飛空艇。
「ふぃー」
「ふうー」
「…」
「…」
「いや何で俺が入ってるのにナチュラルに入ってきて来てるんですおっちゃん?」
「偶には男同士裸の付き合いしようぜ」
「俺にそんな趣味は無いですが?」
「何勘違いしてんだ?」
俺が朝早く朝風呂を楽しんでいたらおっちゃんが何事も無く入ってきた。折角広い風呂を1人独占していたのに。
「というか次は俺の番なのに何ハルキ入ってるんだ?」
「え? 日が変わったら無効でしょう?」
「え?そんなルールなの?」
「違うんです?」
「まぁなんだ? リザをよろしく頼む」
「それは前に聞きましたよ」
「まぁ頼む」
「当然です」
「そうか、当然か」
「はい」
「それを聞いて安心した」
改めておっちゃんに真剣な眼で言われるがそれは当然である。俺にとってリザは何があっても守るべき存在なのだ。
「おっちゃん、背中流しますよ」
「おう。頼むわ」
「おい! なんで誰も昨日は待っててくれなかったんだ。酷いではないか!?」
風呂上がりにリビングで寛いでいると、ギルド長が起き掛けにリビングで文句を垂れている。
「「「寝不足は美容に悪いので」」」
それに即座に答える奥方達とリザ。
「ぐぬ! ハルキ君は!?」
「眠かったので」
「カルロは!?」
「皆寝たから」
「ぐのぉぉお…」
何とも言えずギルド長は悶えている。そもそも起きていなきゃいけない訳ではない。
「んじゃギルド長も起きてきましたし朝ご飯にしますか」
朝食の準備の為に庭に出ると良い天気だ。
「お兄ちゃん僕ホットケーキが良い!」
「私も!」
「任せとけ! 分厚いホットケーキ作ってやるからな!」
「「わーい!!」」
ギルド長のお子さんはホットケーキをご所望らしい。
「私は取り合えずコーヒーを」
「あ、そこにあるんでセルフでお願いします」
「私と子供達では扱いが違い過ぎないかね?」
「仕様です」
ギルド長の愚痴をサラッと流す。そうこうしていると隣のコテージからも皆が這い出てくる。
「おはようございます!」
「そういう嫌がらせはやめてください…」
「そっすよ…」
「ほんとよね…」
「楽しそうですよね…」
「自業自得でしょ?」
大声で挨拶する俺に非難が殺到するが二日酔いの様だ。その光景にリザは呆れている。どうやら別れた後もコテージで飲んでいたようだ。
「所で皆さんは朝食何が良いですか?」
「いや先に浄化してくださいよハルキさん」
「そっすよ」
「やれやれ…」
俺は溜め息をつきながら二日酔い共に浄化をかける。
「んで何食べます?」
「肉!」
「サンドイッチお願いします」
「あ、私も」
「フルーツジュース」
「焼き魚で」
「フレンチトースト!」
浄化で元気になるとなんか皆好き勝手言い始め収拾がつかない。
「私はミルクレープが良いです」
「それは朝食なんですかメアリーさん?」
「ホットケーキと大差無いと思いますけど?」
「そうですか? んじゃ皆はカレーという事で」
「「「「「「「何で!!??」」」」」」
うーん、良い突込みだ。
「んじゃ適当に並べておくので好きなの食べてください」
「「「「「「はーい」」」」」
元からそのつもりだったが、適当にあるものをビュッフェスタイルでテーブルに置いていく。もちろんカレーも忘れない。
「出来たぞー子供達!」
「すげぇー!」
「お母さんと全然違う!」
俺の厚さ4センチほどの超極厚ホットケーキに子供達は大喜びだ。
「はいメアリーさんにも」
「ありがとうございます。ですがこれはホットケーキなのでは? 私はミルクレープと言ったのですが?」
「大差ないのでは?」
「ぐぬぬ…。あ、生クリームもっと頂けます?」
「ほい」
自分で言った手前言い返せないメアリーさんだが、超極厚ホットケーキ2段スペシャル、季節のフルーツと生クリームも添えて。に別に不満は無いようだ。生クリーム増し増しで頬張っている。
「リザ達はカレーか」
「匂いを嗅いだら食べたくなるから不思議よね」
「まぁそうだな」
「ハルキさん。カレーが無くなったす!」
「あいよー」
ふっふっふ。皆文句を言いつつカレーの持つ魔力には勝てなかったようだな。
「「「「「「「「「ご馳走様でした!」」」」」」」」
「ハルキ君。街に戻ったらそのまま港に行くのかい?」
「皆さんは準備大丈夫です?」
「それは今さらだろう?」
食事を終えるとウィルさんが訪ねてきた。皆を見ると静かに頷いている。なるほど万全の様だ。
「我々の事よりハルキ君――酒の貯蔵は十分か?」
バルドさんの問いに俺も静かに頷く。
「それじゃ街に戻ったら皆の荷物回収して行きますか」
「ちょっとまってー。ハルキ、最後に俺らも空飛んでみたいんだが駄目か?」
「あー良いですね。丁度良いんで皆で空飛んで帰りましょうか」
「いやハルキの絨毯に皆は乗らないでしょう? 立ち乗りでもさせる気?」
「船があるから大丈夫!」
「船ってもしかして…?」
「王様から貰った船だが何か?」
「「「「「「やっぱし…」」」」」」
「遂に船まで…」
おっちゃんのお願いを叶えるべく答える。リザを始め皆驚くより呆れている。良く分かってないのは子供達だけだ。取り合えず船の乗れるという事だけわかって喜んでいる。
さっさと片づけと帰る準備を済ませ湖畔まで移動する。
「んでどうするのよ? 取り合えず湖にでも浮かべるの?」
「え? いや頭上に出せるけど?」
「やめなさいよ!!」
リザに怒鳴られ仕方が無しに飛んで湖面に出し、絨毯で往復しながら皆を乗船させる。当然辺りは突然船が現れ、空を飛んで乗船しているので騒ぎになっている。
「なんかすごい騒ぎになってしまったな」
「気にしなく良いですよおっちゃん」
「そうね。ハルキといるとこんな事ざらよ」
「そうかー」
「んじゃ行きますよ! 『レビテト!』」
俺の掛け声と共に船体はふわりと静かに浮き上がり船内外から歓声が沸く。いつの間にか湖にあったボートが周りに集まっていた。この物を浮かす魔法があれば空飛ぶ城も実現できると思う。
「適当に湖周回して街に戻りますね。あと船底に窓があって下を見れますよ」
「本当かハルキ!? 母さん行こう」
「はしゃぎ過ぎですよお父さん」
「我々も行ってみようか」
「そうですね。子供達にはそっちの方が安全ですしね」
俺が教えると早速皆は向かっていった。
「リザは行かなくて良いのか?」
「私はいつでも見れるし」
「なにイチャイチャしてるんです?」
「「うわ!?」」
甲板に2人きりだと思っていたらメアリーさんが現れた。
「驚き過ぎですよ」
「下にいったんじゃなかったんですね」
「どうせなら甲板で空のティータイムをしようかと思いまして」
「さっきあんなに食べたじゃない」
「じゃリザは要らないんですね?」
「そんな事は言ってないわよ」
「はいはい」
リザもティータイムはしたいらしく、俺はメアリーさんに従って甲板でティータイムの準備を始めた。




