ポーション。
「全部で12万ガルドだ」
ギルドに戻って今朝ダンジョンで確認した鞄の件を報告し、今日の成果を換金した。
12万ガルドなので半分の6万ガルドすつだ。
リザはキングは俺が倒したし、私の方が倒した数も少ないから取り分も少なめで良いと言ってきたが、俺たちはコンビでその成果なのだから半々が当たり前と説得して渡す。
数日前まで文無しだったから気を使われているんだろうか?
しかしこのままだと普通に月収100万超えちゃうがハンターって儲かるんだな。
「んじゃ報告も換金も済んだしポーション買いに薬局いくわよ」
「あれ? ギルドにも売ってるんじゃないのか?」
「薬局のほうが安いわ!!」
リザはギルド内で身も蓋もない事を平然と言い放つ。
あぁ受付に居るメアリーさんの笑顔が怖い。リザはそんなことは気にも留めず、逆に俺はそそくさとギルドを後にする。
「リザ、さっきのは無いんじゃないか? メアリーさん怒ってたぞ?」
「平気よ。だって皆知ってることだもの」
「そうは言っても体裁というものがあるだろう?」
「そんなものいちいち気にしていたら疲れるし、禿げるわよ」
いや禿げないから。
リザは事あるごとに禿げると脅してくるな。禿げに恨みでもあるんだろうか? 薬局に禿に効く薬はあるのだろうか? 元居た世界でも悩み多き問題だったがこの世界は魔法があるし、期待できるのかもしれない。
薬局に行くがてら道行く人を観察してみたが、禿げてるおっちゃんや髪の薄い人が普通にいた。どうやらこの世界の魔法でも治らないらしい。禿は不滅か?
「ハルキ着いたわよ。ここが薬局」
禿げについて色々考えていたらいつの間にか着いたらしい。コンビニ程度の大きさの建物だ。
店内に入るといろいろな商品が棚に綺麗に陳列されている。カウンターには談笑している40代ほどの夫婦っぽい人たちがいるが、俺たちが入るといらっしゃませと声をかけ、おばちゃんがリザと話し始めた。
「いらっしゃいませ、あらリザちゃんじゃない。怪我でもしてポーション買いに来たの?」
「そうじゃないんだけど、ハルキがポーション見たいって言ったから連れてきたわ」
「はは、見るだけじゃなくて買っていってくれよ、えっとハルキ君はリザちゃんとはどうして一緒に?」
「えっと色々あってリザとコンビ組む事になりました」
「おーそうかそうか」
「あら? そうなの? 良かったわ。リザちゃんは強いけどやっぱり女の子が1人でダンジョンに行くのは心配だもの、これからリザちゃんのことよろしくね」
「はい、足手纏いにならないように頑張ります」
「はっは。リザちゃんは強いからな。まぁ頑張んな! 今日はサービスしてやるから沢山買ってしっかり備えな」
おじさんはしっかり営業をしてくる。
それにしてもリザは皆から心配されてんだな。これで何かあったらこの身が危ない、ちゃんと買っておかねば。
そしておじさん達はまた2人で談笑にもどる。
俺はリザの案内でポーション売り場に案内された。狭い店内すぐそこだ。
ポーションは小さい小瓶に色違いで置かれていた。値段もそれぞれ違う。安い順に千ガルド、1万ガルド、10万ガルドと一桁ずつ上がっていった。
「これがポーションよ。青が普通のポーション、緑がハイポーション、赤がメガポーションよ。値段が高いと効果も高いわ」
「具体的にはどう違うんだ?」
「んー、ポーションは簡単な切り傷とかそんなもんね。貴族とかだとお風呂に毎日入れて、入ったりするらしいわよ? なんでも肌がすべすべなるみたい。ハイポーションは深い刺し傷とかも治せるわ。メガポーションになると斬られた腕とかも治ったりするわ。状況次第だけどね。こんなものかしらね? まぁ怪我をしなことが一番よ」
「そうか。流石にお金ないからメガポーションは買えないが、ポーション数本にハイポーション2本位買っとくか」
「まぁそんなものよね。駆け出しだし。ちなみに私はメガポーションも何本か持ってるから安心しなさい。ほんとは回復魔法が使えれば便利なんだけど、使える人少ないのよねぇ。そうだハルキ、便利な魔法得意なんだからあなた覚えなさいよ」
無茶ぶりである。
「また無茶な。覚えようと思って覚えらるなら苦労はしないだろ? それこそ皆覚えるだろ?」
「まぁそうなんだけどね? でもハルキ便利な魔法得意だし、期待しちゃうわけなのよ。なんとなく覚えそうな気がするし」
「そんなことわかるのか?」
「いやまったく。言ってみただけだけど」
「言ってみただけかよ? まぁでも覚えられるなら覚えたいよなぁ。生活してれば怪我しない事なんて無いんだからな」
と言っても俺はこの世界に来てからまだ1度も怪我をしていないが。
「そうなのよね。お母さんも料理とかしててたまに指とか切っちゃうことがあってね? 子供のころ血だらけのサラダが出てきたときは直ぐにポーション買いに行ったわ。あの時はたまたまポーション切らしてたみたいだけど、それから家では常に常備されているし、私も持ち歩いているわ」
「おぅ……血だらけのサラダ……。」
「え? そっち? 回復魔法の話は?」
「俺の意志ひとつで覚えられるなら楽なんだけどな」
まぁ覚えられることに越したことはないがな。
その後は店内を見て回る。石鹸、シャンプー、洗剤や、タオルといったあるのは基本的な生活用品だ。
薬局というより小さいドラッグストアといった感じだ。何気に育毛剤もあった。
会計を済ませるとおじさんが「これはサービスだ」と、いわゆる精力剤を親指を立て笑顔で渡してきた。おばちゃんも親指を立てている。この人らは何を考えてるんだ? まだリザは15歳だし、俺たちはそんな関係じゃないし返そうとしたが、「まぁまぁ」と押し付けられた。
お店を後にしリザを家まで送る途中で、5歳位の男のが俺たちを追い越しで転んだ。直ぐにその姉らしき少女が走ってきた。
「ほら、だから言ったじゃない、走ったらあぶないって」
「ぅ、グス。だいじょヴぶ、いだぐない。こんなのづばづけどけばなおるもん。」
「ほらほら、泣かないの。擦りむいたのね」
「ないでないもん」
男の子は泣いてないと、涙ぐんで泣いてないと必死に姉にアピールしている。姉の注意を聞かなかったから怒られると思ってるのかもしれない。そんな姉弟のもとにリザは優しく声をかけて治療を始めた。
「はいはい、痛くないよねぇ、男の子だもんねぇ」
「うん、いたくない。ぼくおとこだから」
「うんそうだね。でもお姉ちゃんの言うことはちゃんと聞かないとだめだぞ?」
「うん、こんどからちゃんときく」
「うん、偉いねぇ、お利口さんだね。はいおしまい。もう痛くないでしょ?」
「うん、いたくない! ありがとうおねいちゃん!」
「お姉さん有難うございます」
「おねえちゃん、バイバイ」
男の子をあやしながらなれた手付きで傷口をウォータの魔法で洗い、バッグからポーションを取り出し傷口に振りかけた。
すると擦り傷は直ぐに治り、姉弟はお礼を言いながら帰っていった。
リザが色んな人から好かれるのが、少しわかった気がする。俺は「おつかれさん」と声をかけた。
無事家まで送り届けると、「食べていくでしょ?」と誘われた。
お邪魔すると「今日も来たのか」とカルロさんに言われ「待っていたわ」とローナさんに歓迎された。
テーブルにはすでに4人分の食事が用意されている。夕食をご馳走になりながらローナさんの料理はいつも美味しく温かいなとほっこりする。
そして今日も3人に見送られギルドへと戻った。
ポーションが登場。




