マジックバッグ2
翌朝俺達2人は一緒に朝食を食べる。
ギルド長の計らいでタダだったので俺は一番高いモーニングセットを頼んだが、リザは普通に好きなものを頼んでいた。ハニートースト。
食事も終わり俺はコーヒー、リザは紅茶でまったり。どうやらリザは紅茶党らしい。
するとタイミングを見計らってメアリーさんがやってきて、ギルド長室まで案内された。
ギルド長に俺とリザは宿と食事のお礼をまずは言う。大事。
「なに当然のことだよ。こちらの都合に合わせて貰っているのだからこのくらいは。逆に朝早くから集まってもらって済まない。それでは行こうか」
こうして俺とリザ、ギルド長とメアリーさんはダンジョンの開かずの扉へとやってきた。
「ん? 扉は開いたんじゃなかったのかね?」
「一応帰るとき何かあるといけないので戻しておいたんです。知らないうちに魔物とか出てきても困りますから」
嘘じゃないけどホントは住もうと思ったからだ。
「そうか、その賢明な判断に感謝する。それでは扉を開けてもらえるか?」
「はい」
昨日と同じく扉を収納する。防犯はバッチシだ。
「ほんとに開くんだな、いや開いたというのは違うか……?」
「開いたで良いんじゃないですかね? 結果的に通れるようになったわけですし」
「そうだな、開いたでいいよな、うん」
「はい、それじゃ入りましょうか」
こうして俺とリザを先頭に中に入り、絶句した。
「此処がその部屋か。何だ? 鞄を全部持ち出したわけじゃなかったんだな?」
「本当にお店みたいに並んでいますね。誰がこんな事したんでしょうか?」
ギルド長達を他所に俺達はヒソヒソと話をする。かまってる場合ではない。
「ねぇハルキ、鞄て昨日全部持ち出したわよね?」
「あぁ持ち出したな? ちゃんと収納にあるぞ?」
「そうよね? じゃ誰かがまた補充したのかしら?」
「まさか本当に鞄屋の可能性が?」
「幽霊かおばけの店員が……?」
「おいおいやめてくれよ。怖いこと言うなよ……」
俺は困惑し、リザも戸惑っている。
「ん? ヒソヒソとどうしたんだね? なにか問題があったのなら我々にも説明してもらえるとありがたいんだが」
「いや、あの……昨日確かにここにあった鞄は全部持ち出したんですけど、今日来たらそれが元通りになっていまして、しかも昨日とった分はちゃんと俺の収納にあるんです」
「つまり?」
「取り放題?」
「なんだと!?それは本当か!? だとしたら素晴らしいことではないか! 私にも売ってくれ!」
ギルド長は興奮して眼が見開いている。
「いえいえちょっと待ってください! あくまで可能性があるという事です。まだわかりませんよ。明日は取れないかもしれませんしあくまでその可能性があるだけですよ」
「そ、そうだな、いやしかし……」
諦めきれないご様子。
「ギルド長落ち着てください、ハルキさんが困っていますわ。それにこんな鞄が安く安定供給されたら既存の鞄屋が廃業してしまいますし、何より窃盗などの犯罪も蔓延るかもしれません。ここは慎重に検討、対策しないといけませんよ」
「あ、あぁ、そうだな、メアリーの言うとおりだな。取り乱して済まなかったハルキ君」
メアリーさんのフォローでギルド長は幾分落ち着きを取り戻す。
「いえ大丈夫です。それにしてもメアリーさんの言うとおりですね。鞄屋が皆首を吊ったとかなったら寝覚めが悪すぎますし、いっそこの件は無かったことにしますか?」
「いやさすがにこれ程のマジックアイテムを私の一存で無かったことには出来ないし、すでに朝一番で国にもこの件は報告している」
仕事が早い。
「あのこれってやっぱり、最後は国に鞄を没収されたりしますか?」
「いや国とはいえそんなことしたらただの強奪になってしまう。それが危険視、重要視される物ならきちんと国が買い取ってくれる。だからハンタは一獲千金を狙って冒険に行くんだよ」
「そうなんですか? じゃあとりあえずここで簡単に検証しませんか? 幸い入り口をすでに閉めてあるので誰も入ってこれませんから、安全にできますよ?」
「そうだな、ではまず明日のために此処にある鞄をハルキ君に収納して貰ってから始めようか」
そして検証タイム。
検証中……。
検証終わり。
「とりあえずこんなもんですかね? あとはまぁ国のお偉方にまかせましょうか」
「そうだな。この検証結果はきちんと上に報告しておくよ。まぁ悪いようにはならないだろ」
「よろしくおねがいします」
ペコリと頭を下げる。
とりあえず自分たちにできることはしたのであとは丸投げをすることに俺は決めギルドへと戻った。




