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コールド伯爵令息の身勝手な愛は、一国を滅ぼす  作者: 明衣令央
第4章:国の終わり、そして始まり

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第5話・後悔と改心


「ごめんなさい、父さん、母さん、ウォルト兄さん、アラン兄さん……ごめんなさい、オウンドーラ王……」




「やっと、理解できたか。そうか……」




 今さらトマスが後悔しようが反省しようが、オウンドーラ王はどうでも良かった。


 今の状況を引っ繰り返してこの国を救う術など、無いに等しかったからだ。


 いや、正確には無いに等しいだけで、方法はあった。


 ただ、それが成功する確率こそ、無いに等しかったのだ。




「オウンドーラ王……僕は、どうすればいいですか? どうしたら許されますか? どう償えばいいですか?」




 今さら許してほしいのかと、オウンドーラ王は呆れたようにトマスを見つめた。




「そうだな……この国が救われれば、お前の罪も多少は許されるかもしれんな」




「この国を救う……どうしたらいいでしょう……誰か、魔物たちを倒してくれるような人が居れば……」




 そう呟いたトマスは、突然目を輝かせてオウンドーラ王を見つめた。




「そうだ、ギルベルト・ガンドールに戻ってきてもらえばいいんですよ!」




「お前は、簡単に言うなぁ。一体誰のせいでギルベルト・ガンドールが出て行ったと思っているんだ……」




 ギルベルト・ガンドールに助けを求める事――それはもちろんオウンドーラ王も考えた事だったが、オウンドーラ王には、自分がギルベルト・ガンドールを怒らせた自覚があった。


 それに、ギルベルト・ガンドールは、この結末まで理解して出て行ったのだから、戻ってくるはずがない。


 それをトマスに教えてやると、彼は落胆したが、再び顔を上げて言った。




「でも、一生懸命頼めば! もしかすると!」




「トマス……」




「オウンドーラ王、僕、この間は、自分が悪いなんて全く思っていませんでした。だけど今は、本当に反省しているし、なんて事をしてしまったんだろうって、後悔しているんです。だから、僕が一生懸命に頼めば、ギルベルト・ガンドールは考え直してくれるのではないでしょうか?」




 確かに、今のトマスは以前のトマスとは違うのかもしれないと、オウンドーラ王は思った。


 今の彼は、自分が犯した罪のせいで、家族を失ってしまった事を理解して、反省している。


 オウンドーラ王には、今残っている兵士たちには、できるだけ国民たちを守らせたかった。


 それなら、無理を承知で、手が空いているトマスをギルベルトの元へ行かせるのも、一つの手かもしれない。




「お前は体が弱いと聞いていたが、一人で馬に乗れるのか? お前がギルベルトの元に行くとしても、誰も供につけてはやれないぞ? それに、王都を出たとしても、ギルベルトの元に行くまでには、まだ魔の森を抜けねばならない。お前に行けるのか?」




 オウンドーラ王の言葉に、トマスは少し考え込んだが、頷いた。




「馬には、昔、少しだけ乗った事があります……。上手くはないけど、乗れない事はないはずです。それから魔の森は……怖いけれど、そんな事を言っている場合じゃないです! 僕はなんとしてでも、ギルベルト・ガンドールに会いに行きます!」




 そう言ったトマスに、わかった、とオウンドーラ王は頷き、馬の手配をしてくれた。


 そしてトマスは与えられた馬に乗り、ギルベルト・ガンドールに会うために、魔の森の先を目指す事になった。



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