肉増し編、21 レコードデビュー直前の事 1977年6月以降 4歳
1977年6月上旬、都内某所である一人の男がタバコの煙をゆっくりと吐き出しながら、目の前の招待状を眺めていた。
大手レコード会社の子会社で児童音楽部門を担当するスカウトマンであった。
普段はこうした格式高い幼稚園の発表会に顔を出す事はほとんど無かったが、
幼稚園の理事の一人である旧知の資産家から強く勧められて渋々了承したのだった。
『鏡原幼稚園、年少組合同お遊戯発表会
出し物タイトル:「桜の国の小さな菱姫」
開催日:1977年6月25日(土曜日)』
1977年6月11日(土曜日)発表会2週間前
鏡原家の音楽室で幸一叔父様は僕の前に座り、劇の台本を丁寧にめくりながら言った。
「三花ちゃん、劇の中で走ったり回ったりする激しい動きのシーンがいくつもあるね。
下は動きやすい物を着けた方が安心かもしれないね。」
僕は心の中で静かに考えていた。
『動きやすくてチラ防止ならブルマかな・・・。ドレスの下に着ければ安心して演技に集中出来るだろう・・・。』
そして僕は少し上目遣いに叔父様を見て、素直な気持ちを声にした。
「そうですよね?叔父様・・・。動きやすい方がいいですよね。お友達の先輩が言っていましたが、
『ブルマ』と言うのがあるって聞きました。
体操の時等に使うらしいですね。下に着ければ跳ねたり、回ったりしても大丈夫だと思いますけどどうかな?」
幸一叔父様は少し驚いた顔をしたがすぐに優しく微笑みながら言った。
「ブルマか・・・。確かに動きやすいし、パンチラ防止に役立つだろうね。
お嬢様らしい清楚なイメージを崩さないならいいかもしれないね。」
女中頭が控えめに進み出て、
「それでしたら、白や淡いピンクのシンプルな物をご用意いたします。星姫の白いドレスの下に着ければ動きの激しい場面でも安心ですし、防寒対策にもなります。」
僕は心の中で穏やかに安堵した。
『これなら自然だな。動きやすくて、衣装が乱れる心配も少ないからな・・・。良い選択だと思う。』
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6月15日(発表会10日前)、鏡原家の試着室では使用人達が新品のブルマを僕に履かせてくれて衣装のドレスの上から確認してくれた。
結果、淡いピンク色のシンプルなブルマがまだ4歳の僕の細い脚にピッタリとフィットしており、
激しく動いても裾が大きくまくれにくく、清潔さを保ったままで動きやすかった。
女中の一人が、
「お嬢様、とてもよくお似合いです。動きの激しい場面でも安心ですね。」
と言い、僕は鏡の前で少し身体を動かしてみた。
ブルマの締め付けが心地よく、演技に集中できそうだった。
『うん、これなら動きやすい。これは実用的だな・・・。これなら安心して劇に挑めそうだ。』
僕は鏡に向かって小さく微笑んだ。
「これなら安心して動けます。ありがとうございますね。」
僕は衣装合わせに付き合ってくれた女中さんにお礼を言った。
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6月24日(金曜日)に鏡原幼稚園の講堂で前日リハーサルが行われた。
関係者のつてで前日にもかかわらず入場したスカウトマンの男性は講堂の後方の席に座り、舞台をじっと見つめていた。
リハーサルが始まり、最初は『こんなんのか・・・。』と思っていたが、
白いドレスを身に包んだ星姫役の僕が登場して、動きの激しいシーンで何度も回転した。
ドレスのすそがひるがえすたびに下に着用している淡いピンクのブルマがほんの少しだけ覗いたが、
それは決して下品ではなく、幼いながらも一生懸命に演じている清楚さを強調する効果になっていた。
そして独唱が始まると無意識に上着の内ポケットにある小型のカセットレコーダーのスイッチを入れた。
『あの動きの激しさでも衣装が乱れないのか・・・。下にブルマを着用してるのか。細やかな配慮がされてるな・・・。それにしても、この子の存在感は特別だな・・・。特に感情をこめて歌う姿は強く心に響く・・・。』
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6月25日(土曜日)発表会当日、鏡原幼稚園講堂は多くの保護者と関係者で満席となっていた。
お兄様達も小学校の短縮授業を終えて駆け付け、三郎もお母様のひざの上に座り、お父様も含めて保護者席の前列に座っていた。
幕が上がり、第1幕『夜空からの落下星姫』が始まった。
僕が登場し、不安げに歌う星姫。
「私は・・・もっと大きくひからなきゃいけないの・・・。小さくては、だめ・・・。」
続いて第2幕では、『桜の国での出会い』
桜の木の精霊やうさぎの子供達との出会い。だが星姫は誘いを断り続けた。
第3幕『迷いと歌』
星姫が桜の木の下で泣いていると、風の精霊が現れた。
ここで僕が舞台中央に立ちソロで歌う。
題名『星のささやき』
夜空に浮かぶ小さな星よ。
そっとささやいて私の名前を。
怖がらなくていいよゆっくりでいい。
君のペースで輝けばいい。
(以下略)
ドレスのすそがひるがえるたび、淡いピンクのブルマがチラリと覗くが、それは幼い星姫の可憐さを引き立てる効果になっていた。
会場は静まりかえりスカウトマンの男性はこぶしを握りしめていた。
第4幕、第5幕と続き、『気づきと大団円』
星姫は自分の光を肯定し、全員で大合唱となり無事大団円を迎えた。
そして幕が下りて演技終了のアナウンスがなされると講堂に大きな拍手が沸き起こった。
スカウトマンの男性は席から立ち上がり、深く息を吐いた。
『この子は・・・ただの才能じゃない。けうな、特別な光を持っている・・・。』
終演後すぐに園長に近づき名刺を差し出し言った。
「園長・・・。あの星姫を演じたお嬢様のご家族にぜひお会いしたいのです。
顔出しは一切不要です。声だけで・・・、この子を音楽の世界へ連れて行きたい。
こうして、まだ4歳の僕の運命は、予期せぬ形で大きく動き始めたのだった。
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発表会が終わった夜、鏡原家の広い和室リビングには柔らかな照明が灯り、興奮冷めやらぬ家族が集まっていた。
僕はお母様の隣に白いワンピース姿で座っていた。
少し疲れた様子ながらも目を輝かせていた。
太郎お兄様が珍しく興奮を抑えきれない様子で口を開いた。
「三花、今日の劇は本当に素晴らしかったよ。
特にソロで歌う場面・・・会場全体が静まり返ってみんな息を飲んで聴き入ってたぞ。」
すると次郎お兄様も続けて、
「うん!三花の星姫すごく可愛かった!劇で淡いピンクのブルマがちらちら見えたけど動いてる姿、生き生きして本当に素敵だったよ!
僕、客席からずっとドキドキしながら見てたんだよ!」
僕は少し頬が赤くなったのを感じながら、家族の顔を見回して言った。
「ありがとう・・・。実はあの淡いピンクのブルマ、すごく動きやすかったわ。
白いドレスがまくれても気にしなくて大丈夫だったので、安心して演技に集中出来たわ。」
僕は少し間をおいて、両親に向かって真っすぐに言った。
「お父様、お母様・・・。お願いがあるの。幼稚園で体操の時間やお遊戯、園庭で活発に動く時に濃紺のブルマを下に着けていいでしょうか?
出来れば活動的な時間はいつも着けていたいの。」
部屋が少し静かになった。
お母様は優しく微笑みながら、僕の頭を撫でながら、
「三花ちゃんがそこまで気に入ったならいいわよ。活動の時にはブルマを着ける子も多いものね。」
お父様は静かにうなずきおだやかな声で言った。
「動きやすさを重視するのは良い事だ。鏡原家でも活動的な場面でブルマを着用するのは珍しい事ではない。三花が望むなら許可しよう。」
僕の顔がぱっと明るくなるのを感じつつ両親にお礼を言った。
「ありがとうございます!」
女中頭が優しく微笑みながら言った。
「お嬢様、濃紺のシンプルで上質な物を新調いたします。活動の時に快適な物を選びますので、
どうぞ安心くださいませ。」
「ありがとう。」
その夜、僕は自分の部屋の布団の中で静かに天井を見つめていた。
『今日の劇、皆に観てもらえて良かったな・・・。劇の時は白いドレスに合わせた淡いピンクだった。
普段は濃紺のブルマを着けるのも落ち着いて良いだろ。
今日劇で履いてみて、ショーツの上から包まれている様で安心感があったからな。
今後もパンチラ防止や防寒対策等に有効だと思ったからな。
そして、家族が普通に受け入れてくれたな・・・。この感覚、なんだか心地いい・・・。』
すると脳内でもう一人の三花ちゃんの魂が優しくささやいてきた。
≪雄蔵さん、嬉しそうね。そんなに嬉しそうで私も嬉しいよ。≫
≪三花ちゃん、ありがとう。≫
『ああ・・・。転生時に色々願望を込めたこの世界でこうして少しずつ叶っていってる・・・。
ブルマは初めての経験だったけど、普段から着用して活動出来る日常が自然に受け入れられるなんて・・・。普段はショーツだけだとスースーして心もとなかったんだよな・・・。』
僕は布団の中で小さく身体を丸めて、劇の時の淡いピンクのブルマの感触を思い浮かべながら、
穏やかな気持ちで目を閉じた。
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翌週に鏡原幼稚園園長から正式に許可が出た日の翌日、僕はセーラー服タイプの園児服の下に濃紺のブルマを着用して幼稚園に向かった。
予備も数枚持っていっている。
体操の時間になると、僕は他の園児達より生き生きと動き回っていたら先生が優しく声をかけてきた。
「三花ちゃん、今日はとても動きが軽やかね。ブルマを着けていると安心して動けますからね。」
他の女の子達も僕の様子を見て興味を示し始めた。
「三花ちゃんのブルマ姿、格好いい・・・。私も着けてみようかな・・・。」
「そうね、格好いいわね。私も頼んでみましょうか・・・。」
等々、女の子達からの評判は上々だった。
その後の日々でも僕は活動的な時間になると、自然と濃紺のブルマを着ける様になっているのがごく自然で、家族も使用人もそれを特別視する事もなく鏡原家のお嬢様らしい自然な選択として受け入れられていた。
太郎お兄様が夕食時に、
「三花、濃紺のブルマを着けて動く姿は健康的で良いと思うぞ。」
次郎お兄様も続けて、
「三花の濃紺ブルマ姿、格好いいよ!。
三郎は僕に抱きつきながら、
「みかー、ぶるま、かわいい!」
と言って喜んでいた。
僕は家族に囲まれながら静かに微笑んだ。
『劇の時は淡いピンクだったな・・・。普段は濃紺。どちらも僕の可愛さを引き立てている。
どちらも悪くない・・・。
この世界ではこうして自分の好きな物を少しずつ手に出来ているな・・・。実に心地良い・・・。』




