糸で事件を釣る
ほっと息をついた次の瞬間、花火が鳴り響く音が響いた。
後ろを振り向けば、地面にはそこら一体に爆風で吹き飛んだ、ガラス破片が放射線状に地面に散らばっていた。
私たちの後をついて来てた学生達も、何人かはガラス破片で軽く負傷してたが、重症者はいなかった。
交通事故の衝撃音みたいな音が辺り一面響いた。
学生達は目の前に広がる地獄絵図化とした光景を腰を抜かして見てた。
「う、う そ で しょ !」
長いこと放心状態だったと思ったけど、実際は2、3分ほどだったらしい。
周りでは警察や救急車を呼ぶよりも、我先にと携帯でネットに画像をあげる人達。
警察と救急がようやく校内に到着。なのに、救助もままならない。携帯を掲げて撮影する野次馬が多すぎた。
私はと言うと、遠くで救急車のサイレンが聞こえて来た途端、裕子と2人して意識をブラックアウトさせてた。
目覚めた美由紀を迎えたのは、心配顔の母上殿、子泣き爺と砂かけ婆。
「知らない天井だ。あれ、妖怪子泣き爺と妖怪砂かけ婆が見える」
ごちん。
デコピンされた。デコピンなのに、滅茶苦茶痛い。
「誰が妖怪じゃ!砂かけ婆だい?マダムとお呼び!」
ベット脇で仁王立ちしてるマダムこと、マダム美沙緒。
母上殿からは、一週間もの間、私と裕子は意識不明の状態だったらしい。
「あ、そうじゃ、伝言忘れておったんじゃった。美由紀。先週からあんたが通ってる大学、暫く休講になると聞いとるまあ、いい頃合いじゃな。」
「いい頃合い?何のよ?」
赤くなった額を摩りながら、砂かけ婆…ゲフンゲフン。マダム美沙緒の方を見れば、お前さんの修行に決まっておるじゃろうがと突っ込んでくるオババに後ずさり。
関係者は全て、警察病院で事情聴取を取られたらしい。
誰かが、私の糸占いのことを言い出したらしく、私が犯人のように疑われたけど、私も被害者で意識不明で入院中。
警察の捜査で分かった事は、表向きには校舎の建物の老朽化が原因だった(らしい)と言われている。
本当は、この大学の受験に失敗した元浪人生達とその親たちの怨嗟による無差別銃乱射事件だった。
有名私立ほどではないけど、この大学も難関だ。
その後、ある事件が立て続けに起こった。
外国人女性がまた行方不明になったらしい。
そこで警察が実家にやって来た。
「糸井 美由紀さんですね。重要参考人として、署までご同行願います」
そう言って警察官がやって来た。
任意なのかと聞けば、任意だと言う。
なら、裁判所からの令状があれば、行くと言うとガタイの良い警察官から、「前科者のくせに!」と言われた。
前回の爆発事件から、我が家でもいろいろな被害があったから、玄関には監視カメラを数台ある。
予言できたくせに、自分達だけ助かりやがってと言う非難めいた脅迫や、イタズラ電話の方が可愛いすぎるくらいの迷惑電話が来て、家の電話を解約したほど。
投石で窓ガラスは割られるし。その度に警察に取り締まるように言っても、事件性がない。見回りを強化するとだけ。犯人を見つけようなんてしもしなかった。
弁護士に相談して器物損壊と精神的苦痛の慰謝料もつけて訴えることにした矢先、の警察官訪問である。
「前科者ですか。あなた達が勝手に騒いで人を犯人に仕立て上げたくせに。今のあなたの発言は恐喝罪に適用されますね」
「令状あるんですか?」
院で法学部を専攻してる将来有望な綾人兄。そして我が家に来ていた裕子が綺麗な微笑を浮かべて毒吐いていた。
しかも兄は携帯で法学部教授とお話ししてるし。
警察官の人、脅せばイケるみたいに言われてたんだろう。見事な返討ちにあって、さっきからみじんこみたいに小さくなってるよ。
すっかり、借りてきた猫状態の警官。
それに輪をかけるみたいにヌ〜っと出てきた砂かけ婆と子泣き爺。
2人の顔見て、白目剝いてた。




