ローナさん。
ギルドに戻るとギルド長から、国に報告した返事を待つ間は費用全部持つのでギルドで宿泊していてほしいと頼まれた。
もちろんその間の行動は街からでなければ別に制限しないとのことだった。要は勝手に居なくならないでという事だ。
そして今はリザと食堂でまったりしていた。
「リザとりあえず今日どうする? 昨日言った通りダンジョン行くか?」
少し前にダンジョンにから戻ってきたばかりだが一応聞いてみた。
「なんか今日はそんな気分じゃなくなったわね、昨日は帰らなかったしお母さんも心配してるかもしれないから、今から帰ろうと思うわ。ダンジョンいけなくてごめんね、ハルキはどうするの?」
「そうだなぁ俺もリザについていくよ、コンビだし。今の状況をローナさんに説明するのに俺がいた方が良いかもしれないしな。リザが嫌じゃなければだけど」
「嫌じゃないわよ。そうね、いた方が良いかもね。それじゃ行きましょうか」
やはりリザもダンジョンに行く気はなかったようだ。
こうして俺は受付のメアリーさんに一応断ってからリザの後ろを歩いて家へと向かった。
リザは昨日と調子は変わらないように見えるが、内心俺と関わって面倒くさいことなったと後悔しては無いか心配だ。
本当に心配だ。
そうこうしているうちにリザの家へと着いた。
「お母さんただいまー」
「あらあら早かったわね、昨日はギルドから使い来てびっくりしたわよ? あらハルキ君も一緒なのね。娘がご迷惑をおかけしてごめんなさいね」
「いやいや、俺のせいですからリザは悪くないですから。こちらこそ娘さんを面倒ごとに巻き込んでしまったようで、本当にすいません」
「まぁとりあえず上がって頂戴。一応ギルドから説明は受けているけど本人たちからもお話聞きたいわ」
「すいません、お邪魔します」
俺はローナさんに開口一番にリザは何も悪くなく、俺が悪いと謝った。
いくら旦那さんが連れてきてギルドからも説明があったとはいえ、所詮はよく知らない男である。そんな俺のせいで娘が面倒事に巻き込まれたのだ。心配しないはずがない。だがローナさんは笑顔で迎え入れてくれた。
リビングに通されローナさんはすぐにお茶の用意をしてくれた。そしてテーブルを挟んで俺の正面にローナさん、その隣にリザが座った。
「さて何がどうしたのか一から説明してもらいましょうか。それともケーキを買ってきた方が良いのかしら?」
「なんでお祝いでもないのにケーキが必要なのよ?」
「え? あなたたちがお付き合い始めて、リザが浮かれてお酒弱いくせにワインがぶ飲みして酔いつぶれたからギルドに泊まったって、お母さんは聞いたわよ?」
「は!? だれよ!? そんなこと言った奴は!? ぶっ飛ばしてくるから名前教えてお母さん!」
命知らずが居たもんだ。
「冗談よリザ、じょ~だん♪ 可愛い顔が台無しよ? さてこれでハルキ君の緊張も解けたでしょうし改めてお話伺いましょうかね」
ローナさんは怒ったリザを尻目に笑顔で言った。冗談だったらしい。ローナさんの気遣いが染みる。
そして俺はリザに確認しながらダンジョン10階の開かずの扉とその経緯を包み隠さず話した。
「そう、遣いの方から聞いてた通りなのね。それで今後ハルキ君はどうするつもりなのかしら?」
「俺としてはギルド、そして国の対応に従うつもりです。ギルド長は大丈夫だろうと言ってましたが最悪先ほども言った通り、扉をこのままにして無かったことにしても良いと思っています」
「あらーそれはちょっと残念ねぇ。私もその鞄ほしいわ。お買い物楽になそうよね」
「そうですね。国が問題ないと判断をしたらその時はお詫びもかねて俺からプレゼントさせて頂きます」
ここで誠意を見せなければ男がすたる。
「ほんと? ありがとうねハルキ君。さて小難しい話はおしまいにしてお昼にしましょう、ハルキ君は何が食べたい?」
「え? いやいやお構いなく。いきなりやってきた上にそこまで厚かましいことは。俺はギルドに戻って食べますから大丈夫です」
「あら? 私の料理はお口に合わなかったのかしら? それに一昨日いきなりやってきて泊って行った人のセリフじゃないわ。残念だわ、私泣きそうだわ、あー泣いちゃうかも」
遠慮して言った俺にローナさんはずばずばと言い放つ。ぐぅの音もでないがチラチラと俺のほうを窺っている。どう見ても演技だ。
「ハルキ、別に遠慮することないし観念して食べていきなさいよ。あぁなったお母さんはしつこいわよ?」
「ほらぁリザもこう言ってるし是非とも食べてって」
「わかりました、それではお言葉に甘えてご馳走になります。あと手伝います」
「だめよ? ハルキ君はお客様だしそれにキッチンは私のお城よ? 入城は許可できないわ」
そういってローナさんはキッチンへと姿を消していった。
「ハルキ、お母さんには逆らわない方が身のためよ?」
リザはローナさんがキッチンへと姿を消すのをきちんと確認したうえで小声で俺に教えてくれた。心に刻もう。
その後昼食をご馳走になった俺は収納してあった果物をお礼にと渡し、帰ろうとした。だがローナさんはなんだかんだ言って帰してくれず、最後は泣いちゃうとまた脅してきた。
歴史は繰り返される。
結局カルロさんが仕事から帰宅するまでそれは続き、カルロさんにもきちんと今回の件を謝り説明した。そして今度は晩御飯までご馳走になることになり、俺は解体してあった兎肉を使ってくださいとローナさんに渡した。
晩御飯をご馳走になりカルロさん、ローナさん、リザに見送られてようやくギルドに帰ってきた。
明日はリザとダンジョンに行く予定だ。
楽しみだな。
母は強し。




