子だが。確かに久しぶりだ。
「そうだな。いつの間にか色んな人に囲まれてたからな」
「そうよね。1年前の私に今の状況を教えても絶対信じないわ」
「ボッチだったもんな」
「それはハルキでしょ?」
「違うから」
「1人旅してたのに何言ってるの?」
「あれ? そういやそうだった」
「忘れてたの? あははは。ハルキ可笑しい、あはは―」
リザに笑われているがあの時おっちゃんに拾われなければ、俺はもしかして此処でソロキャンしていたかもしれない。
「むぅ。そんなに笑わんでも良いだろ」
「ごめんねハルキ。はー笑った笑った。はー…うん。うん!」
「ん? いきなりどうした?」
「別に何でも無いわよ」
「そうか。んじゃそろそろ戻るか」
「いえ、もうちょっとこうしていましょ」
「ん? そうか?」
何か良く分からんが晴れやかな顔だ。デートは続行のようである。しばらくまったりと過ごし戻る。
「デートは楽しかったですか?」
「違いますぅー。散歩ですぅー」
「楽しかったですよ。久しぶりに2人きりでのんびりできました」
「楽しかったことは否定しないけどね」
メアリーさんの質問でデートは否定されたが、普段よりデレを感じる。そろそろ俺の時代か?
「かんぱーい!」
「イエーイ!」
「ファファファ」
夜はコテージ庭でいつものバーベキューだ。このために昼は唐揚げのみという手抜きだったのだ。
「分厚い! 何この厚さ! このステーキ5センチはありますよハルキさん!」
「はっはー。ヒレにサーロインにロースにランプ。他にも各種部位取り揃えております」
「凄いですね! 一番高いのください! どうせハルキさんの奢りですし!」
「迷いが無い! じゃはいシャトーブリアン! 焼き過ぎに注意してくださいね」
「ひゃっはー。わかりました! 焼き過ぎに注意ですね!」
「皆さんも適当に好きに食べてくださいね。野菜もですよー」
こうして肉争奪戦! 野菜もあるよ! が開催された。
「いやーこんな美味しい肉を子供達が知ってしまったら今後大変だよ」
「そこは頑張って稼いでくださいよギルド長」
「いやーハルキ君達が抜ける穴は大きいからなぁ。大変だな」
「まぁちゃんと戻ってきますから」
「約束だぞ」
「はい」
心配しなくてもリザの両親が居るからちゃんと戻ってきますとも。
「俺達はこれからこんな贅沢して過ごせるんだな」
「ハルキ君ありがとう!」
「「ありがとう!」」
「いや今日は別れと門出で豪勢ですけど旅に出たらいつも通りですよ」
まぁバルドさん達も口調から本気ではない事は分かるが一応は窘める。
「すいませーん。ご歓談の所すいませんがそろそろ明かりのほう願いします」
「あ、はーい。分かりました」
湖畔の管理スタッフさんに明かりを消すよう指示される。実は前もって説明されていた。もうそんな時間か。酔っ払いを浄化しなくては。
スタッフさんの指示でコテージ明かりを消すと、次第に周りも明かりも減り始め、小さい明かりだけになった頃、森や湖畔が光始めた。この時期にだけ見られる光景で光蜂という蜂の習性らしい。
「はぁー凄い幻想的で綺麗だなリザ」
「そうね。この景色はいつ見ても綺麗ね」
「見たことあったのか?」
「私、ここ地元よ? ほらハルキ。湖畔の方に行ってみましょ!」
「お、おう。ってそんな引っ張らないでも」
「うっさい! 早く行くわよ」
俺はリザに手を引かれ湖畔へと向かう。なんか周りが煩い気がするが気のせいだろう。
湖畔には大勢の人がこの幻想的な光景に酔いしれていた。
「ほんといつ見ても綺麗ね」
「そうだな。来年も一緒に見ようなリザ!」
「そうね。所でハルキ。なんか凄い集まって来てない?」
「気づいたか? 俺もそう思っていた所だ」
「魔力が多いと集まってくるって言ってたけど流石ね」
「まぁ害は無いらしいから良いけどな」
「それともハルキの魔力は甘いのかしらね?」
リザはクスクス笑っているが、次第に光蜂が俺の周りに多く集まって来ていた。湖畔での折角の良い雰囲気が台無しである。害は無いと言ったがこのお邪魔虫め!




