第3話・決意
もしも、落ち着いた場所で、私が広範囲の防御魔法……結界を張り続ける事ができたら。
それができれば、伯父様やみんなは、戦わずに済むかもしれない。
魔法の修行を積んで、もっと強力な魔法が使えるようになれば、東と西の森から魔物を消す事ができるかもしれない。
そんな事をちらりと考えてしまった私は、少しは前向きになったのかもしれなかった。
それに、一つ気にかかる事がある。
私の結婚は、オウンドーラ王と伯父様との間で、すでに決まってしまっているという事だ。
王様と契約したと、伯父様は言っていた。
それなら、私が嫌だと駄々をこねたら、伯父様の立場が悪くなってしまうのではないだろうか。
伯父様に迷惑をかけるわけにはいかなかった。
「ベル……だいぶ、落ち着いたかい?」
「大丈夫?」
私を心配してくれる親友二人に、私は頷いた。
結婚の話を聞いてから、すでに三日経っていた。
この間、私は癇癪を起して、伯父様と一言も口をきいていない。
確か、結婚式は一週間後だと言っていたから、あと四日しかないというのに、何をしていたのだろうと思う。
私は、私に残された時間を、大切にするべきだった。
「うん、だいぶ、落ち着いた……」
私が頷くと、タイラーとマディは安心したように笑った。
私も笑って……二人に決意を伝える。
「私、結婚するね」
「ベル……」
「手紙、書くね。二人とも、返事をちょうだいね……」
「うん、絶対手紙、書くよ!」
「手紙だけじゃない。タイラーと二人で、必ず会いに行く……」
「あぁ、必ず俺たち二人で、ベルに会いに行くよ」
二人の言葉は嬉しかったが、私は首を横に振った。
気持ちは嬉しいけれど、会いに来なくてもいい。
その代わり、私は二人にお願いがあった。
「ベル、お願いって、何だい?」
「何でも言って?」
「ありがとう! あのねっ……伯父様の事なんだけどっ……。伯父様の事を、どうか、よろしくお願いしますっ」
そう言って頭を下げると、タイラーとマディは駆け寄ってきて、私をギュっと抱き締めてくれた。
「もちろんだよ、ベル」
「大丈夫よ、任せて」
「ありがとう……」
伯父様はとても体が大きくて、見かけは怖いけれど、本当はとても優しい人。
だから、いつも自分の事は放ったらかしで、誰かを庇って傷ついてしまう。
でも、ひどい怪我をしても放ったらかしで、熱が出てもそのままで。
私がそばに居ないと、無茶ばっかりする可能性があるから。
「タイラー、マディ、伯父様の事、よろしくね。私の代わりに、あの人が無茶しないように、見ててあげてねっ」
何度も繰り返すと、わかっている、と二人も繰り返し言ってくれた。
王都に行ったら、私はしっかり魔法の修行をしよう。
それで、防御魔法で結界を張って、この国を、ううん、この砦のみんなを、魔物たちから守るんだ。




