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question episode 003 穴を埋める者
データは嘘をつかない。
悠真が集めた情報は百を超えた。代観山の周辺で過去十年間に、失踪した人物。そして彼らが消えた時期と前後して「突然現れた」人々。
照らし合わせると、びっくりするほど整合していた。
医師が不足していた離島の診療所に翌月、経歴不明の若い医師が着任。
廃坑寸前だった、山間の小学校に教師が赴任していた。
人手不足で閉業の危機にあった食品工場に働き者の新人が数名同時に入社した。
戸籍・経歴を調べれば調べるほど、その履歴は薄い。出身校のアルバムに写真がない。幼年期の記憶を持つ人間が、周囲にいない。
外部記憶装置のように。
転送、と言う言葉が頭に浮かんだ。彼らは消えたのではない。送られたのだ。派遣と言う言葉の方が似合うかもしれないが、社会の穴を埋めるために。
社会のために、送られた人々、うっすら過去の記憶を持ちつつ、新しい人生を送っているのである。
誇らしいことなのか、それとも・・・・。
悠真は、地図を広げ、失踪地点と転送先を線で結んでみた。放射状に広がる線の中心に、代観山があることが判明した。
悠真は、しばらく山を見つめていた。心で敬うように・・・・。




