大人買い。
「おっちゃん、しばらく休んだら今度クジラ取ってくるわ。ついでに世界をちょっろと見てくる」
「そうか。まぁハルキなら大丈夫だと思うがうちのリザをよろしくな。後土産も」
「むしろ私が見張ってないとハルキが何するか分かったもんじゃ無いわよ…」
「2人とも気をつけていってらっしゃいね」
「大丈夫よお母さん。皆一緒だし何とかなるわよ」
「まぁしばらくはゆっくりするんだろ? なら今日からリミッター解除だな!」
「私も今日はちょっと羽目を外そうかしらね」
「母さん今日は沢山飲もうな!」
「えぇお父さん!」
帰ってきて食事をしながら今後の予定をおっちゃん達に話していたら、いつの間にかリミットブレイクの話になっていた。今日は飲みまくるらしい。
「それにしても可愛い子には旅をさせよとはよく言ったもんだな」
「私は可愛い。旅オッケー!」
「こんな娘だけどハルキさんよろしくね」
「任せてくださいローナさん!」
リザはいつの間にか酔っていたが、まぁいつもの事だ。俺はおっちゃんとローナさんを浄化で酔いを醒ましながら、2人の気がすむ夜遅くまで飲みに付き合った。
「と言う訳でかくかくしかじかでまた暫らくしたら留守にしますね」
「何言ってるんですかね? ギルド長わかります?」
「取り合えずクジラが食べたいという事は伝わったな」
「そうですね…」
翌日ギルドに顔出すと、久方ぶり過ぎてとりあえずギルド長室でゆっくり話すことになった。
「リザも何か言ったらどうです?」
「ふぇあ?」
「だめですね。話になりません」
「ちょっと! なに失礼なこと言ってんのよ!」
「口元にマドレーヌ付いてますよ」
「あら?」
リザはマドレーヌをほおばりながらミルクティーを飲んでいたので仕方が無い。ちなみに用意したのは俺だが。メアリーさんが用意してくれなかったのだ。謎である。
「私も行って良いですかねギルド長? 有給1年位ください」
「私がそれを許すと思うかね? というか1年とかアホかね?」
「良いじゃないですか」
「良いわけ無いだろ…。それならむしろ私が行きたいわ!」
「まぁ2人共連れて行きませんけどね」
「「ですよねー」」
俺はバッサリと切り捨てる。連れて行くわけがない。というか何故1年も取る?
「それにしても冬の初めに王都に行って、やっと戻って来たと思ったらこれですか…」
「そうだな。今回は随分長い事居たな。既に春だぞ?」
「まぁかなり大掛かりにやりましたからね。直ぐに帰ってくるわけにもいかなかったんですよ」
「確かにあれは凄かったからなぁ。リザ嬢とリリィ嬢の2人はハンターもうちの子らに大人気だったよ」
「ぶぁ!」
「汚いですよリザ。私の双剣が効かないなんて、ぶっちゃけありえな~い! でしたっけ?」
「やめてーーー!!」
ギルド長の発言にミルクティーを噴出し、メアリーさんが真似した極め台詞にリザが顔真っ赤にして叫んでいる。気づかなかったが2人共遊びに来てリザのヒーローショーを見たらしい。
「まぁ良いです。そうだハルキさんお花見しましょう! 今の時期は近くの湖の湖畔に色んな花が咲いて綺麗なんですよ。どうせなら旅発つ前にパーとやりましょう!」
「お? 良いですねぇメアリーさん。準備は俺に任せてくださいよ」
「そう言ってくれると思ってましたよ!」
「ギルド長も良かったらご家族と一緒にどうですか?」
「ん? 私達も良いのかね? なら是非ご一緒させて貰うよ」
「おっちゃん達も来ると思いますし是非に」
「私はリリィちゃん達伝えておくわね。週末で良い?」
「俺はそれでいいぞ」
「私もそれで大丈夫です」
「私もだ」
「オッケー」
週末は花見で一杯か。
「それじゃ週末はハンターブラックにハンターホワイトに会えると子供たちに伝えておくよ」
「いやいや! やらないです! 会えないです!」
「それは子供たちが残念がるよ。はっはっは」
「え? やらないですよ!」
「はっはっはー」
「やらないですって!」
ギルド長はただ笑っている。俺は準備に専念するとしよう。
「ちゃーす。ご無沙汰です」
「あ、ハンターのハルキさんご無沙汰です」
ギルドを後にして俺はダンジョン近くの酒屋さんにやって来た。
「今度近くの湖畔で花見やる事になったんでお酒買いにきました」
「それは楽しそうですね! いつも何かと贔屓にしてくださってありがとうございます。それでどのくらいご用意いたしますか?」
「店にあるの全部ください!」
「はい?」
「全部!!」
俺はかくかくしかじか説明をする。
「なるほどそういう事ですか」
「はい。暫らく留守にするので出来るだけ街にお金落としていこうかとおもいまして、無理ですかね?」
「大丈夫ですよ。近くの倉庫にはまだ商品はありますし、次の仕入れを多めにすれば直ぐに補充できますから。それともし良かったら老夫婦がやってるお店が在るんですが、其処のお店でも買っていただけませんか? 私がお店を開くときにお世話になった方なんですが、お歳でお店を閉めるそうなんですよ」
「良いですよ」
「そんなあっさり!」
「まぁお金はありますし、収納魔法で腐りませんし、掘り出し物あるかもしれませんから」
「凄い。では今から案内しますね」
「おろ? いやーわざわざすいません。ありがとうございます」
「それにしてもあっという間にすっきりしましたね。それじゃ行きましょうか」
俺は話しながら棚の商品を手早く収納していた。それが終わると老夫婦の元へと向かう。
「おじいちゃん、おばあちゃんこんにちは」
「はいこんにちは。そちらはミリィちゃんの彼氏かい?」
「はは。違いますよ。こちらは私のお店を贔屓にしていただいてるハンターのハルキさんです」
おばあさんの言葉を軽く躱してお姉さんは俺を紹介する。お店の広さはお姉さんのお店とどっこいどっこいだが、埃などは無く綺麗だ。お歳で掃除も大変だろうに。
「うんうん。ご贔屓さんは大切にな。それでそのハンターさんがこんな寂れたお店に何様ですかな?」
「お店の商品全部買いに来ました」
「はて? 遂に儂の耳は遠くなるところかおかしくなってしまったようじゃ婆さん」
「私もですよお爺さん。何か全部欲しいと言われた気がしますよ」
ここでお姉さんが事の経緯を老夫婦に話す。
「「ありがたやありがたや」」
「いや恥ずかしいので祈らないで欲しんですけど」
「お客さんは神様のようじゃ」
「えぇ旅路に神のご加護が在らん事を。ミリィちゃんもありがとね」
「全然ですよ。昔お世話になった恩をやっと返せました」
そんな俺は祈られながらもお店を物色し収納していく。やり辛い。話題を振ろう。
「そういやお世話になったって言ってますけど、何があったんです?」
「私のお店の珍しいお酒は全部、こちらの伝手で仕入れができるようになったんですよ」
「なるほど。それは返せて良かったですね」
「えぇ本当にありがとうございます」
「なに、本人の努力の賜物じゃよ」
「えぇ。私達は特に何もしてませんよ」
老夫婦はそう言って笑っているがきっと色々と助力してあげたのだろう。




