肉増し編、22 桜の国の小さな星姫 1977年6月25日
鏡原幼稚園、年少組合同お遊戯発表会
劇のタイトル
『桜の国の小さな星姫』
開催日時:1977年6月25日
開催場所:鏡原幼稚園、講堂
第1幕:夜空からの落下
舞台は深い紺色の幕に、銀色の星がいくつも輝いており、柔らかい照明が幻想的な夜空を演出していた。
「昔々、遠い遠い夜空にたくさんの星達が住んでいました。
その中に、とても小さな星の姫がいました。
星の姫はいつもこう考えていました。
『私はもっと大きく、もっと明るく光らなければならない。』と・・・。」
銀色のマントを羽織り、頭に小さな星の冠を付け、キラキラした衣装を着た星姫が舞台中央に登場しました。
その姿は、観客席から見てもひときわ清楚で可憐でした。
少し不安げに空を見上げながらゆっくりと回りつつ、
「私は・・・、夜空で一番明るく光らなきゃいけないの。小さくては、ダメ。
みんなに気づいてもらえなかったら・・・私は星じゃない・・・。」
星姫は必しに光を強くしようと、手を大きく広げますが光は弱弱しいままです。
「もっと・・・もっと大きく・・・!なのに、どうして光らないの・・・?私、弱いのかな・・・」
突然、強い風の音が響きます。
(他の園児達が大きな青い布を振って風を表現)。
星姫の身体がふらつきバランスを崩しました。
「きゃあっ!風が・・・!落ちてしまう・・・!いやぁ・・・!」
(星姫が舞台下手に倒れこむと、照明が青から柔らかいピンクへと変わる。)
星姫はゆっくりと身体を起こして周りを見回すと、そこは美しい桜の国でした。
薄紅色の桜の木がいくつも立ち、花びらがゆっくりと舞っていた。
星姫は小さな声で言いました。
「・・・ここは、どこ?夜空じゃない・・・私の光・・・ほとんど見えない・・・小さすぎて、誰も気付いてくれない・・・どうしよう・・・私、迷子になっちゃった・・・。」
桜の木の下に座りこみ、ひざを抱えて小さく震えていました。
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第2幕:桜の国での出会い
桜の木の精霊(女の子)が優雅に登場してきた。
「あらあら、かわいい子が落ちてきたわね。あなたはだあれ?そんなに悲しい顔をして。」
(身体を縮こませて)
「・・・私は、夜空の星の姫です。でも・・・小さくて、光も弱くて・・・たいした星じゃないから・・・ここにいても、みんなの役に立てないと思います・・・。」
すると、うさぎの子供達(5~6人の園児)が元気よく飛び跳ねながら現れた。
「一緒に遊ぼうよ!桜の花びらでかくれんぼしよう!ねえ、楽しいよ!」
「うんうん!僕達と遊ぼう!」
しかし星姫は言いました。
(首を横に振って)
「ごめんなさい・・・。私は遊んでいる時間なんてないの。もっと大きく光らなきゃいけないから・・・小さいままだと、だめなんだもん・・・。」
今度は川の精霊(男の子)が優しく近づいてきた。
「ここで少し休んでいきなよ。冷たい水で足を冷やすと気持ちいいよ。無理しなくてもいいんだよ。」
(寂しそうに)
「・・・だめ。休んでいたらますます小さくなっちゃう・・・。私は頑張らなきゃ・・・頑張らないと星じゃなくなっちゃう・・・。」
星姫は再び桜の木の下に座りこみうつむいてしまう。
観客席からは、ため息の様な小さい声が漏れてきた。
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第3幕:迷いと歌
星姫は一人で桜の木の下に座り静かに泣いていた。
(小さな声で)
「どうして私はこんなに小さいの・・・?夜空に帰りたいのに・・・誰も私の光に気づいてくれない・・・。私なんか、いない方がいいのかな・・・?輝けない星なんて・・・いらないよね・・・。」
優しい風が舞台を渡り、風の精霊がゆっくりと現れた。
「小さな星よ・・・そうしてそんなに自分を責めるの?あなたの光はとても優しくて温かいよ。」
(涙を浮かべて)
「だって・・・星は大きく光らなければいけないんだもん。小さくて、弱くて、誰にも気づかれないなんて・・・恥ずかしいよ。」
「そうかな?私はあなたの光、ちゃんと見ているよ。大きくなくてもそっと輝く光は、誰かの心を温かく照らす事が出来るんだよ。」
ここで星姫が中央に立ち、照明が彼女だけを優しく包み込んだ。
(静かに、しかし心を込めて歌う)
夜空に浮かぶ 小さな星よ
そっとささやいて 私の名前を
怖がらなくていいよ ゆっくりでいい
君のペースで 輝けばいい 春の風が 頰を撫でて
桜の花びら 舞い落ちる頃
小さな手で 鍵盤に触れて
心の声が 音になるよ 星のささやき 聞こえますか
遠くからでも 届いていますか
私はここに いるよ ずっと
君のそばで 見守っています
歌声が講堂いっぱいに響き渡った。
会場は水を打った様に静まり返り保護者や先生方、そしてスカウトマンの男も息を飲んで聴き入っていた。
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第4幕:気づき
気づき歌い終わった星姫はゆっくりと顔を上げ、初めて柔らかい笑顔を見せた。
「・・・私の光は小さくてもいいんだ・・・。大きく光らなくても、誰かの心をそっと照らせるんだ・・・。そんなんだね?」
「そうよ。あなたはあなたのままで輝いていいの。その優しい光がきっとたくさんの人を温かくするわ。」
(立ち上がり、微笑みながら)
「ありがとう・・・私、頑張りすぎていた・・・。これからはゆっくり自分のペースで輝いてみるね。
星姫の身体が柔らかい光に包まれ、舞台全体が優しいピンクと白い光で満ちていった。
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第5幕:大団円
桜の国の住人達(全員)が舞台に集まって来た。
「星姫、綺麗な光だね!これからも時々遊びに来てね。」
「うんうん!また一緒に遊ぼう!」
「いつでもここで待っているよ。」
(みんなに向かって優しく)
「うん、約束する。私はこれからも夜空からみんなをそっと見守ってるよ。たとえ小さくても私の光はここにあるから。」
全員で『星のささやき』を大合唱をしていると、桜の花びらが舞台いっぱいに舞い落ちてきた。
照明が美しく輝く中、全員で可愛らしいポーズを決めて幕となりました。
終演後、講堂に大きな拍手が沸きおこった。
スカウトマンの男性じゃ席から立ち上がり深く息を吐いた。
彼の目には興奮と驚きがはっきりと浮かんでいた。
『この子は・・・ただの才能じゃない。特別な光を持っている・・・。』




