二日酔い
ローナさん特製クリームシチューを頂きながらワインも頂く。ワインがあるだけでなんか豪勢に感じるから不思議だ。
「このワイン美味しいわね、見ない銘柄だけどハルキさん何処で買ったの?」
「おう、こっちのビールも見ない銘柄だが美味いぞ」
「わたしもコレ結構好き」
「好評で良かったです。これはダンジョンの帰りにたまたま見つけたお店で買ったんですよ。お渡ししたバッグに簡単な地図とお店のマークが載ってるので見てみてください。なんか立地が良くなくてあまりお客さん来ないって言ってましたけど、珍しいお酒扱ってるみたいですよ?」
好評で良かったと胸をなでおろし、お姉さんが言ってたことをそのまま伝える。
俺も初めてお酒を飲んでみたが意外と飲みやすくて驚いた。フルーツっぽいの甘みを感じつつも、後味はすっきりとして口に残らない。白ワインって美味しいんだな。
「ほんと? 後で見てみるわね。それにしてもダンジョンの方はお店も少ないし、あまり行くことないのよね。長く暮らしていてもまだ知らないお店が在ったのね。あなた今度一緒に行ってみましょ?」
「そうだな。ハルキ、ビールもこれ以外にまだ種類あったのか?」
「ありましたよ? 結構な種類ありました」
「おぉ! 母さんビールも買ってくれ!」
「はいはいわかってますよ。ハルキさんも新しいお店教えてくれてありがとうね」
「いえいえたまたまですから」
おっちゃんはまだ見ぬビールに思いを馳せローナさんにねだり、ローナさんは美味しいお酒がある新しいお店を知れて上機嫌だ。
「お母さん私にももう一杯頂戴」
「良いけどリザは弱いんだからこれで止めときなさいよ?」
「えぇー? 美味しいのに……」
「ハルキさんももう1杯どうぞ」
「あ、どうもすいません」
気がついたら空になっていたグラスにローナさんが注いでくれる。
「そうだわハルキさん、今日はお酒入ったことだし泊っていって」
「お? なんだ今日はハルキ泊りか? よしジャンジャン飲め。母さん俺にももビール!」
「お父さんもあぁ言ってるし今日はゆっくりしていってねハルキさん」
「すいませんお世話になります」
なんかふわふわするし帰るの億劫になってきたから正直有り難い。これ飲み終えたら水にしよう。
「ふふふ、いいのよ。はいあなた追加のビール」
「いやー今日はビールたくさん飲めて良い日だな!」
「あー! お父さんも飲むなら私もまだ飲むー。お母さん私にもワインー!」
「明日どうなっても知らないわよ2人とも」
「「大丈夫!!」」
俺が泊まることになり、飲ませようとするおっちゃんはついでに自分の分も追加している。むしろ自分が飲みたいが為に泊めようとしている。そんなおっちゃんを見てリザもまたもう1杯とワインを飲み始めた。
そんな2人をローナさんは窘めているが、2人は「大丈夫」と軽く返事をしただけだった。
本当に大丈夫なんだろうか?
今朝は何だか周りの騒がしさで目が覚めた。
あーそうか昨日はギルドに帰らずリザの家に泊まったんだっけか。寝てる場合じゃねぇ! さっさと起き上がりリビングへと向かう。
「うぉーー!? 母さん頭痛い! 水! とりあえず水くれ母さん!」
「だから昨日言ったでしょ?調子乗って頂いた分全部の飲んだ上にさらに飲むから……、はいお水」
「母さんありがとう……、あれー? 俺昨日そんなに飲んだっけ?」
「飲みましたよ、覚えてないんですか?」
「ハルキが泊まってく辺りまでは覚えているんだけどな?」
どうやらおっちゃんは途中から記憶が無いらしい。まぁあんなに飲めばそうなるのかもしれない。見事に俗にいう二日酔いとかいうやつになってる。
「ぅーお母さんおはよー。お水頂戴……、頭痛い……」
「リザもだから昨日言ったでしょ? はいお水」
「ありがとう、ふぅ。あ、おはようハルキ」
「おう、リザおはよう。ローナさんとカルロさんもおはようございます」
「おはようハルキさん」
「おう、おはよう」
リザも二日酔いみたいだ。
「ハルキは何ともないの?」
「ん? 何がだ?」
「頭痛くなったりとか……」
「俺は何ともないな、途中から水飲んでたし」
「そうよ? ハルキさんは自分で酔い始めたと思ったら普通にお水飲み始めて驚いたわ。お酒初めてって言ってたのにちゃんと深酔いしないようにしてるんだもの。育った国の違いかしら?」
「「ハルキの裏切り者!」」
「裏切りも何もローナさんが注意しても聞かなかった2人が悪いんじゃ?」
「「あーあー聞こえない! お酒を持ってきたハルキが全部悪い!」」
「こら2人とも! 美味しいお酒持ってきてくれたハルキさんに失礼でしょ。どう見ても注意しても聞かなかった2人が悪いわよ。ほら謝りなさい」
「「ぅー……ごめんなさい」」
2人共本気ではなく俺も別段気にしなかったが、ユニゾンしながら非難してた2人がローナさんに諭される感じに言われ素直に謝まられた。
「よろしい……それじゃ朝食にしましょ。あなたも早く食べないと遅れるわよ」
「お? もうそんな時間か? よし、いただきます」
「「「いただきます」」」
おっちゃんのいただきますに合わせ皆でいただきますをして朝食を頂く。
「うし、今日も元気に働いて来るわ!」
「いってらっしゃいあなた、これお弁当ね」
「お父さんいってらっしゃい」
「カルロさんいってらっしゃい」
朝食を食べ終えたおっちゃんは仕事に向かうべく、ローナさんからお弁当を受け取る。愛妻弁当か。
「お、そうだ! ちょいハルキ、俺に浄化してみてくれ」
「え? いや別に良いですけどどうしたんですか?」
「いや二日酔い治るかなって思って」
「いや治んないと思いますけど? まぁ試してみますか」
「おう、一応試してみてくれ」
「はい、浄化と」
今朝のやり取りの後元気に見えたがやはり直ぐには治らないらしく、物は試しにと浄化を頼まれた。
「ぉ…おぉ!? 頭痛が治って頭がすっきりしたぞ! やればできるじゃないかハルキ、これで本当に今日も元気に働いて来れるわ!」
「え! ほんと!? ハルキ、私にもお願い!」
「そういや今日はまだしてなかったな、ほい」
「あらー? なら私も何ともないけどついでだからお願いしようかしら」
「了解です! ほい」
流れで皆に浄化をかける。しかし浄化で治るのか……。
「おぉ母さん一段と綺麗に見えるぞ!」
「あらあなたもダンディーに見えますよ」
「ははははははは」
「うふふふふふ」
「はいはい、惚気は良いから、お父さん遅れるわよ……」
「おぉそうだった、ハルキサンキューな」
「いってらっしゃい、あなた」
おっちゃんとローナさんの惚気がはじまったがリザが軽くあしらった。その後おっちゃんを見送るとローナさんが俺たちに訪ねてきた。
「それで今日はあなた達どうするの?」
「俺はとりあえずギルドに戻って何か依頼でもあればしますし、無ければダンジョンか、昨日と同じくリザと剣の特訓ですかね?」
「そうね、そんな感じね。いつもと同じよ」
「いつも、ね。わかったわ、それじゃ2人とも気を付けていってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
「行ってきます」
さて俺たちも今日も元気に働きますか!




