引っ越し3
「たっだいまー!」
「戻りましたー」
シンリーさんに付いてちょっぱやでホームへ向かい、根こそぎ収納して戻ってきた。
「おかえりなさい丁度できたところよ。ハルキ君悪いんだけど私のホームにあったテーブルと椅子出してもらえる? そこのテーブルの横にお願い」
「ダイニングにあった2人掛けデーブルですか?」
「そうそれ、此処にあるの4人掛けだからハルキ君とリザちゃんはそっちでお願い」
「わかりました。ほい。ご飯美味しそうですね」
既に料理が並べられている4人掛けテーブルの横にほいと並べる。
「ふふ、ありがと。ごめんなさいね、ウィルのせいで慌ただしくなっちゃて」
「いえいえ、別に大した事じゃないですから。それに追加報酬でますし有難いです。それでこの後はどうしますか?」
「そうねぇ、実は4人掛けのテーブル欲しいのよねぇ。そうすれば此処と新居両方で集まれるようになるし、前の部屋は狭かったし既に2人掛けあったから買うのやめたのよ」
「あーならご飯食べ終わったら家具屋さん行きますか?」
「ハルキ君が居ればそのまま持って帰れるしお願いできるかしら?」
「えぇ良いですよ。他に何か買うものありますか?」
引っ越しとなれば色々と新しいものが欲しくなったり入り用になるものだ。
「あー! 私、クローゼットとかそういうの欲しい! さっきバルドの部屋見たんだけどクローゼット無いじゃん! バルドはどうしてたの?」
「俺か? 俺は物も少ないしハンガーラックで事足りたな」
「ハンガーラックかー、それでもいいなぁー」
「んじゃとりあえず家具屋さんですかね?」
「そうね、さっきから皆わがまま言ってごめんなさいね」
「今日1日の依頼ですし、こんなの何でもないですよ」
「あ、ウィル。わがままと言えばあなた後でちゃんとギルド行って話しておきなさいよ? ハルキさんの評価にも係わってくるからね」
どうやらご飯の後は家具屋さんで買い物で決定の様だが、評価ってなんだ?
「あぁわかってる、イリーナも後でギルドに報告に行くんだろ? その時一緒に行くさ」
「えぇ、依頼完了のサインだけじゃ詳細伝わらないしね」
「あのすいません、ギルドの評価ってなんですか?」
「依頼の内容とか達成率、個人の技能とかでギルドの信用が上がると、個人にあった割の良い依頼をくれたり、お願いされたりするのよ。ハルキさんが私たちのお屋敷の掃除任されたのも、ハルキさんの浄化の魔法があってのことだと思うわ」
「ほぇー色々あるんですね」
俺の評価なんてきっと便利な魔法が使えるとかなんとかだろう。
「えぇ、私の場合は料理かしらね? 駆け出しの頃良く飲食店とか宿屋のヘルプに入ってたわ。そこでウィルと知り合って互いに2人組だったから組んで、4人パーティーになったのよ」
「懐かしいな、あの頃はお金無かったし、賄いでるし、日給も良かったから助かったんだよな」
「私は初日で次からは来ないでくれと言われたわ」
「それはあなたがお皿とか割りまくったせいでしょ」
「俺は土木作業してたな、体も鍛えられて一石二鳥だったからな」
「私、今でもたまに食べに行ったりすると働いていかないかって冗談言われるわ」
昔話に花が咲く。皆さん駆けだしの頃は苦労したようだ。ロイ君たちもやっぱ大変なんだろうな。
「って私たちの昔話は良いのよ。まぁそんな感じで基本適材適所で依頼をくれるのよ。ハルキさんなら収納と浄化、リザちゃんの戦力があれば魔物退治から素材集めの依頼もこなせるし、評価もうなぎのぼり間違いなしよ」
「なるほど。そういえば屋敷の掃除の後、メアリーさんに特別料金の掃除の依頼回すとか言われました」
「流石メアリーさんだわ、抜け目ない。さて、じゃ直ぐ洗い物してしまうからその後家具屋さんにいきましょ」
「あ、洗い物なら俺やりますよ、ご飯のお礼です」
「だめよ、1日仕事ですもの、食事も普通に出すわよ。ほんとならあり合わせで作った物じゃなくて、外で何か美味しい物ご馳走しようと思ってたんだから此処は任せて」
「イリーナさんのご飯とても美味しいかったですよ、なリザ」
「えぇとても美味しかったわ、此処は私とハルキに任せて」
「そお? なら甘えちゃおうかしら? お願いするわね」
「えぇ任せてください、リザやるぞ」
「任せなさい、家でもよく手伝ってるから得意よ」
「おぉ頼もしい、ならリザは軽く汚れ洗い流して俺に渡してくれ。俺は浄化使いながら拭き上げるから」
「オッケー。さくさくいくわよ」
「任せておけ」
俺とリザで協力しながら流れ作業で6人分の食器を瞬く間に洗いあげた。
「見事な手際だな、2人とも息があってる」
「凄いわね、お皿1枚も割らなかったわ!」
「シンリー……、それが普通だからな? 君はとりあえずキッチンに立つこと禁止な」
「えぇ酷い!? 私もウィルに美味しいご飯作ってあげたい!」
「それは美味しいごはん作れること前提だからな? 君とりあえず焦がすじゃないか」
「私だって10回に1回くらいはパンを焦がさずに焼けるわよ?」
「なんで軽く温め直すのに焦げるんだよ……」
「え? だって火力強い方が早く温まるでしょ?」
「良し、君はやっぱりキッチン出禁な。ご飯は僕が作るから安心してくれ」
「まぁウィルのご飯も美味しいし、でも私も奥さんになるんだし少しは――」
「それはパンを焦がさず温め直すことができるようになったらな」
ウィルさんは聞く耳持たないらしい。流石に10回に9回焦げたパンを出されたのでは堪らない。
「ハルキ君、リザちゃんありがとね。後とりあえずシンリーはウィルに従っておきなさい。お鍋とか焦がすと後が大変なのよ」
「えぇー? ……ぅーわかった。イリーナが言うならそうする」
「なんで僕じゃなくイリーナのいう事を聞くのか腑に落ちないが、イリーナ助かった、ありがとう」
「私の方が付き合い長いからね。さてと家具屋に行きますか」
「おじさん! コレまけて!」
「嬢ちゃん、うちもこれ頑張ってるんだ。そう簡単にはまけらんないな」
「ならこれ配送しなくていいからまけて!」
「お? そう来たか! なら1割引きでどうだ!?」
「あっちのダイニングテーブルにあの棚とあとコレも買うから3割引きで! もちろん自分でもって帰るわ!!」
「ほう! よし! 俺も男だ其処まで言われちゃ仕方あるめぇ。3割引きで売った!! だがほんとに自分たちで運べるのか?」
「大丈夫よ! ハルキ君!!」
「ほい来た!」
シンリーさんと家具屋のおっちゃんの値引き合戦のノリに勢いよく返事をして収納してみせる。
「!? あんちゃん何した!? 家具が消えちまいやがったぞ!?」
「俺、収納っていう変わった魔法使えるんですよ」
「かー! こりゃ一杯食わされたぜ! だが俺も男だ二言は無ぇ! 持っていきな!」
「ありがとう、おっちゃん!」
「良いってことよ! こっちも勉強になったぜ! ところであんちゃん、うちで働かないか? 給料は弾むぜ!」
「月200万くれるならいいですよ?」
「そりゃ流石に無理だ。だがその能力があるならそんぐらい稼げるだろうな、くぅー羨ましいぜ!」
おっちゃんがスカウトしてきたので適当に吹っ掛けて躱す。俺はリザと一緒が楽しいし自由業のハンターが良いのだ。
「シンリーありがとう、貴方のおかげで色々とかなり安く買えたわ」
「お礼は私じゃなくハルキ君に言って。ハルキ君が居なきゃ値引きの余地無かったし」
「いえ俺だけじゃ値切るなんて無理でしたよ。やっぱシンリーさんの交渉術のおかけですよ」
「交渉術なんて大げさな、ただ思った事をノリと勢いで言っただけだしそんな大層なもんじゃないわ」
「ん、でも安く買えたのは事実だし、2人共ありがとね。さて帰りましょ」
イリーナさんは欲しかったテーブルが安く買えて嬉しそうだ。




