蒲焼き。
「ところでハルキは何か釣れたの?」
「聞いて驚け、トビウオが大漁だ。あとシーサーペント」
「シーサーペント!!」
「でかしたハルキ!!」
「お、おう。ありがとう」
2人ともやたらとシーサーペントに食いついたな。好きなのか?
「ねぇ! 大きさは!? 大きさは!!?」
「え? 20メートルぐらい?」
「20メートル!」
「ふふふ。何人前かしら…。シーサーペントの蒲焼き食べ放題ね」
「食べ放題!! 素敵! 毎日食べれる!」
2人で何か勝手に盛り上がってるな。あとリリィちゃんが毎日食う気満々なんだがどうしたものか?
「なぁなんでそんなに盛り上がってるんだ?」
「盛り上がらない方が不思議なんだけど?」
「そうですよね? だってシーサーペントですよ?」
「いやわからんが? 説明を求む」
「「はぁ…」」
盛大に溜め息つかれたがまるで俺が悪いかの様だ。いやだって釣りに行った皆はそこまでじゃ無かったぞ?
「まぁ良いわ。無知なハルキに教えてあげる。まずシーサーペントはこの辺では獲れない!」
「そしてシーサーペントはお高い!」
「最後にシーサーペントは美味しい!」
「「以上。証明終了!」」
2人は交互に説明し、最後にドヤ顔をキメタ。うん美味しいのは知ってるが。
「いや全然終了してないからな?」
「「?」」
「2人して不思議そうな顔すんな!」
俺の突っ込みに首をコテッっと傾げている。いやそれは可愛いんだけども。
「まぁいいや。でも既にギルドに売っちゃったぞ?」
「「!!!!!!!!!??????????」」
2人は両手を頬にあて、声にならない悲鳴をあげた。この世の終わりのような顔はさながら有名な叫びの絵画の様だ。
「こうなったらギルドの倉庫に襲撃を…」
「私のパラライズがあれば警備は無力化できるはず…」
なにやらブツブツ危険なことを言い始めたがそれほどか。
「いやすまん、嘘だ。明日の昼皆で食う事になってる」
「「ふぅ……。」」
「命拾いしたわねハルキ」
「えぇ。まずは襲撃を知られたハルキさんを亡き者しないといけないところでした」
どこまで本気かは知らんが俺の命が危なかったらしい。
「そうか。それは助かったな」
「まぁ冗談だけどその位美味しいのよ」
「そうですよ。だから売っちゃダメですよ? 死人が出ますから」
冗談だったらしいがリリィちゃんは真剣な顔だ。あれは本気だ、本気の眼だ。俺にはわかる。
「びゃあうまひぃー!!」
「「…」」
余りの美味しさにロイド君のろれつが怪しい。だが美味い事は伝わってくる。
「本当に美味しい」
「僕初めて食べたんですけど本当に美味しいですね!」
「ハルキ君また釣ってきて!」
「「…」」
いつものメンバーでシーサーペントの蒲焼きを食べているが、シンリーさんが気軽に無茶を言う。
「いやそう簡単に釣れませんよ。そもそも釣ってませんし」
「まぁそうだな。コイツももっと気軽に狩れれば安くなるのにな」
「まぁ仕方が無いさ。向こうだって生き物だ。むざむざ食われには出てこないさ」
「まぁな」
「「…」」
この世は弱肉強食、強ければ生き、弱ければ食われる。主にリザとリリィちゃんに。先程から無言でこの2人は俺が作る蒲焼き丼を貪っている。
「「おかわり!!!」」
「あいよ」
「ハルキさん俺も!!」
「僕達も頼むよ」
「俺達も頼む。イリーナも食べるだろ?」
「当たり前よ!」
「僕もお願いします」
リザとリリィちゃんのおかわりを皮切りに、ロイド君が、そしてウィルさん達が次々とおかわりをしていく。蒲焼き職人に暇などない。
「何でハルキ君の料理って炭火でもないのにこんなに美味いんだろうな?」
「そっすよね。勝るとも劣らないどころか勝りますよね」
「まぁこの魔法だろうな。普通のファイアじゃないし」
一般に炭火は美味いと言われているが、俺は自前のファイアでいつも調理している。俺のファイアは赤外線が多いのだろうか?
「そんな事はいいじゃない。こうして美味しい料理が食べれるんだから些細な事よ」
「そうよ。まずはこの美味しい料理に感謝しなさい。男ども!」
「いや感謝はハルキ君にするべきだろう?」
「そうだぞ」
「「ありがとうハルキ君!」」
素直にイリーナさんとシンリーさんにお礼を言われるが、今更だな。
「また釣り行こうなハルキ君」
「そうだな。釣りは良いぞ釣りは!」
「良いですね。また行きたいですね」
「男どもそうやってすぐ遊びに行こうとするんだから!」
「どうせ海に行くなら海底遺跡でも見つけてきてよ」
「良いわねシンリー。よし。それなら許可しましょう!」
「「無茶言うな!」」
何という無茶ぶりだろうか。釣りに行く条件としては厳し過ぎる。
「そんなのあるんですか?」
「まぁあることはある。過去に見つかった物もあるし、見つければそれこそ莫大な財宝が手に入るよ」
「見つかればだろ?。遺跡ハンターとか呼ばれる者もいるが、大抵自称だしロマン職だぞ?」
「まぁハルキ君には関係ないわよ。既に十分お金持ちだし、ハンターとしても稼げるもの」
「そうよねー。はぁどっかに未発見の遺跡落ちてないかしら?」
「「無い無い」」
なるほど。この世界にもトレジャーハンターはいるらしい。この世界でもロマン職の様だが。
「はいはーい。私サンゴ礁が見たいです!」
「はいはーい。私クジラが食べたいです!」
「「きゃはははは!」」
「誰だ! この2人に昼間から酒を飲ませた奴は!」
俺は酒は用意してなかったのに、何故か気づけばリザとリリィちゃんが酔っ払っている。
「え? 普通に自分のバッグから出して飲んでたわよ?」
「しまった! 普段俺が用意してたからその可能性を見逃した!」
「んじゃ僕達も飲もうか。実は持ってきてるし、美味しい蒲焼きに失礼だし」
「そうね。んじゃ、じゃんじゃんよろしくねハルキ君」
「畜生! こうなるのが嫌で出してなかったのに!」
「まぁいつもの事っすよ」
「僕も手伝いますから」
「ありがとうロイ君!」
こうして昼間から宴が始まってしまった。




