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6話 「星斧と事の重さ」

眠い

「よし、行きますよー。」

僕ー深安エンは久しぶりにワクワクしている。

理由は、二つ。

一つ目、前まで違う遊びがいのある相手が目の前にいるから。

二つ目、久しぶりに「星斧ステラ」を使うから。

僕は両手で構えるのをやめて、片手で構え始めた。


「片手になったところで、遅いよ。」

そういって、ミャオさんが突撃してきたので今回はすぐに対応した。

「えっ、ニャッ。」

僕はミャオさんのギリギリに斧を振り落とした。

「なんで、今回は対応できたのかニャ。さっきとは何も変わってないのにニャ~。」

何も変わっていない、それは違う。

それじゃあ、何が変わったのかって。

「星斧ステラ」の「質量」が変わった。

だからさっきまで両手で構えていたが、今は「星斧ステラ」の能力で質量を軽くしているから片手でも扱える。

何なら、重さすら感じない。

でも、問題はそんなに軽くてダメージが入るのかってこと。

そこら辺はご心配なく。

なんとこの能力、自分と相手にかかる質量が別々なのである。

だから今の状態は、僕からしたら軽いが、相手からしたらさっきと攻撃の重さが変わらないというわけである。


そんなことはともかく、まずは戦闘に集中しよう。

そこで、ミャオさんを見てみるとすごい固まっていた。

「どうしました?」

何で固まっているのか、よくわからない。

そこで聞いてみると、「初めて反撃された」と言ってへこんでいた。

「面白いニャン、これは狩りがいのある獲物だニャン。」

ミャオさんはさっきよりも目をかっぴらき、狂気的な笑みを浮かべた。

そして黒色の尻尾が二本生えてきて、怪しく揺れている。

さらに、猫耳もピンと立ってぴょこぴょこと動いている。

そんな状況でも、僕は気にしない。

「へぇ、僕が獲物か〜。逆に狩られないようにしてくださいね~。」

僕は、追い打ちをかけるように相手にかかる質量を倍にした。

その重さは約170kg、当たれば最低でも骨は砕ける重さだ。

それを小枝を扱うように構えた。

「じゃあ、行くニャー」

そういって、今回も真正面から突撃してきた。

「懲りませんね、残念ですがあなたの負けです。」

そう言い、斧を振り落としたが手ごたえが全くない。

まるで煙を攻撃したような感覚だ。

「騙されたニャンね。それは幻煙って言って、幻覚ニャンよ。食らうニャン。」

そう言って、背後からお得意の爪でひっかき攻撃をしてこようとした。

「あなたって、化け猫みたいですよね。その姿といい、あの幻影といい。でも、僕には勝てない。」

僕は背後を蹴り上げ、ミャオさんを空中にもっていった。

「痛いですが、耐えてくださいね。」

僕は落ちてきたミャオさんを野球みたいに斧で吹き飛ばした。

吹き飛ばされたミャオさんは、闘技場の壁にめり込みぐったりしている。


一応、安否確認と勝利の宣言のためにミャオさんの前にしゃがみこんだ。

「一応、僕の勝ちです。それより、大丈夫ですか?」

やった本人が言うのは何だが、170kgの斧をすごい勢いでフルスイングして無事なわけはない。

「やっべ、どうしよう。観客がいないことは幸いだけど、まずいな。いいや、治す。」

僕はミャオさんを一回「闇」に取り込み、解析した後に取り出した。

「これはひどい。大半の内臓・骨が砕けていやがる。普通なら、即死だけど生きてるな。よし、治す。」

ひとまず、砕けた骨と大半の内臓は使い物にならないので能力で「再構築」することにした。

これで、第一問題の肉体の修復は完了。

次は、これをどう説明するか。


そんなことを考える前に、ミャオさんが起き上がった。

「あれ、生き、てる、ニャン。どうして、体から一気に変な音が鳴っていたのに。てっきり、内臓が破裂して死んだと思ったニャン。」

「いや、死んでますよ。がっつり。」

「えっ」

やばい、口が滑った。

急に生き返って困惑してるときに、「いや、死んだよ?」は禁句だよ。

「じゃあ、どうして僕は生きているのかニャン?」

ミャオさんは、悲しさと困惑の混ざった表情で僕の方を見た。

仕方ない、正直に話そう。

「あの後、僕はあなたに勝利を宣言したんですが息をしてなかったので調べてみたら、大半の内臓と骨が使い物にならなくなっていたので能力で治しました。」


まぁ、到底信じられる話ではないだろう。

なぜなら、何の具体性も証拠もないのだから。

「えっ、本当に治してくれたのかニャン。ありがとニャン、君って優しいニャンね。」

「いやいや、元はと言えば、僕が少し力を出しすぎただけなので。僕が悪いですよ。」

本当にその通りだ、力あるものは弱者を尊重できる。

これが僕が思う強者だ。

だから、今回の件を得てまだまだ自分は未熟者だと思った。

「そんなことはにゃいですニャ。君はとっても優しいニャン、だって敵だった僕を見捨てずに助けたんだから。立派だニャン、僕もそういう心を持った獣人になりたいニャン。だから、僕を弟子にしてくださいニャン。」

「えっ、あ~。うん。」


こうして僕が自らの意思で臨んだ決闘の結果は、勝利はもちろんのこと弟子も得て、幕を閉じた。



ご鑑賞ありがとうございました。

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