表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コールド伯爵令息の身勝手な愛は、一国を滅ぼす  作者: 明衣令央
第4章:国の終わり、そして始まり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/45

第1話・家族との別れ


 一部の国民たちが傭兵たちと共に王都オフレンドを去ってから、三日が経った。




「東と西の森の砦から傭兵たちが居なくなっても、何も変わらないじゃないか」




「ここを出て行った奴らは、きっと傭兵たちに騙されたんだな! 馬鹿な奴らだ!」




 普段通りの生活を送っていた王都オフレンドの国民たちは、そう言うと笑い合った。


 オウンドーラ王が言う通り、傭兵たちが居なくなったとしても、まだ王立騎士団が居る。


 王立騎士団が守っているのだから、この王都オフレンドは安全なのだ。






 傭兵たちが出て行って一週間ほど経つと、誰もトマスの事を気にしなくなった。


 それどころか、ギルベルト・ガンドールの方がトマスやコールド伯爵家を騙していて、それが明るみに出たから逃げたのではないかという話まで出始めた。


 それを聞いたトマスは国民たちに話を合わせ、悪いのは全てギルベルトで、彼が自分にやってもいない罪を着せ、他の傭兵たちと共に、一部の国民たちを騙して出て行ったのだと言い回った。




「父さん、母さん、ウォルト兄さん、僕たちの疑いが晴れて良かったね!」




 己の悪事の全てがギルベルト・ガンドールのものになった頃、トマスは両親と長男のウォルトに笑顔で言った。




「国民たちが、ギルベルトが全部悪んじゃないかって言い出したから、僕が補足してそういうふうに仕向けたんだよ。これで、もう僕らを悪く言う奴は居ないし、今まで通り穏やかに暮らしていけるね」




 そう言ったトマスを、ウォルトは呆れたように見つめた。




「お前のその能天気さが羨ましいよ。でも、改めて思った……お前は本当に、今後この国がどうなっていくのかが、わかっていないんだな」




「ちゃんとわかっているさ。今まで通りに暮らしていけばいいんだよ。ほら、傭兵たちが居なくなっても、魔物たちは襲って来ないじゃないか。この国も僕らも、これまで通りなんだよ」




 ただ、僕のそばには、愛するベルは居ないけれど。




 トマスはその一言だけは口にしなかった。


 ベルはあの馭者の男と共に王宮から姿を消して、それっきりだった。


 だけど、トマスは待っていれば彼女は戻ってくるものと思っていた。


 だって、これからは元のように暮らしていけるのだから。




「トマス、私たちは、アランの居る第二砦を手伝いに行く事に決めたよ。屋敷の使用人たちには、みんな退職金を支払って辞めてもらった。お前はどうする? 一緒に来るか? それとも、王都オフレンドで生きていくか?」




「え? どういう事? 手伝いって、父さんやウォルト兄さんだけじゃなく、母さんもなの?」




「えぇ、お母さんも行くつもりよ。あっちで雑用の手伝いをさせてもらうつもりなの」




「コールド伯爵夫人が、何故?」




 トマスの反応に、エドモンドは深い息をついた。




「やはり、何も理解していないのだな」




「どういう事? 父さんが何を言っているのかはわからないけれど、僕はこの王都オフレンドで暮らしていくよ。あの屋敷で暮らす事にする」




「そうか、わかった。お前は自由に生きていけ」




「うん、そうするよ。じゃあ、アラン兄さんによろしくね」




 トマスはそう言って、家族をアランがいる第二砦へと送り出した。


 トマスは、家族はただアランの様子を見に行っただけで、すぐに戻ってくるものだと思っていたのだが、これは彼らの命を懸けた贖罪で、今のやりとりが家族との最後の会話になる事になるのだが、トマスはそれに最後まで気づく事はなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ