表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コールド伯爵令息の身勝手な愛は、一国を滅ぼす  作者: 明衣令央
第4章:国の終わり、そして始まり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/45

第4話・トマスの罪


 街は魔物の襲撃で被害を受けていたが、王宮は残った兵士たちが周りを囲み守っていた事もあり、まだ被害を受けてはいなかった。


 兵士と共に王宮へとたどり着いたトマスは、オウンドーラ王の居る謁見の間へと通された。




「お、お前は、あのコールド伯爵の息子ではないか! コールド伯爵家の者は、みんな第二砦に行ったのではなかったのか!」




 トマスを見たオウンドーラ王は驚き、トマスを連れていた兵士の顔を見た。




「この者だけ、王都に残ったらしいのです」




「オウンドーラ王、知っていたら教えてください! 父さんたちが行った第二砦はどうなったのですか? どうして、王都にこんなに魔物が入り込んでいるのですか?」




「うるさい、黙れ! まずは報告が先だ!」




 オウンドーラ王はトマスに怒鳴りつけると、再び兵士へと目を向けた。


 兵士は頷き、報告を行う。




「王都は魔物の襲撃を受け、甚大な被害が出ています! 国民たちは建物の中に隠れているようですが、魔物が建物内に入ってきたり、建物が壊されたりして、襲われています。死者も出ています」




 兵士の報告を聞き、オウンドーラ王は一瞬俯いて考え込んだが、すぐに顔を上げ兵士に指示を行う。




「幸い、この王宮は王都にある建物の中で一番頑丈だ。まだ生きている国民を助け、王宮に入れてやれ」




「はっ、かしこまりました!」




 兵士はオウンドーラ王に一礼すると、すぐに走り去った。


 それを見送ったオウンドーラ王は、深い息をつくとトマスへと目を向けた。




「お、オウンドーラ王! 第二砦に行った僕の家族がどうなったか、知りませんか?」




「確か、トマスと言ったか……。お前、何故、家族と共に第二砦に行かなかったのだ……。そうすれば、家族がどんな気持ちで居たか理解できただろうに……」




「どういう事、ですか?」




「第二砦でお前の家族は、全員死んだ」




「え?」




 トマスは耳を疑った。彼は、オウンドーラ王の言った事がすぐには理解できなかった。




「魔物たちが森から出てきて第二砦を襲った時、コールド伯爵と息子二人は、真っ先に飛び出し、そして殺された。それを見たお前の母親も、すぐに魔物の前に姿をさらし、食われたという。全てを見ていた者によると、家族全員での自殺のようだったらしい。実際、そうだったのだろうがな……」




「そんな……どうして……? わ、わからないよ……」




 何故家族がそんな行動を取ったのか、トマスには理解できなかった。


 わからない、わからないと繰り返すトマスを呆れたように見、オウンドーラ王は言った。




「お前の家族は、この国がどうなるのか、正確に理解していたのだ。傭兵たちが去った後、滅びる可能性は高かった。もちろん、そうならないように考えはしたがな。お前の家族たちは、お前が犯した罪の責任を感じていたのだろう」




「僕の、罪?」




「あぁ、そうだ」




 深く頷くオウンドーラ王を見ながら、トマスは自分が犯した罪がどんなものだったかを考えていた。




 トマスの罪――それは、ベル・ガンドールを騙して殺そうとし、花嫁のすり替えを行った事だった。


 全てはそれが原因で、ギルベルト・ガンドールやフェンリル・エンベリーはこの国から手を引いてしまった。




「僕はただ、僕のベルと、幸せになりたかっただけなんだ。なのに、そのせいで、僕の家族は死んでしまったっていうの?」




 そう呟いたトマスに、あぁ、とオウンドーラ王は頷いた。


 トマスはぼろぼろと涙を流しながら、まるで幼子のように呟く。




「僕が、僕の家族を死なせてしまったの?」




「そういう事だ。お前のせいで、お前の家族だけでなく、今では一国が滅びようとしている」




「僕のせい……僕の、せいっ……ごめんなさいっ……ごめんなさいっ……」




 トマスは家族を失い、国が滅びようとしているのを目の当たりにして、やっと己の罪を理解した。


 床に座り込み、額を床にすりつけるようにして頭を下げ続けるトマスを見て、オウンドーラ王はまた深いため息をついた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ