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question episode 007 記事と引き寄せられる朝(最終話)

 悠真は書くことにした。ただ誰かに知ってもらいたくて。伝達するために。イ


この世界のどこかで、誰かのために働き続けている人たちの事を。本来の記憶がうすれても、新しい場所と生活、本質だけを抱えて生きている人たちの事を。


悠真は地方紙の投稿欄に原稿を送った。

 「みがわり山・・・消えた人々のその後」

 固有名詞は使わず、証拠も添えず、事実に問いかけを織り込んだ文章で整えた原稿だ。


読む人によってはただの怪談に受け止めるかもしれない。


一週間後地方の社会面の端に小さな記事として掲載された。大きな反響はえられず、拡散されることもなかった。


 その代わりに、二通の手紙が届いた。

一つ目は十年前に息子を失ったという、老婆からだった。

 【息子はどこかで誰かのために働いているのですね、それが判っただけでも十分です】と几帳面な文字で綴られていた。


二つ目は、差出人は匿名希望だった。

 【覚えています、少しだけ・・・】


悠真はその手紙を長い間見つめていた。




 ある朝悠真は、眼が醒めると窓を開けた。その景色は霧だった。

いつもと同じ朝なんだけど、何か違うような空気を感じた。


光の強さなのか、傾きなのか、それとも悠真自身が変わっていたのかもしれない。


気が付いたら、悠真は山へ向かう坂道を歩いていた。

 呼ばれているような・・・声は聞こえない。


 今この瞬間は、静まっている。蒼汰の事がふと浮かんだ。

 坂道の先は霧がより濃くなっていた。


 悠真は一度止まり、ゆっくり進んだ。別れなのか、新しい役割の始まりなのか?誰も知らない。



みがわり山からの転送により、今日もどこかで誰かの人生をそっと支え続けているのだろう。







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